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スズキ「ジムニー」フルモデルチェンジ プロユーザーが選ぶ本格的4WD 詳細解説

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スズキ「ジムニー」フルモデルチェンジ プロユーザーが選ぶ本格的4WD 詳細解説

四角くなった4代目スズキ「ジムニー」がデビューした。マニア、ファンならずとも、このデザインと性能、そしてジムニーという名前からも興味がそそられるモデルだ。さっそく正式発表された新型ジムニーについて詳しく見てみよう。

1970年に初代がデビューしてから軽自動車の4WDとして注目を集めてきたモデル。その本格的なオフロード性能とデザインは根強いファンとともに、仕事で使う働くクルマとしても息の長いモデルだ。1998年にデビューした3代目から20年が経ち、ようやくフルモデルチェンジが行なわれた。その詳細に迫ってみたい。

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■開発の狙い

まず想定ユーザーが他のモデルとは異なり、広く一般的な人をターゲットにするコンセプトではなく、ジムニーの性能を最大限に活用するプロユーザーをターゲットにして開発されたモデルなのだ。プロユーザーとは産業用として利用する林業などの職種の人たち、そしてアウトドアが趣味という、本格的な趣味嗜好のユーザーの期待に応えるモデルとして位置付けている。

さらに、雪国や山岳エリアに住む生活の中で4WDを使用しているユーザーもメインターゲットとしている。そうした「必要な性能」を存分に使いこなす姿を見て、一般ユーザーの街乗りが中心で、プロの道具にあこがれを持つようなユーザーを、そこから取り込むというのが開発の狙いになっている。

従って、4代目ジムニーに求められる性能は本格的な4WD性能と無駄のない機能美、そしてシエラの海外展開を踏まえた世界で認められるコンパクト4WDというのが新型ジムニー/シエラということになる。

■商品特長

車体の基本骨格がラダーフレームというのも興味深い。モノコックが主流であり部品の共通化、モジュール開発が当たり前となった現在で、新規にラダーフレームを開発している。先代のラダーフレームに対して、クロスメンバー、車体中央ややフロントよりにクロスメンバーを追加することで、ねじり剛性を1.5倍に向上させている。レイアウトはエンジン縦置きとし、乗り心地を改良するため新開発のボディマウントゴムを採用している。


4WDはパートタイム式の4WDで副変速機付きになっている。操作はシフトレバー下にあるレバーで切り替える。通常走行時は2Hを選択し、悪路、雪道では4Hを選択。急登坂、急こう配など大きな駆動力を必要とする場合は4Lを選択するという昔ながらの4WD切り替えを持っている。

サスペンションは3リンクリジットアクスル式で、従来と同じ形式になっている。だが、各部品の最適化を図り乗り心地は向上しているという。そしてリジット式のメリットとして、サスペンションストロークが長く取れることを上げ、接地性の向上につながると説明している。

また、4輪ブレーキ制御を標準装備にし、ブレーキLSD効果を持たせている。左右輪のスリップを検知し、空転した車輪にだけブレーキをかけ、反対側の駆動力を確保するというシステムだ。そしてヒルディセント、ヒルホールドコントロールも標準装備し、悪路、急こう配などタフな環境でも安心の走破力を発揮する。

■エンジン

ジムニーに搭載するエンジンはR06A型ターボエンジンで、前型K6A型と比較して4.8kgの軽量化、全幅60mmマイナスという小型化をしている。出力は47kW(64ps)/96Nmで圧縮比を上げたロングストローク型で低回転からトルクが出るタイプのエンジンになっている。もちろん排気量は660ccだ。トランスミッションは5速マニュアルと4速ATとなっている。また、WLTCモード燃費は、MTが16.2km/L、ATが13.2km/L。

シエラに搭載するエンジンはK15B型自然吸気エンジンで、先代M13A型との比較で、14.3kgの軽量化、エンジン本体のサイズもコンパクトで、燃費に優れた性能を持つエンジンと位置付けられている。出力は75kW(102ps)/130Nmとなっている。

搭載されるトランスミッションはジムニーと同様の5MTと4ATで、WLTCモードでは5MTが15.0km/L、4ATが13.6km/Lとなっている。

この2基のエンジンに共通する改良点として、ロングノーズタイプのインジェクター、樹脂製インテークマニホールド、専用フライホイール、アルミ製オイルパンなどを備えている。

エンジン、トランスミッション、4WD性能に関しては信頼性と走りやすさを考えた組み合わせという説明で、4ATに関して、実際はどうなのか? 試乗してからレポートしたい。

■使い勝手

ボディサイズは、ジムニーは軽自動車規格サイズで全長3395mm、全幅1475mm、全高1725mm、ホイールベースは2250mmとなっている。一方のシエラはトレッドを拡大したモデルとなっていて、全長はわずかに長く3550mm、全幅1645mm、全高1730mmでホイールベースはジムニーと同じ2250mmとなっている。

いずれも狭い場所での取り回しの良さと視界の良さを狙っており、最小回転半径はジムニーが4.8m、シエラが4.9mと先代と同等になっている。

また、荷室容量の拡大と使いやすさの向上を狙ったポイントとしては、リヤの灯火類をバンパーにまとめたことで、リヤドアの開口幅を1m以上確保することができ、また荷室高850mm、荷室開口地上高を760mm、シエラ756mmと大きな荷物の積み下ろしの場合など、使いやすさを向上させている。荷室容量は最大最大352L(ジムニーXGは377L)となっている。

■デザイン

新型ジムニーの最大のポイントとも言えるのがデザインではないだろうか。エクステリアデザインの狙いは、「プロの道具をデザインする」だ。


Aピラーを立たせて、フロントウインドウを後方に引くことで、フードが長くFRらしい普遍的なプロポーションになり、Bピラーを直線的にしたことで、クォーターガラス越しの視認性も向上している。また、ガラス面も立てたことで、雪の体積を防ぐ効果もある。

車両の姿勢や状況把握をしやすくするために、全体をスクエアなデザインにしながら、四隅の角Rの取り方の工夫や、クラムシェル型ボンネットとすることなどの特長付けもうまくできている。また、平なガラス面に見えるが、実はすべて3次元曲面ガラスにするなど、こだわりも強くデザインされている。

そして無塗装化した前後バンパーを採用し、躊躇なく過酷な環境に入り込めたり、バンパー左右を切れ上がったデザインにすることで、走破性に有利になるなども織り込んでいる。そして大径のホイールアーチは、タイヤハウス内に腕を入り込ませやすく、タイヤ交換などの作業もしやすくなり過酷な使用環境に耐用する。

歴代ジムニーを継承するデザインも随所に盛り込まれ、どこから見てもジムニーと分かるデザインにまとめられている。例えば、前述のクラムシェル型ボンネット、ヘッドライトと別々のターンランプと、配置もコーナー部より内側に接地。そして5スロットのグリルや、特徴的なスリット処理をクラムシェルボンネットに配するデザインなどが挙げられる。

ボディカラーにもこだわりがあり、日本、欧州のハンターへの調査から、単独ハンティングでは目立たない色が良いということがわかり、また、森で作業を行なう場合や、複数でハンティングを行なう場合は目立つ色を着用していることが分かったという。

そのことから、ジムニーに相応しいカラーは、目立つ性能と隠れる性能を目標に定めて開発されている。目立つイエローがキネティックイエローで、隠れるカラーがジャングルグリーン。加飾を廃止し、必要なところに必要なカラーを配したということだ。

インテリアデザインとカラーの狙いは「機能に徹した飾らない潔さ」だ。開発コンセプトでプロユーザーが求める性能を中心に開発するとしていることから、デザインにおいても機能に徹するというキーワードになるわけだ。したがって、プロの道具として、機能性、操作性、そしてカラー&マテリアルというポイントで見てみよう。

水平基調のインテリアは車両姿勢を感覚的に把握しやすく、またアッパー部にメーター、ナビをレイアウトすることで視線移動を少なくしている。ドアトリムも必要最低限で一文字のアームレストとして、飾らない潔さとしている。

操作性においては、過酷な環境でも見やすい常時発光メーターは日向と日陰を繰り返す状況でも安定した見やすさになっている。そしてグローブをしたままでも操作できるダイヤル式やスイッチの幅や突出量としており、またドアグリップもグローブをしたままでOKという専用パーツを開発している。

カラーマテリアルでは、基本はクロを基本色とし、機能部品は目立つカラーにし、撥水機能の高級仕様シートを用意している。また、樹脂部のシボにもこだわり、耐傷性、汚れ除去性、横基調でメカニカルに感じるもの、緻密性のあるシボ柄などの使い分けをしている。

こうしたシボ加工された樹脂部は、これらの表面処理により、傷が目立ちにくく、反射を抑え、そして部分的には塗装を必要としない、樹脂そのものに色を付けた材料着色樹脂も採用している。

スズキ ジムニー 公式サイト

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