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ボルボ新小型SUV「XC40」に試乗 内外装を評価 「完全復活」裏づけ

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ボルボ新小型SUV「XC40」に試乗 内外装を評価 「完全復活」裏づけ

もくじ

どんなクルマ?
ー XC40はブルドッグ
ー サスペンション/パワートレイン

「ボルボXC40」すべての画像をみる(画像32枚)

どんな感じ?
ー インテリアも「ハッと」 走りは?
ー 2ℓ直4は「実直」 乗り心地、快適性重視

「買い」か?
ー 1stエディション完売も「買い」
ー 安全性に注力 好調を後押しするモデルへ

スペック
ー XC40 T5 AWD R-デザイン1stエディションのスペック

どんなクルマ?

XC40はブルドッグ

ひとをハッとさせるクルマだ。なにかしら魅力的なモノというのはひとをハッとさせるものだけれど、ボルボXC40の実物を箱根の青空の下で見たとき、筆者は目が吸いつけられるような心持がした。

XC40の開発陣は、北欧のメーカー初の小型SUVをXC90、XC60の単なる弟にしようとは考えなかった。

ボルボの伝統的ファミリーカー向けではなく、「わたしのためのクルマを望む」インディビジュアル派のための、大胆にしてエッジの利いた、それでいてカジュアルな、独自の存在に仕立てようとした。

来日したデザイナーによれば、イメージしたのは「直近のSF映画の宇宙船」であり、フロントのデザインはXC90、60がライオンであるのに対して、XC40はブルドッグであったという。

全長4425×全幅1875×全高1660mm、という体躯は、BMW X1やアウディQ3、メルセデス・ベンツGLA等のライバルと比べると、全高がやや高めで、2700mmのホイールベースはGLAと同じ。つまり、もっとも長い。

AUTOCAR本国版の比較テスト(「コンパクトSUV、何を買うべき?(1) 予選ラウンド 前編」)で、後席居住空間がベストとされているのもうべなるかな。

サスペンション/パワートレイン

ボクシーなフロント・フェンダーの造形はランドローバーやジープ・ブランドを思わせさえする。エンジン横置きの前輪駆動ベースの都市型SUVでありながら、しかもボルボというこれまでオフロード4WDとは無縁のブランドでありながら、いかにも現代のオフロード4WD然としたエクステリアをまとわせたところに、XC40の新鮮さの源泉があるのではあるまいか。個人的にはデザイナーが語ったという「直近のSF映画の宇宙船」がなにを意味するのか、興味深いところである。2010年代のSF映画……。

閑話休題。プラットフォームはCMA(コンパクト・モデュラー・アーキテクチャー)と名付けられた新開発の小型車用で、XC90、XC60とは異なり、前ストラット、後ろマルチリンクという、こんにちのCセグメントの標準的なサスペンション形式を採用する。

搭載されるエンジンは、日本では当面、同じ2ℓ4気筒直噴ターボ・ガソリンの出力違いであるT4(190ps)とT5(252ps)の2種類。駆動方式は、T5はAWDのみ、T4はFWDの設定もある。

グレードは、白いルーフがオプションで選べるオシャレな「モメンタム」、革内装の贅沢な「インスクリプション」、それにスポーティな黒いルーフの「R-デザイン」の3種類のほか、単にT4と呼ばれる3,890,000円のベース・モデルもある。今回試乗したのは300台限定で発売され、アッという間に完売になったというT5 AWD R-デザイン1stエディションである。

どんな感じ?

インテリアも「ハッと」 走りは?

ドアを開けてハッとした。ドアの内張りとフロアのカーペットにオプションのオレンジ色のフェルトが用いられているのが利いている。「Lava」オレンジと呼ばれるこれはメーカーオプションで、25,000円とそれほど高いものではないから、ハッとしたいひとにはグーである。

ダッシュボードの中央には9インチのタッチスクリーン式ディスプレイが鎮座する。XC90、60と同じインフォテインメントが奢られていると聞いて得した気分になる。正方形に細かく刻まれたアルミのパネルがグラブボックスの位置とドアノブの近くに用いられていて、キラキラしている。好きなひとにはたまらんだろうし、光り物に関心のないひとにもイヤミを感じさせない(たぶん)。丸みを帯びた縦型のエアダクトの造形も新味があってステキだ。

小物の置き場所は、現代人が車内に何を持ち込んでいるかリサーチして決めたそうで、おかげで、ドアポケットは大きくてノートブック型のパソコンが収納できるし、スマホの充電&置き場所はもちろん、センターアームレストの内側にはティッシュボックスが入り、カップホルダーがゴミ入れにならないように、ゴミ箱のスペースが別に設けられている。まるで軽自動車のごとくに気取りがなくて、リアルライフに寄り添っている。

というようなチェックののち、走り出してみよう。

8速オートマティックのシフトレバーは、フライバイワイア方式を採用していることもあって、クリックするようにギアを選ぶ。RとNとDのみで、Dを選んでもう一度クリックすると高回転までギアを固定するマニュアルになる。パドルシフトがあるのはR-デザインのみである。

乗り込んでリバースに入れてブレーキをリリースしたところ、そのスッと動くさまに一驚した。次に前進すべく、Dに入れてアクセルを軽く踏み込んだ際にも、これまた驚いた。

なんとスッと動くSUVであることか。まるでホットハッチのように俊敏な反応を見せた。アクセルのレスポンスの設定が従来のボルボとは異なる、ということだろう。

大いなる期待を抱いて、いざ箱根の山道へと飛び出して行く。

2ℓ直4は「実直」 乗り心地、快適性重視

荒れた路面でもボディのしっかり感があって、1stエディションは20インチという大径のタイヤ&ホイールを履いているのに低速でもタイヤがドタドタしたりしない。なんて乗り心地のいいSUVだろう。R-デザインは専用スポーツ・サスペンションとなっているはずなのに。

T5の2ℓ直4直噴ターボは、最高出力252ps /5500rpm、最大トルク35.7kg-m/1500-4800rpmを発揮する。車重は1710kgと、ホットハッチにしてはかなり重いけれど、それでも35.7kg-mものトルクがXC40を軽々と走らせる。大トルクが2駆であふれ出すようなことになれば、電子制御のAWD機構が瞬時に4駆に切り換えているはずで、じつにうまいこと制御している。

ただし、スポーティなモデルではないことは、箱根の山道を走り回っているとやがて判明してくる。ボルボの4気筒エンジンはいくら高回転まで回したところで、猛き唸りをあげるわけでなし。淡々とトルクを供給する実直な実用エンジンなのだ。

乗り心地は快適性重視で、スポーツ・サスペンションといっても日常生活に合わせてある。ストローク量がたっぷりしていて、コーナリング中はロール量が大きいし、路面がうねったりしていると、それによってラインが乱されたりもする。しかしそれは飛ばし過ぎだ、という合図と解すべきである、とAUTOCAR本国版も指摘しているように、XC40の評価をいささかも下げるものではない。

XC40は生活に密着した都市型コンパクトSUVなのであって、サーキットの狼ではないことはもちろん、山道の狼でもないのだから。

「買い」か?

1stエディション完売も「買い」

もちろん。北欧メーカー初の小型SUVは、一瞬でひとをとらえ、その2時間後にはあたかも随分前からそこにあったもののように溶け込んでしまう。運転してみてそう感じたのは、使うひとの生活をよくよく考えてつくられているからに違いない。

2017-18欧州カー・オブ・ザ・イヤーをボルボ車として初受賞したのもうなずける。

日本市場はもう少し遅れるかもしれないけれど、来年には電子制御ダンピングも登場するし、プラグイン・ハイブリッドも出番を待っている。XC40ファミリーの輪が広がる。第一歩を記した1stエディションは完売だけれど、もしも中古車市場で見つけたら記念にお買いになってもよいのではあるまいか、と思うぐらいである。

安全性に注力 好調を後押しするモデルへ

2020年までに新しいボルボ車による事故死者や重傷者をゼロにするという、自ら設定した大目標にも向けての安全装備にも怠りない。自動ブレーキをはじめとする16種類もの安全/運転支援機能を、ベース・グレードを含むすべてのXC40に標準装備する。

自動運転はレベル2だし、XC90やXC60といった上級モデルに先駆けて、CTA(クロス・トラフィック・アラート)にオートブレーキ機能を付加してもいる。駐車スペースから後ろに下がるとき、接近する車両や歩行者の存在を検知してドライバーに警告音を発して知らせるだけでなく、必要に応じて自動的にブレーキをかけるシステムだけれど、安全はお金持ちのものにあらず、万民のものであるという思想がいかにも北欧の、わけてもボルボらしいところである。

新型XC90を欧米で発売した2015年以降、商品ラインナップを一新しつつあるボルボは業績好調で、まさにその新型XC90を発売した2015年に初の年間販売台数50万台超えを達成し、昨年は57万台にまで伸ばしている。

日本国内でも、2017年は1万5751台を販売、ドイツ勢に続く第6位の座を占め、ボルボ・カー・ジャパンのスタッフから「完全復活」という喜びの声が聞かれた。小型SUVという成長セグメントにこの魅力的なボルボが投入されたことで、当面の目標である年間販売台数80万台まで、彼らの勢いは続くだろう。

XC40 T5 AWD R-デザイン1stエディションのスペック

■価格 5,590,000円
■全長×全幅×全高 4425×1875×1660mm
■最高速度 –
■0-100km/h加速 –
■燃費 12.4km/ℓ
■CO2排出量 –
■車両重量 1690kg
■パワートレイン 直列4気筒1968ccターボ
■使用燃料 ガソリン
■最高出力 252ps/5500rpm
■最大トルク 35.7kg-m/1800-4800rpm
■ギアボックス 8速オートマティック

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