およそ7年ぶりに新型となった、メルセデスベンツBクラス。ご存じのように、メルセデスベンツ伝統のFR(後輪駆動)ではなく、AクラスとともにFF(前輪駆動)の駆動レイアウトを採用するエントリーモデルだが、新型は相当、気合が入っている。
先代のボッテリとした!?エクステリアデザインはよりスポーティーに、スタイリッシュに変身。インテリアにしても、上級のメルセデスベンツと変わらない質感、そして2面のデジタルディスプレーを備えた先進感あるものにグレードアップされている。
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パワーユニットはB180に1.4Lガソリンターボ、136ps、20.0kg-m+7速DCT、10月に導入されるB200dに2Lクリーンディーゼルターボ150ps、32.6kg-m+8速DCTが組み合わされる。
プラットフォームはAクラスと共通だが、キャラクターは全く別物
新プラットフォームはAクラスの共用するものの、クルマのキャラクター、実用性はけっこう異なる。特に後席の居住性とラゲッジスペースの使い勝手に差があると言っていい。
後席を比較すると、Aクラスはシートクッション長約460mm、フロアからシート先端までの高さ(ヒール段差)約300mmに対して、Bクラスは同約490mm、370mmと、シート幅は同等なものの、よりゆとりある、いす感覚の掛け心地(立ち上がり性に優れる)が得られるのだ。ちなみにCクラスは同約490mm、320mmである。
ラゲッジスペースはフロア奥行き、フロア幅こそ同等だが、Bクラスは全高の余裕から高さ方向がたっぷりしていて、5名乗車時の容量はAクラスの370Lに対してBクラスは455L。さらに開口部高がAクラスの約670mm、フロアとの段差約120mmに対して、Bクラスは開口部地上高約630mm、段差なしと、まるでステーションワゴンのように使える点がポイントだ。
後席は4:2:4分割で、中央の2部分を倒せばラゲッジスペースとのアクセスも容易。後席エアコン吹き出し口も完備するから、エアコンの風が届きやすくなり、飼い主とのアイコンタクトが容易になるラゲッジスペースに愛犬を乗せてドライブすることも可能となる。
新型BクラスはSクラスに準じる先進安全支援システムを搭載する。自動ブレーキ、ACCやブラインドスポットモニターなどを含むレーダーセーフティパッケージはOP扱いとなっているが、実は、日本仕様はほぼ全車にレーダーセーフティパッケージが装備済みで輸入され、現在、半額キャンペーンを行っている(24万5000円→12万2500円/B180)というのが実情である。
また、運転席の頭上にあるSOSとmeボタンによって、24時間緊急通報サービス(エアバッグ展開時は自動通報)、24時間故障通報サービスもオペレーターを介して利用できるから、安心度は極めて高い。
乗り心地は良路では快適、段差などを乗り越えると、けっこう「硬め」
今回、試乗できたのは、すでに販売が開始されているB180の標準車とAMGラインである。
まず、17インチタイヤを履く標準車で走りだせば、出足の加速感は文句なくスムーズ。エンジンを回していくと多少のザラつきはあるものの、高速クルージング中の車内は静かで快適だ。加速力も必要十分なレベルにある。
ただし、乗り心地はこの標準車でも、良路では快適だが、段差などを乗り越えると「けっこう硬い」という印象で、それなりのショックを伴う。Cクラス以上と比較すれば、メルセデスベンツらしい乗り味とはちょっと違う印象を持つことになる。
その理由のひとつが、リアサスペンション。Cクラス以上は贅沢なマルチリンクだが、このBクラスはマルチリンクに比べると簡素なトーションビームを採用している点である。とはいえ、トーションビームは空間効率に優れるパッケージを生むため(ミニバンの採用例が多いのはそのため)、上記のラゲッジスペースの使いやすさを導き出しているとも言える。
メルセデスベンツに乗っている満足感にどっぷりひたれる一台
一方、18インチタイヤ、AMGスポーツコンフォートサスペンションを奢るAMGライン(25.5万円高)は、動力性能こそ標準車と同一で、エンジンを回すシーンでややザラつきを感じさせるところも同じだが、むしろ「硬いけれど上質」と表現できる乗り心地を示してくれた。段差を乗り越えた際のショック(特にリア/音・振動含む)は決して小さくなく、Cクラス以上とは乗り味が異なるものの、良路を含め、よりスムーズに感じられたりしたのである。
とはいえ、操縦安定性はメルセデスベンツならではで、カーブでの安心感、安定感は文句なし。FFであろうとBクラスであろうと、インテリアの質感、前席の掛け心地、先進安全支援装備を含め、国産同クラスからの乗り換えであれば、“メルセデスベンツに乗っている”満足感にどっぷりひたれることは間違いないと思える。
標準車の価格は384万円となっているが、このクラスゆえ、レーダーセーフティパッケージ(半額キャンペーン中)とナビゲーションパッケージは別だから、試乗車は実質約414万円となる。
文・写真/青山尚暉
モータージャーナリスト。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。自動車専門誌の編集を経て、現在、モータージャーナリスト、愛犬との快適安心なカーライフを提案するドッグライフプロデューサーのふたつの肩書を持つ。小学館PETomorrowでも「わんこと行くクルマ旅」を連載中。最新刊に「愛犬と乗るクルマ」がある。
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