もくじ
ー 同門対決 見慣れたスーパーなモデル
ー ローンチコントロールには大きな違い
ー オンボードカメラが語る真実
ー フロントリフトとの闘い 主導権は誰の手に?
ー 動画でみる同門ドラッグレース
ー 番外編:パニガーレのスタート方法
アウディR8、2.9ℓV6仕様を投入か フェイスリフトで 画像34枚
同門対決 見慣れたスーパーなモデル
クルマ対バイク。これまでも、そしてこれからも続く話題だろうが、今回の対決も興味深い。もはや年中行事となった世論調査のようなものであり、今回はその最新結果だと思ってもらえばいい。この対決はこれまで約100年ものあいだ続いており、これからも同じように繰り返されるに違いないのだ。
今回の設定は非常に単純だ。2台をドラッグレースで競わせる。スーパーカーとスーパーバイクの対決だが、直ぐにこの「日常使い」できるスーパーな2台が、どちらも同じ出自を持っていることに気付くだろう。すなわち、ドゥカティの経営権はアウディが握っているのだ。
アウディが送り出すのは、見慣れたスーパーカーともいえるR8だ。このクルマは車体中央に積んだ自然吸気V10エンジンのパワーを、ローンチコントロール付きデュアルクラッチ・オートマティックトランスミッションを介して四輪全てに伝える。なお、今回の車両はプラス・バージョンではなく、541psと54.9kg-mのパワーを発揮するノーマルのR8であり、12万6200ポンド(1906万円)のプライスタグを掲げる。
一方のドゥカティもよく見るスーパーバイクだが、有名なVツインに替えて、新たに与えられたV4エンジンが、このモデルをこれまでとは違った存在にしている。1103ccの排気量をもつパニガーレV4は、R8と同じくトップモデルのSではなく、毎日乗ることのできる使い勝手の良いモデルだ。175kgのボディに、214psと12.7kg-mのパワーを組み合わせ、アウディほど使いやすくはないが、ローンチコントロールまで備えたこのドゥカティは、わずか1万9250ポンド(291万円)で手に入れることができる。
ローンチコントロールには大きな違い
今回の対決の舞台となるのはブランティングソープの試験場だ。広大ではあるものの、荒れたコンクリート路面は完ぺきとはいい難く、スタート地点はわずかな登りとなっているが、お陰で風の影響を避けることができる。われわれは、ここで長年にわたり、巧みなスタート操作によって、多くのクルマやバイクで素晴らしいタイムを記録してきた。
今日のメンバーでそんなスキルをもつのはひとりだけであり、もちろんわたしではない。わたしが運転するのはローンチコントロールを備えたアウディであり、このクルマには何の技術も必要ない。ギアを入れて、トラクションコントロールで正しいモードを選択し、ブレーキを思いっ切り踏みつけたら、あとはアクセルを踏み込むだけだ。ローンチコントロールがオンになっていれば、自動的に3500rpmまでエンジンの回転数が上がり、あとはブレーキペダルから足を放すだけでいい。
しかし、ドゥカティの方はそう簡単にはいかない。パニガーレに乗るのは、姉妹紙であるWhat Car?のニール・ウィンだ。
ドゥカティにもローンチコントロールは装備されているが、使いこなすのが難しく、ニールの仕事は決して誰にでもできるようなものではない。パニガーレV4のクラッチは一般的なもので、ロケットスタートを切ろうと、いきなりクラッチから指を放すと、リアタイヤが回転し、フロントタイヤを高々と持ち上げるだけだ。
オンボードカメラが語る真実
パニガーレにはウィリーコントロールとともに、ライダーの技量に合わせた3つの設定をもつローンチコントロールが搭載されている。アマチュア、セミプロとエキスパート(ニールはエキスパートを選んだが、ローンチコントロールの操作方法については番外編で説明)であり、さらに、スロットルを開けたまま、クラッチ操作なしに、ギアシフトが可能なフラットシフトというモードもある。いずれにせよ、パニガーレでR8を打ち負かすには、スキルが求められる。
今回の計測方法だが、われわれは、R8とパニガーレにVBoxという名のデータロガーを取り付けた。結果は後ほどご紹介するが、R8のオンボードカメラで、スターターの合図のあと起こった、いくつかの印象的なシーンを確認することができる。
まず、ニールのクラッチを操作する指がR8のローンチコントロールよりも素早く動き、ほんの一瞬、パニガーレのクラッチが繋がり始める方が、R8がドライバーの意図を理解してスタートを切るよりも早い。
そのあと、R8が四輪すべてを使ってパワーを路面に伝えつつ、遅れを取り戻そうとする。コンクリートの荒れた路面では、グリップを確保するため、時折パワーを絞ることもあるアウディだが、この時ばかりはフルパワーで前へと進もうとしているようだ。
視界の片隅で、バイクがフルパワーを発揮するのに苦労している様子を感じるが、そのほとんどは、どうやらフロントが高く持ち上がりすぎるのを防ぐことにあるようだ。このとき重要なのはニールのライディングポジションである。彼は出来る限りタンクに身を伏せて、右足を伸ばしたまま、左足はシフトアップに備えている。一方、R8ではラジオ4を聴いているのかも知れない。
フロントリフトとの闘い 主導権は誰の手に?
最初の計測区間に先に到達するのはパニガーレだ。97km/hまでの加速時間は、ドゥカティの3.28秒に対してアウディは3.43秒であり、161km/hの時点でもパニガーレが先行するのは変わらない(6.30秒と7.72秒)。
その後、R8が順調に速度を上げていく一方、パニガーレは依然としてフロントリフトとの格闘を続けている。ほんの一瞬、まだラジオ4を聴きながら、パニガーレとの差が僅かずつだが縮まるか、少なくとも離されてはいないと思うかも知れない。
でも、実際はそうではない。161km/h以上に加速するまでかかったが、この時点でパニガーレのフロントタイヤのリフトは収まり、どのギアも思いのままに選択できるようになっている。1/4マイル(400m)の時点で、パニガーレは228.61km/hまで10.84秒で到達していたのに対して、R8の速度は203.74km/hで、11.55秒を要している。1/2マイル(800m)では、それが16.46秒で264.25km/hと、18.30秒で242.08km/hになる。
そして、バイクメーカーにとっての最高速度の自主規制値であり、本来は加速が頭打ちになるはずの300km/hに到達してもなお、パニガーレの勢いが衰えることはなかった。
いまのところ、このゲームの主導権は、依然として警官とふたつのタイヤをもつ乗り物が握っている。
動画でみる同門ドラッグレース
番外編:パニガーレのスタート方法
ドゥカティ・パニガーレのローンチコントロールは扱いが難しい。シグナルがスタートを告げても、他のバイクが走り去るのをただ見つめるだけになりかねない。
まずドゥカティ・パワー・ローンチ(DPL)モードを起動させるボタンを長押しし、DPLのレベル設定を行う。1はエキスパート向けであり、バイクのフロントは大きくリフトする。2はセミエキスパート向けで、フロントのリフトが多少抑制される。3を選べばフロントが跳ね上がることはほとんど無く、クラッシュのリスクが減るが、スタートは遅くなる。
モード選択を終えると、1速にシフトするよう求められる。ギアを入れてスロットルを開けると、選択したモードに応じて、エンジン回転数が6000、8000と10000rpmで固定される。
簡単ではないが、ゆっくりとクラッチを放すことができれば、スロットルを大きく開けたままパニガーレは猛烈なスピードで前へと突き進む。
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