もくじ
ー ランドローバーのベストセラー 渾身のテコ入れ
ー 変わらぬオフロード性能 最新のテレインレスポンス2
ー スタイリングはキープコンセプト キャビンには最新技術
ー 実用性と快適性 大きく向上
ディスカバリー・スポーツ 2019年夏大幅アップデート 巻返し図れるか
ランドローバーのベストセラー 渾身のテコ入れ
ボルボXC60やアウディQ5といったプレミアムSUVのライバルたちに対抗すべく、ランドローバーでは、ベストセラーモデルであるディスカバリー・スポーツに対して、電動パワートレインや新プラットフォームの導入、さらには、大幅なインテリアのアップグレードを含めた、大規模なフェイスリフトを行っている。
2014年の登場以来、ディスカバリー・スポーツは、ランドローバーにおけるベストセラーモデルとなっており、昨年の世界販売台数は10万台近く、ブランド全体のほぼ1/4を占めていた。
それでも、より新しいライバルたちの攻勢を受け、その人気にも陰りが見え始めており、現在の苦境から脱しようとしているジャガー・ランドローバー(JLR)にとって、今回のフェイスリフトが持つ意味は非常に大きい。
引き続き5シーターと7シーターが選択可能なフェイスリフト版では、ランドローバーのD8プラットフォームに替えて、ヘイルウッド工場でともに生産される2代目レンジローバー・イヴォークと同じ、新プレミアム・トランスバース・アーキテクチャが採用されている。
この新プラットフォームによって、電動パワートレインや、イヴォークで導入済みの48Vマイルドハイブリッドシステムの登載が可能となり、フェイスリフト版発売時には、ラインナップの大半が48Vマイルドハイブリッドシステムを採用することになる。
ベルト一体型スターター/ジェネレーターが、フロア下に置かれたバッテリーへと繋がれたこのシステムによって、CO2排出量144g/km(WLTP値をNEDCに変換したものだ)と、40.9mpgの燃費性能を達成しており、今年後半にはプラグインハイブリッドモデルの登場も予定されている。
唯一の非ハイブリッドパワートレインを積んだエントリーモデルのD150ディーゼルはフロント駆動となり、150psのパワーと38.7kg-mのトルクは、6速マニュアルギアボックスを介して前輪へと伝えられる。
変わらぬオフロード性能 最新のテレインレスポンス2
他のモデルはすべて四輪駆動にZF製9速オートマティックギアボックスを組み合わせており、このギアボックスの改良だけで、2%の燃費改善を達成しているという。
フェイスリフト版登場時点で最高の動力性能を誇るのは、250psのパワーと37.2kg-mのトルクを持ち、0-97km/h加速を7.1秒でこなすP250 MHEVであり、その他にも、それぞれ181psと240psを発揮するディーゼルと、200psのガソリンエンジンがラインアップされることになる。
イヴォーク同様、四輪駆動システムには、ランドローバーが誇る最新のテレインレスポンス2が組み合わされており、4つのドライブモードを備えるとともに、オートを選べば、自動で路面状況を検出し、最適なモードを選択してくれる。さらに、ドライブライン・ディスコネクトによって、安定したクルージング状態では前輪だけにパワーを伝達することで、さらなる燃費向上を図ることも可能だ。
すべてのモデルがコイルスプリング仕様となり、路面状況に応じてダンパーの減衰力を調整するアダプティブ・ダイナミクスシステムが組み合わされる。
フェイスリフト前後でボディサイズはほとんど変わっておらず、全長は2mm短い4597mm、全高は3mm高い1727mmとなる一方で、全幅はミラー折畳み時で2173mmとまったく同じ寸法となっており、2741mmのホイールベースにも変更はない。
フェイスリフト版でも、そのオフロード性能に抜かりはない。新たなドライブモードシステムに加え、212mmのグランドクリアランスと、25度のアプローチアングル、30度のデパーチャーアングル、そして20度のブレークオーバーアングルをそれぞれ確保している。
さらに、このクルマは2500kgの牽引能力を誇るとともに、オプションとして、牽引時のコーナリングをサポートするアドバンス・トーアシストを選択することも可能だ。
スタイリングはキープコンセプト キャビンには最新技術
スタイリングは好評だったオリジナルモデルを踏襲したものだが、2代目イヴォークとレンジローバー・ヴェラールとの繋がりをアピールすべく、いくつかの変更も加えられており、新たな形状が与えられたフロントとリアバンパー、新デザインのグリル、取付位置が低くなったモール類、さらにはLEDヘッドライトといったものが目につくだろう。
そして、エクステリア以上の変更を受けたのがインテリアであり、最新のランドローバー製インフォテインメントと新たなシステムが採用され、タッチプロ・インフォテインメントシステムが標準となる。
10.25インチのタッチスクリーンでは、Apple CarPlayとAndroid Autoが利用可能であるとともに、オプションで、エアコンとテレインレスポンスの操作が可能なディスプレーを、センターコンソールの低い位置に取り付けることもできる
カラーのヘッドアップディスプレーと12.3インチのデジタルドライバーディスプレー、さらには最大8ケまで設置可能なUSBポートやワイヤレス携帯充電機能もオプション選択可能であり、室内温度とファンスピードは、2列目シートからでも設定できる。
ドライバーアシストも見直され、イヴォークで初採用されたクリアサイト・グラウンドビューシステムが導入されている。この「見えないボンネット」とでも呼ぶべきシステムでは、フロントグリルとドアミラーに設置したカメラを使って、車両下の画像をセントラルスクリーンに映し出すことで、狭い市街地やオフロードでの運転を容易にしている。
さらに、普段は通常のミラーとして機能するものの、必要に応じて50度の視野角を持つリアカメラからの画像をHDスクリーンに表示可能な、新「スマートリアビューミラー」も採用されており、ランドローバーは、周囲が暗いなか、パッセンジャーと荷物を満載しているような状況で、より良い後方視界の確保に貢献していると言う。
実用性と快適性 大きく向上
こうした数々の装備に加え、フロントとリアのパーキングアシスト、リアカメラ、緊急時自動ブレーキや、レーンキープアシストといったドライバーアシストも採用され、さまざまなパッケージオプションとして選択可能となっている。
キャビンのハイテク化とともに、ランドローバーはこのフェイスリフト版ディスカバリー・スポーツの実用性と快適性を高めることにも成功しており、2列目に40対20対20の分割可倒式シートを新たに採用することで、7シーターモデルでは、最大24種類ものシートアレンジが可能だとしている。
2列目と3列目で、それぞれ最大968mmと655mmのレッグルームを確保するとともに、キャビン内の収納スペースも充実させており、ランドローバーでは、センターコンソールとドアポケットで、フェイスリフト前に比べ25%増となる48ℓの容量を達成していると話す。
5シーターモデルの場合、ルーフまでのトランク容量は、フェイスリフト前の981ℓに対し1179ℓを確保しているが、さらに、リアシートを倒せば、最大1794ℓものスペースを手に入れることが可能であり、燃料タンクの容量も54ℓから65ℓへとアップしている。
英国ではフェイスリフト版ディスカバリー・スポーツの受注は開始されており、スポーツ、S、SE、とHSEの各グレードに加え、より豪華さを増したR-ダイナミックも選択可能となっている。
フェイスリフト前、ディスカバリー・スポーツは3万160ポンド(421万円)から手に入れることができたが、フェイスリフト後のモデルでは、エントリーグレードのD150が掲げる3万1575ポンド(441万円)が、新たなスタートプライスとなる。
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