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かつて1リッター105馬力の“韋駄天”がダイハツにいた! シャレードGTti試乗 【徳大寺有恒のリバイバル試乗記】

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かつて1リッター105馬力の“韋駄天”がダイハツにいた! シャレードGTti試乗 【徳大寺有恒のリバイバル試乗記】

 徳大寺有恒氏の美しい試乗記を再録する本コーナー。今回はダイハツのコンパクトカー、3代目シャレード GTtiを取り上げます。

 いまはすっかり軽自動車中心のメーカーとなっているダイハツですが、リッターカー、シャレードを販売していた時代には、バリバリのスポーツモデルをラインアップしていました。特に2代目のシャレード・デ・トマソ・ターボ、そして今回の3代目のシャレードGTtiは記憶に残るモデルです。

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 ダイハツ初の4バルブヘッドを持ち、リッター105馬力をたたき出し、0~400m加速テストを15秒18でかけ抜けたシャレードGTtiの凄さを、『ベストカー』1987年3月10日号の徳さんの試乗記で振り返ります。

※本稿は1987年2月に執筆されたものです
文:徳大寺有恒
初出:ベストカー2018年3月26日号「徳大寺有恒 リバイバル試乗」より
「徳大寺有恒 リバイバル試乗」は本誌『ベストカー』にて毎号連載中です


■驚くべき速さ、それをも超える加速の素晴らしさ

フラッシュサーフェスの効いたボディによってCd値は想像以上となる0.32と優れ、リミッターに当たるほどスピードは伸びた

 それにしても凄いリッターカーが現れたものである。シャレードGTtiは3シリンダー、993cc、DOHC12ヴァルブ。そいつにターボ(なんと0.8バールも懸けている)インタークーラーを装備して最高出力105馬力、最大トルク13.3kgmという空恐ろしいパワーを出して見せたのである。

 この強力無比なパワーを790kgという軽いボディに与えたのだから、その走りはすさまじいものがある。案の定、谷田部のテストでは0~400mを15秒台で走り、最高速度は180km/hを記録した。しかし、そんな数字はどうでもいい。とにかくこのクルマは、そのたぐいまれな加速がすばらしいのだ。

「TWINCAM12VALVE」と誇らしげにヘッドに刻印され、赤いプラグコードがポテンシャルを予感させた。

 スターターを回す。EFIだからエンジンスタートは簡単だ。軽いクラッチを踏み、1速に入れる。ホイールスピンを抑えながら、7500rpmでスタート。実にシャープに吹け上がる。

「グシャッ!!」というフィールで2速にシフト、タコメーターの針はすでに6000rpmあたりまで駆け上がっている。とにかくスムーズでよく回る。

 そしてサードの加速はこのクルマの最もエキサイティングな場面。箱根のきつい上り坂をグイグイ上ってゆく。

 いくらツインカムターボエンジンを搭載したといっても、まさかここまで速いとは! 驚き以外にない。

ニードルゾーンメーターと呼ばれるメーターの針が浮かび上がって見えるデザインを採用しスポーツムード満点

サイドサポートアジャスターの付いたスポーツシートが装着される。もちろん5速MTしかない設定だ

■いま最も楽しいFFホットハッチ

 しかし、シャレードGTtiは単純に速いというだけのクルマではない。相当のリファインが伴っている。まず、エンジンのマナーがいい。スムーズでシャープだ。さらにシャシはよく煮つめられており、ドライバーを安心させてくれる。これほど軽いボディに驚くべきハイパフォーマンスを与えられながら、とても優等生なのだ。それはハンドリングにも現れている。

 タイヤはピレリP6を装着する。乗り心地がよくコントローラブルだ。そのいっぽうで、現代の水準からみればグリップ性能はバツグンというわけではないのでよく滑る。しかし、その滑りには粘りがあり、一気に来たりしない。ボディ剛性が高く、ステアリングもしっかりしているので、滑った時も余裕があり修正がやさしい。

 例えばコーナリング時にスロットルの踏み加減やブレーキングでクルマが不安定になったとしても安心だ。シャレードGTtiなら迷わずスロットルを踏めばいい。それでも足りない時は軽くカウンタースティアを当てる。それでみごとに立ち直り、次のコーナーに向けて鋭く加速していくことになる。

F1で知られたスピードラインの14インチアルミホイールとピレリのP6の組み合わせによって、レスポンスのいい走りを披露した

 かくてシャレードGTtiは大物キラーの実にファンなホットハッチとなった。現在最も速く楽しいFFの1台だと断言したい。

 スタイリングに関しても私は嫌いではない。3代目になって大幅にサイズアップを図ったこともあって、ボリューム感がある。前後のフェンダーにブリスターを用い、ロングルーフは後にいくほど下がっていく。よくバランスが取れたもので、もはやチープといわせないスタイリングとなっている。

 またフロントエンドは重厚といえるようなスタイリングであり、軽いボディのクルマには思えない。さらに前後のサイドウィンドウのスタイルもいい。この手法は3年ほど前にシトローエンが空力用の実験車として開発したコンセプトカーによく似ている。

 3ドアハッチバックもいいが、よりいいのは5ドアハッチバックのほうだ。充分に練られた美しいライン面の構成を持つからだ。

 ただ、インテリアは少々残念といわねばならない。GTtiのシートはモケット風の生地を使い、なんとも田舎くさい。本革とまではいわないが、ツイードのような素材を使えば、もっと若々しさが出せたのにと思う。

シャレードGTtiはDRS(ダイハツレーシングサービス)から、国内ラリーのほかWRCのサファリラリーにも挑戦。1987年から1993年まで5度クラス優勝を果たした

◎シャレードGTti 主要諸元
全長:3610mm
全幅:1615mm
全高:1385mm
ホイールベース:2340mm
エンジン:直3SOHC ICターボ
排気量:993cc
最高出力:105ps/6500rpm
最大トルク:13.3kgm/3500rpm
トランスミッション:5MT
10モード燃費:16.0km/L
車重:790kg
サスペンション:ストラット/ストラット
価格:136万7000円
※グロス表記


◎谷田部テストデータ
0~400m加速:15秒18
0~1000m加速:28秒38
0~100km/h加速:7秒79
最高速度:184.14km/h(リミッター作動)

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