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ニューモデル 2019.1.23

試乗 フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR 7代目GTI最後の特別仕様

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もくじ

どんなクルマ?
ー 7代目ゴルフGTI最後の特別仕様
ー 最高出力290ps、最大トルク38.6kg-m
ー 一般的なレーシングコースを主眼に
どんな感じ?
ー 好印象なTCR専用ボディキット
ー パフォーマンスの向上はそれなり
ー 一般道では硬すぎる脚まわり
「買い」か?
ー ゴルフGTIだからこその、高い理想
スペック
ー フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCRのスペック

    コンパニオン大特集(13) 東京オートサロン2019 画像72枚

どんなクルマ?

7代目ゴルフGTI最後の特別仕様

血統書付きのホットハッチ、フォルクスワーゲン・ゴルフGTIに、赤いストライプとクロムメッキのペダルだけでは終わらない、ハードコアな特別仕様が登場した。たとえホットハッチの代名詞的存在のゴルフGTIであっても、モデルライフの中で単一グレードだけの設定では、その存在感を誇示することは難しい時代なのだろう。

むしろわれわれにとっては幸運なことかもしれない。派生モデルが不要だったのなら、G60型エンジンにスーパーチャージャーを搭載した2代目や、4代目のエディション30、7代目のクラブスポーツSなどは、生まれなかったかもしれないのだから。ひときわ速いゴルフは、素晴らしい輝きを放つクルマであると同時に、常に更新を続けていく存在でもある。

少なくとも直近の3世代にかけて、ゴルフGTIは極めて優れたパフォーマンスを備えてきた。それ以前からも、現実世界で活かせる性能にドライバーが得られる高い満足感、実用性の高さを備え、コストパフォーマンスにも優れたホットハッチであり続けてきた。この高水準でバランスされた仕上がりに手を加えるということは、その均衡を崩す可能性すらある。

最高出力290ps、最大トルク38.6kg-m

しかしドイツ・ヴォルフスブルクのエンジニアは、最後に更なる一手を加えることを決めた。クールな雰囲気を持つゴルフGTIの場合、企業としてもユーザーとしても、常に次の変化を欲しているのだろう。そして大抵の場合は、一層優れたGTIが生まれてきた。

今回の7.5代目GTIとでも呼ぶべきGTI TCRは、世界的にも人気が高まっている、フォルクスワーゲンのツーリングカー・レース参戦を記念するモデルとなっている。また、いつまでも新鮮であり続け、競争力での優位さを保つためのアップデートでもある。

ハイパワー化が進む前輪駆動モデルの中にあって、標準のGTIパフォーマンス・バージョンの最高出力は245psで、ひときわ高いというわけでもなかった。なお英国の場合、231psの素のGTIは昨年販売が終了している。そういうわけで、GTI TCRは最高出力を290psに、最大トルクを38.6kg-mにまで高めている。

エンジンは、2017年に登場したGTIクラブスポーツにも搭載されていたEA888型と呼ばれる、2ℓの直列4気筒ターボエンジンで、ソフトウエアを書き直しラジエーターの容量を増やすことで、出力向上を実現している。またWLTP(乗用車等の国際調和排出ガス・燃費試験法)にも対応させ環境にも配慮。トランスミッションは、GTIクラブスポーツに採用されていた6速ではなく、最新の7速ツインクラッチAT、2ペダルDSGが組み合わされている。

一般的なレーシングコースを主眼に

標準のGTIパフォーマンスと同様に、GTI TCRも電子制御ロックデフ「eデフ」を標準装備。クラブスポーツSにも採用されていた大径17インチのコンポジット・ブレーキディスクにブレーキキャリパーを包むように、18インチの鍛造アルミホイールが足元を飾る。サスペンションもGTIパフォーマンス用の通常のパッシブダンパーだが、減衰力は硬く設定し直されている。コイルスプリングもレートが高められ、5mmだけだが車高は低くなっている。

このGTI TCRの開発に携わった、フォルクスワーゲンのツーリングカー・レーサーを務めるベニー・ロイヒターによれば「クラブスポーツSよりもさらに硬くなっています」とのこと。さらに「クラブスポーツとの大きな違いは、ネガティブキャンバーが強く付けられていることです。TCRは一般道での走行だけでなく、一般的なレーシングコースを主眼に入れて開発しています。クラブスポーツSは、ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェにセッテイングが合わされていましたからね」と話してくれた。

このGTI TCRには、ふたつのシャシー・オプションパッケージが選択できる。19インチの鍛造アルミホイールにアダプティブダンパーが付くものと、異なるデザインの19インチ鍛造ホイールに、アダプティブダンパー、ミシュラン・パイロットスポーツ・カップ2タイヤが付くもの。どちらのパッケージも最高速度の249km/hでのリミッター制御が外され、ポテンシャルを100%発揮できるようになる。英国での価格はまだ決定していないが、オプションパッケージは3000ポンド(41万円)程度はTCRの価格に上乗せされるだろう。

サーキット前提と聞くと、一般道での振る舞いに不安を感じる読者もいるはず。それでは、最後の7代目ゴルフGTIのスペシャルバージョンを確かめてみよう。

どんな感じ?

好印象なTCR専用ボディキット

外観での標準のGTIとの識別点は、マットブラックのアルミホイールに延長されたフロントスカート、リアディフューザーにルーフスポイラーなど。ツーリングカーを想起させるエアロキットがボディを引き締める。さらに、無償オプションとして、ボディサイドにハニカム状のステッカーをあしらうことも可能だ。カーボンファイバー製のドアミラーカバーも、クルマの見た目を特別感あるものに仕立ててくれる、悪くないオプションだと思う。ボディカラーも、TCRの専用色として「ピュアグレイ」を選択可能で、わたしの印象としては、かなり雰囲気を盛り上げてくれる良い色だと思う。

インテリアでは、マイクロファイバーとクロスが組み合わされた2脚のスポーツシートが最も目立つ部分。他にもステアリングホイールは細かくパンチングされたレザー巻きとなり、頂上部にはセンターを示す赤いマーキングが入る。

フォルクスワーゲンの内部関係者によれば、今年後半に発表される予定の8代目ゴルフのインテリアは、この7代目から大きな飛躍を遂げるらしい。おそらく事実なのだと思うが、だとしても、7代目のインテリアに不満を感じることはないだろう。

GTI TCRのドライビングポジションは、ホットハッチとして、ほとんど完璧だ。新しいスポーツシートは座り心地も良く適度に体を支持してくれる理想的なものだし、インテリアのパーツ類のフィッティングも一級レベル。モデル末期ではあるが、古びた感覚も殆どない。しかし、通常のGTIにも当てはまることながら、ゴルフに5000ポンド(69万円)上乗せする理由としては物足りないことも事実だ。他の部分にお金が掛けられているということでもある。

パフォーマンスの向上はそれなり

直線でのTGI TCRのパフォーマンスは、ベースとなったGTIよりも向上して入るが、飛躍的な違いという程でもない。最大トルクで見ると、今の英国ではベースグレードとなるGTIパフォーマンスから1.0kg-mほど上乗せされているだけ。中回転域での伸びでは、ほとんど気づかないレベルの変化だと思うが、決してパワーで不足があるとは感じない。

最も変化を実感できるのは高回転域で、レブリミット手前1500rpmからの吹け上がりは、ベースのGTIと乗り比べると、明確に逞しく、虜になってしまうようなフィーリングだ。2.0ℓエンジンのバランスや扱いやすさは変わっておらず、加えて低回転域のレスポンスは、ECUマッピングの最適化によって、クラブスポーツよりも向上している。

ホットハッチのエンジンとして、最高のユニットとまではいえないかもしれないが、標準のGTIのキャラクターとは一線を画す仕上がりだと思う。このエンジンの登場で、本当に速くエキサイティングなホットハッチという選択肢に、GTIがカムバックしたといえるだろう。

乗り心地とハンドリングは濃密なものではあるが、疑問を感じることがある。開発担当者は、素晴らしいGTIクラブスポーツSの足回りをTCRにも簡単に移植することができたはずだが、驚くことに、なぜかそうしなかったのだ。

TCRの仕上がりはホットハッチとして素晴らしく、魅力的なドライバーズカーではあるものの、7代目最後のGTIのスペシャルバージョンとして、卓越したボディコントロール性や機敏なホイールさばきといえるほどの進化が得られていない。これは、アダプティブダンパーの設定には関係ない事実。そしてTCRといっても7代目GTIには変わりなく、おしりを振り回すようなハンドリングの機敏性や、熱中してしまうようなドライビングフィールも、優れたライバルと比較すると、やはり及ばない。

一般道では硬すぎる脚まわり

クルマとしてはバランスに優れた鋭い回頭性というよりも、正確性が高く、手のひらを返されないような安定志向に振ったハンドリングに仕上げてある。しかし、ミシュラン・パイロットスポーツ・カップ2タイヤを履いていたテスト車両は特に、ホームグラウンドはサーキットだと実感はさせてくれる。動力性能は非常に高く、ペースを上げて走行してもボディはフラットに保たれ、タイヤの接地感も非常に安定している。ひたひたと最適なラインをつかみ続けて走るような感覚がある。

一般道に出てみると、高性能なゴルフに期待する輝きに反して、TCRの乗り心地は落ち着きのない振動の連続となる。大きく鋭いタイヤへの入力に対しては、明確に硬く反発するような挙動を示し、ステアリングが取られるほどの直接的な振動ではないものの、路面状況が良好であっても、運転を心から楽しませてくれるしなやかさは持ち合わせていない。

路面の起伏や剥がれを通過したとき、柔軟にいなすのではなく、衝撃に抗してしまうサスペンションの性格を知ってしまうと、どうしても良くない考えが頭によぎってしまう。標準のGTIの方が、もっと上手に一般道の路面と付き合えたのではないだろうか、と。

恐らくその答えはYESだ。もし仮にTCRの硬い脚さばきとのトレードオフで、より魅力的で夢中にさせてくれる、楽しさに溢れた活発な性格を得ているのなら、きっと別の個性として、高く評価できただろう。ルノー・メガーヌRS280やホンダ・シビック・タイプRの対抗馬として、あるいはゴルフGTIクラブスポーツSに続くモデルとして、7代目の最後を飾ることもできたと思う。

「買い」か?

ゴルフGTIだからこその、高い理想

しかし実際のところ、良くはなっていても、大きな進化とまではいえないのが本音。GTI TCRは、あくまでも標準のGTIの目視できる延長上にあるクルマに過ぎない。

もちろんゴルフGTIだから、非常に完成度の高いホットハッチではあるし、その水準は、現実世界ではとても高いところにある。しかし、フォルクスワーゲンは夢を見させてくれるような、GTIの理想と思える仕立てにはしてくれなかった。

GTI TCRは追加装備されたスペシャルパーツの分だけ速くはなっているが、それ以上でも、それ以下でもない。もちろん、パーツのひとつひとつは優れた性能を発揮してくれるもの。だが、それを組み合わせた7代目ゴルフGTIの完成度は、深い記憶に残る、有終の美を飾るに相応しいクルマには達していないというのが、正直な気持ちなのだ。

フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCRのスペック

■価格 3万4000ポンド(469万円/見込み)
■全長×全幅×全高 4258×1790×1437mm
■最高速度 249km/h
■0-100km/h加速 5.6秒
■燃費 14.9km/ℓ
■CO2排出量 175g/km
■乾燥重量 1410kg
■パワートレイン 直列4気筒1984ccターボ
■使用燃料 ガソリン
■最高出力 290ps/5400-6400rpm
■最大トルク 38.6kg-m/1950-5300rpm
■ギアボックス 7速ツインクラッチ・オートマティック

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