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83年当時、異次元の低燃費 34km/L ダイハツ シャレード DE-TX 試乗 【徳大寺有恒のリバイバル試乗記】

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83年当時、異次元の低燃費 34km/L ダイハツ シャレード DE-TX 試乗 【徳大寺有恒のリバイバル試乗記】

 徳大寺有恒氏の美しい試乗記を再録する本コーナー。今回はダイハツ シャレード DE-TXを取り上げます。「5平方メートルカー」というキャッチコピーで一世を風靡した初代シャレードから2代目となり、1Lガソリンエンジンに加えて当時の世界最小排気量を実現した1Lディーゼルモデルがデビュー。最高出力はわずかに38‌psながら、ディーゼルの特徴である低速トルクを生かした走りは、想像を超えた低燃費を生みだしました。

 ディーゼルが大いに注目される当時の日本に大きな衝撃を与え、徳さんの高い評価を得た1983年4月号の試乗記をリバイバル。

世界初 セラミックターボ搭載! 日産 フェアレディZ 200ZR 試乗 【徳大寺有恒のリバイバル試乗記】

文:徳大寺有恒
ベストカー2017年1月26日号「徳大寺有恒 リバイバル試乗」より
「徳大寺有恒 リバイバル試乗」は本誌『ベストカー』にて毎号連載中です


■「小さなディーゼル車」が宿した、大きな痛快さ

 少なくともダイハツは旧型シャレードで培った5年の実績がある。そのダイハツがシティ、マーチに続いて最後にフルモデルチェンジ版を出した。むろん、ボディは新しいし、エンジンに至るまで一新した力の入ったニューモデルだ。そのニューシャレードの隠し玉はなんと1Lのディーゼルであった。1気筒330ccというメリット(気筒の容量があまり小さいとディーゼルはムリという)を生かしたこのエンジンは、技術的な興味を満足させ、かつ高い実用性を持たせたものであった。

小排気量ディーゼルは1気筒あたりの容積が小さく、燃焼室が冷えやすいため圧縮比が上げられなかった。ダイハツは1気筒あたり330ccという比較的大きな排気量とすることで21.5の高圧縮比を手に入れた

 ディーゼルは何より経済的でなければならぬ。もちろんだ。そしてシャレード・ディーゼルの燃費はそれ以上で驚異的というべきであろう。

 ガスチャージを忘れてしまいそうなクルマ、それでいて満タンで千円札を数枚払うだけですむクルマ、これは0~400m加速を15秒台で駆け抜け、最高速度200km/hで走るクルマと同じくらい、いやそれ以上に痛快なことだと思う。

こちらはガソリンモデル。最高出力は60psとパワフルではないが、ストロークのあるサスペンションはライバルであるシティやマーチよりもスポーティだった

■34.32km/Lの高速道燃費を記録

 シャレード・ディーゼルの燃費は東京→千葉県東金の高速道路燃費34.32km/Lと東金→茨城県土浦の一般国道燃費25.25km/L、その平均値である27.65km/Lというすばらしいものである。この燃費を驚異といわずしてなんであろう。東京都内のストップ&ゴーが繰り返されるところでは、もう少し低下するだろうが、それでも22~23km/Lはいけそうだ。

 仮にそうなら35Lのキャパシティを持った燃料タンクだから満タンで750km以上も走ることになる。平均的な日本人ならガスチャージは月1回ですむ。そして、軽油の安さも手伝って代金は4000円弱のはずだ。

高速道燃費が34.32km/L、一般道燃費は25.23km/Lと、現在のアクアを凌ぐような経済性を見せた

 もともと小排気量ディーゼルは高速燃費は苦手のはずである。100km/h巡航時の5速でのエンジン回転は3500回転近い。それでも34.32km/Lという燃費を示したのだ。

 しかし、シャレード・ディーゼルの魅力はただ単に燃費がいいことだけではない。小型車としての基本性能が備わっているからだ。

 ボディサイズはホイールベースを先代から20mm延ばして2320mm、トレッドは前が40mm、後が30mm大きくして有効スペースはかなり拡大した。さらに全高は75mm大きくなり、全長3550×全幅1550×全高1435mmのクルマにしては最大級の居住空間を手に入れた。

 それはライバルのシティやマーチと比べると歴然で、今回のテスト車両は3ドアだったが、5ドアは使い勝手もいいはずで、大人4人のロングツーリングも快適にこなすはずだ。

 改良第2はサスペンションだ。前マクファーソンストラット、後パナールロッドで5リンクコイル式と型式こそ同じだが、パーツ類は新設計でジオメトリーも異なる。

 ストロークは前30mm、後25mm伸ばされた。いっぽう、TXグレードはスタビライザーを採用し、ダンパーのセッティングもハードだ。しかし、充分なホイールストロークと、柔らかめのスプリング、硬いダンパーというヨーロッパ車的なコンビネーションは、ダンピングの効いた乗り心地のよさを示す。シティやマーチに比べ、その乗り心地のよさは顕著なものだ。

 ハンドリングもスティアリングがしっかりしたことに加え、フロントタイヤのロードホールディング性能と後輪のそれのバランスがよく、安心感に加えてスポーティさも味わえる。

リッターカーとして初めてデジタルメーターを採用するなど、先進性にも富んでいた

 新型シャレードをずっと褒めてきたが、スタイルには注文をつけたい。新型シャレードのスタイルが嫌いではないが、やや角張りすぎてはいまいか。この先5年近く作ることを考えるとラインの基本は角であっても、可能なかぎり丸のイメージを与えたほうが、このクルマの魅力を長持ちさせるように思う。

 最後にシャレードのよさはその真面目さにある。これ1台で初心者からかなりクルマにうるさい人まで満足させようと努力したあとが見える。そして、それが充分にクルマに反映している。

’83年9月に始まった日本列島10周連続走行チャレンジ中のシャレード ディーゼルモデル

◎ダイハツ シャレードDE-TX 主要諸元
全長:3500mm
全幅:1550mm
全高:1435mm
ホイールベース:2320mm
エンジン:直列3気筒SOHC DE
排気量:993cc
最高出力:38ps/4800rpm
最大トルク:6.3kgm/3500rpm
サスペンション:ストラット/5リンク
60km/h定地燃費:35.0km/L(5MT)
車重:720kg
価格:101万3000円
※グロス表記

本誌テストデータ
0~400m加速 21.76秒
0~1000m加速 42.04秒
0~100km/h加速 19.01秒
最高速度 123.71km/h
筑波ラップ 1分17秒76 

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