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試乗 アウディTT RS 手軽なスーパーカー性能 最後の5気筒 ちらつくRS3

掲載 更新
試乗 アウディTT RS 手軽なスーパーカー性能 最後の5気筒 ちらつくRS3

もくじ

どんなクルマ?
ー WLTPに対応させて1年ぶりの登場
どんな感じ?
ー クルマを支配する5気筒ターボエンジン
ー 路面状態を選ばない安定した俊足
ー 締め上げられた分、硬めの乗り心地
「買い」か?
ー スーパーカー並みのパフォーマンスを身近に
スペック
ー アウディTT RSスポーツエディションのスペック

アルピーヌA110 毎日乗れる最高のスポーツカー 真のライバルは初代911?

どんなクルマ?

WLTPに対応させて1年ぶりの登場

わずかなフェイスリフトを受け、アップデートされたアウディのハイパフォーマンス・クーペ、TT。1年の休止期間を経てはいるが、その存在の重要性は、初代の登場以上に増しているように思う。

アウディは強くアナウンスしていないが、パワートレインを共有するRS3とともに、TT RSも久しぶりに注文を再開することとなった。その間に、従来搭載してきたフォルクスワーゲン・グループ製の5気筒エンジンを、新しい燃費基準、WLTP(乗用車等の国際調和排出ガス・燃費試験法)に対応させる必要があったのだ。

2019年仕様からは粒子状物質を吸着させるパーティキュレート・フィルターが採用され、環境負荷を軽減させている。加えてアウディはEUでの騒音規制強化に伴って、段階的にエグゾーストノートのボリュームも小さくしていく必要がある。

TT RSが休止していた間にTT自体にはフェイスリフトが施されており、TT RSにもデザインに変更を受けたフロントバンパーや、リアウィング、ディフューザーなどが採用されている。またサイドシルの形状も見直された。インテリアで選択可能なカラーバリエーションも変更。ワイヤレス・スマートフォン充電機能や電動折畳みサイドミラー、プライバシーガラスなどが標準装備となった。

1年ぶりのTT RS、鮮度はそのままだろうか。

どんな感じ?

クルマを支配する5気筒ターボエンジン

クルマの基本的な印象は、2016年に初めて試乗したときと大きな違いは感じられない。しかし再評価する価値は充分にある。なにしろ5気筒エンジンを搭載する最後のTTとなるだけでなく、噂によれば、少なくとも今回のフェイスリフトがTTにとって最後の進化となりえるのだから。

これまでにも存在してきた5気筒のアウディと同様に、ドライビングで受ける体験を支配するのは、このエンジン。TT RSにはさらに荒々しい性格と、サウンドが追加されている。この特徴的なオフビートの効いたサウンドは、1980年代にラリー界を席巻していた頃のアウディの記憶を蘇らせてくれる。特にスコットランド北部の原野に伸びる、ケアンゴームズ国立公園の中の森に囲まれた道を運転していると、この表現はどうしても頭によぎってしまう。

フェイスリフト前と比較すると、若干ドラマティックさで陰りを感じるものの、素晴らしいノイズだ。テールエンドで炸裂する破裂音や雷鳴のような響きは、オプションとなるRSスポーツ・エグゾーストを選んだとしても、影を潜めてしまった。しかし、基本的な音質や音量には変わりはなく、並外れた加速に相応しい荒々しさは残っている。アクセルを踏み込むという作業が、特別な体験に感じられるだろう。

0-100km/h加速は、以前にわれわれが計測した結果では3.5秒を切っているが、実際に体験してみるとそれほど速くは感じられない。パーティキュレート・フィルターが付いても、当初の印象と大きな違いは感じられなかった。しかし、4気筒エンジンを搭載する基本のTTと同様に、扱いやすく洗練されたレーシーなドライブモード・プログラムを獲得しており、運転の満足感は高まっている。燃費も改善しており、10km/ℓ以上という数字も現実的なものになった。

路面状態を選ばない安定した俊足

そのほかTT RSのダイナミクス性能の性格には、大きな変化はないといえる。今回は高速道路も数時間走らせたが、路面状態やドライバーの好みやその日の天気によって、強い感銘を受けたり、少し期待に沿わなかったり、ということに変わりはないだろう。

特にスコットランドのワインディングでは珍しくない、部分的に濡れ、路面が波打ったような道であっても、安定した走りを提供してくれることは美点。テールスライドを引き出したり限界領域での懐の深さを味わう、というより、圧倒的なトラクションで路面を問わず背中を押し付けられるような加速を生み、路面を掴み続ける安定性に長けたクルマだ。

この特徴は、ポルシェ718ケイマンやアルピーヌA110のような、従来的なスポーツカーの楽しみ方を求めるドライバーにとっては、あまり歓迎できないことかもしれない。しかし一方で、英国や日本のように、四季や天候の変化が大きい環境においては、大きな魅力になってくることも事実。

メルセデス-AMG A45など、4WDのスーパーホットハッチへの対抗馬として考えると、別の走りの説得力が見えてくる。ボディ・スタイリングはコンパクトなクーペだが、実際に座ってドライブさせると、そんな実感が湧いてくる。

締め上げられた分、硬めの乗り心地

着座位置は極めて低く、運転という面で人間工学的な欠点は見られない。むしろ、ドライバーを中心としたキャビン設計は完璧と呼べるものだと思う。加えて想像以上にラゲッジスペースが大きいことにも驚かされる。リアシートを畳めば、自転車を乗せることもできるのだ。

指摘しておきたい部分は少ないが、乗り心地は硬い。ほとんどボディロールを許さないTT RSの締め上げられたサスペンションなだけに、オプションのマグネティックライド・ダンパーをコンフォートに設定していても、硬い。ただ、不快と感じるほどではない。

ロードノイズも標準のTTよりは目立つ。718ケイマンやアルピーヌA110などと比較すると、ステアリングフィールのデリケートさで及ばない。タイヤからの情報量が密なわけではないが、反面、正確性と精度の高さという点では優れている。

われわれの試乗車は、スポーツエディションと呼ばれるグレードで、エクステリアも含めて既に4000ポンド(58万円)相当のオプションが付加されていた。そこに更に多くのオプションが追加され、価格は7万ポンド(1015万円)にも達していたが、果たしてすべてが必要かは疑問に感じる。

「買い」か?

スーパーカー並みのパフォーマンスを身近に

路面状況を選ばない高速な移動手段として際立つアウディTTだが、忘れることができない存在がある。アウディRS3だ。アウディTTと交互に乗り比べてみたが、RS3の速さと運転の楽しさはTT RSの90%程度。それ以上により快適で価格も安く、リアシートに子供を乗せて日常的に使える利便性も備えている。

RS3ではなくTT RSを選択するには、実用性を犠牲にしてもなお欲しいと思わせるだけの訴求力が求められる。つまり、それがよりスポーツカー然として感じられるアピアランスだと思う。アウディTT RSに強い魅力を感じたなら、我々はそれを否定しない。

スポーツカーとして見ると、ポルシェ718ケイマンやアルピーヌA110、BMW M2コンペティションだけでなく、いま最も注目のトヨタ・スープラも比較対象となってくる。スープラに限っていえば、まだ充分な材料が揃ってはいないものの、それ以外のライバルモデルに関しては、TT RSよりもドライビングへの熱中度合いでは上。サーキットでも、手を焼くような英国の郊外の道でも、クルマの資質を存分に引き出して運転を楽しむことができるだろう。

反面、TT RSの最大の魅力は、本物のスーパーカーレベルの走行パフォーマンスを叶えていること。しかもオールウェザーと呼べる対応力の高さと、運転のしやすさを備えている。価格もスーパーカーと比べれば、遥かに安いのだ。

アウディTT RSスポーツエディションのスペック

■価格 5万7905ポンド(839万円)
■全長×全幅×全高 4490✕1830✕1370mm
■最高速度 249km/h
0-100km/h加速 3.7秒
■燃費 10.8km/ℓ
■CO2排出量 181g/km
■乾燥重量 1450kg
■パワートレイン 直列5気筒2480ccターボ
■使用燃料 ガソリン
■最高出力 400ps/5850rpm
■最大トルク 48.8kg-m/1700-5850rpm
■ギアボックス 7速デュアルクラッチ・オートマティック

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