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ホンダ クラリティPHEV試乗記 ラグジュアリーな高級セダンのアウトライン

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ホンダ クラリティPHEV試乗記 ラグジュアリーな高級セダンのアウトライン

ホンダの環境車「クラリティ」にPHEVモデルが追加された。水素から発電するFCVとしてデビューしたクラリティはミッドサイズ・セダンで北米ではBEVモデルもラインアップされている。今回国内デビューしたのはPHEVで、急速充電機能も装備して誕生した。そのホンダ「クラリティPHEV」の発売前プロトタイプモデルに試乗できたので、早速お伝えしよう。<レポート:高橋明/Akira Takahashi>

いわずもがな投入の背景には化石燃料依存、地球温暖化、大気汚染の問題があり、各自動車メーカーは取り組んでいるわけだが、近年の傾向としてEV、PHEVの電動化モデルのマーケットが伸びている。特に2017年にトヨタ「プリウス」のPHVと日産「リーフ」の投入が台数を押し上げているという背景がある。

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その市場にホンダが投入するのが「クラリティPHEV」で、EV走行距離、充電の選択肢、走行フィールを踏まえ、アコードPHEVの37.6kmというEV走行距離に対して100kmと大幅に走行距離を伸ばし、急速充電を標準装備にして30分で40kWh以上、80%相当充電でき、かつ、高速走行もEV走行できる性能に仕上げている。

従ってターゲット層はアコード、インスパイアなどのセダン志向のユーザーだ。そうしたユーザーの傾向からか、バッテリーを搭載しながらもゴルフバック4本搭載するトランク容量確保というスペックをクリアしている。その手法として、駆動バッテリーを床下に格納し、燃料タンクも荷室の下に設置し、トランク容量を確保している。

クラリティPHEVの位置づけとしては、上級ラグジュアリー志向と環境志向の融合ということで、WLTCでの燃費は市街地24.2km/L、郊外24.3km/L、高速25.1km/Lという数値になっている。ボディサイズは、全長4915mm、全幅1875mm、全高1480mm。北米ではミッドサイズ、欧州ではDセグメント+の大きさになる。

■パワーユニット&アウトライン

エンジンは1.5LアトキンソンサイクルのDOHC i-VTECに2モーターを組み合わせたi-MMD。エンジンは充電用に稼働し、基本はEVで走行するユニット。およそ70km/h以上の高速走行になるとエンジン直結で走行するホンダ独自のPHEVユニットになっている。

パッケージとしては、i-MMDが1.5Lエンジンと組み合わされたモデルは初で、同じi-MMDシステムを持つアコード、ステップワゴンは2.0Lのエンジンと組み合わされている。バッテリー容量は14.1kWhとし、EV走行距離を延ばしている。またPCUを専用に小型化したユニットを開発し、EV出力を3.3倍に伸ばしている。そのため100kmの航続距離にプラスして160km/hまでEV走行できる出力を手に入れている。

最高出力は135kW(184ps)/315NmでアコードPHEVと比較して出力で+9%、トルクで+3%向上している。またモーター単体でもPCUの新開発で、出力で+11kW、トルクで+8Nm向上させることに成功している。

そしてドライブモードはEVドライブモード、ハイブリッドモード(シリーズ式)、エンジンドライブの3パターンがあり、バッテリーの残量や要求トルクに応じて最適な走行モードを選ぶようになっている。特に高速域ではEV走行よりエンジン走行のほうが効率はいいので、直結モードを採用している。

高速走行では、エンジンのほうが効率が良いというのは、EVだと単に走行抵抗、空気抵抗が増え消費電力が増えるだけだが、ガソリンは減速ギヤにより、エンジン回転を抑えることが可能だからだ。モーターには基本減速ギヤはないので、電力消費は出力に比例している。低速走行から高速走行には比例して電力消費は増大するのに対し、高速巡航時などエンジンスピードを抑え、かつ一定回転で走行したときの燃料消費量は電力消費より効率がいいということになる。

つまりエンジンは、市街地走行では常に最高効率で走行しているわけではなく、効率の悪い領域で走行しているが、高速走行になると熱効率のいい領域でエンジン回転が一定に保たれるため、燃費が良くなるという結果になる。一方モーターではもともとが95%以上の高効率で稼働しており、走行環境に関わらず、常に高効率で働き、高速走行では単に、抵抗だけが増えていくので効率が下がる。つまり電費が悪くなるという理屈だ。

したがってクラリティPHEVでは、EVでの高速走行を可能としながらもノーマルのドライブモードを選択しているときは、自動で効率のいいエンジンドライブに切り替えるという方式を取っている。だから、ホンダ クラリティPHEVは常に、効率のいい走行モードを選択するように設計されているというわけだ。

■試乗レポート

パワーユニットのドライブモードはEVドライブ、ハイブリッドドライブそしてエンジンドライブがあり、走行モードにはエコモードのE-CON、ノーマル、スポーツが設定されている。通常は特に何かの設定をしない限り、最も効率的な走行となるように設定されているので、まずは、ノーマルモードで普通に走り出してみる。

駆動はEVモーターで発進する。そして前述のようにクラリティPHEVは、高速域までEV走行が可能であり、かつ航続距離も100kmというのだから、今回の限られたテストコースでの試乗であれば、EV走行が中心となる試乗だ。

車速を日常的に使われる40km/hから60km/h付近まで上げる。EV車で問われる静粛性では、高級車らしくよく抑えられており、とても静かだ。タイヤからのロードノイズをわずかに拾う程度で風切り音も小さく快適。そのロードノイズも特に気になるレベルではない。

乗り心地もよく、高級セダンとしての要件を高いレベルでバランスさせていると感じる。通常こうした環境車であれば、エコタイヤと言われる転がり抵抗の少ないタイヤを装着しているのが一般的だが、クラリティPHEVはブリヂストンのレグノを装着していた。そうしたポイントからも乗り心地や静粛性に気を使った仕様としていることが伺える。

操舵フィールもよく、電動パワーステアリングが『制御されている』という電気的な違和感はなく、微小舵から追操舵まで、そして切り戻しでも自然に感じる。かつてはエンジンとミッションの駆動系開発とシャシーの操安性開発はそれぞれが開発してから合体というプロセスだったが、EV化されることですべてが統合制御される開発に変わり、出力と操安にズレがあるようなことがなくなっている。

車速を高速域まで上げてみる。70km/h付近を越えるとエンジン走行するという説明だったが、実際は充電状況によるのだろう、120km/hまで速度を上げてもEV走行をしていた。その時の静粛性も高く、また途中でエンジン駆動に切り替わる瞬間があるが、違和感なくエンジン走行になる。

エンジンの音自体も抑えられ、ロードノイズや風切り音など別な音の要素でエンジン音の大半はかき消されていると思う。ドライバーにはエンジンで走行している感触は伝わりつつも、EV走行時との静粛性のギャップは小さい。クルマ自体が持つ乗り心地の高級感のほうがノイズを上書きしている印象だ。

また、モード切替ではE-CON、ノーマル、スポーツとあるが、どういった場面で使い分けるのが賢いのか?クローズドコースでは明確にはつかめなかった。ただ、エンジン車の場合だと、燃費を稼ぎたい、スポーティに走りたい、といった感情が優先しモードを選択するが、クラリティPHEVだと「この走行環境の時にどのモードが効率がいいのか」という思考が脳内をよぎる。従って、ガソリン車ベースの思考から次のステップでのモード切替があってもいいか?と感じていた。

インテリアデザインも未来的な印象が持てる次世代車という印象で、古臭いと感じる要素はない。操作系やインターフェイスの使い勝手などは、この短い試乗では把握できず、公道試乗のタイミングでレポートしたいと思う。

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