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フェラーリ812スーパーファスト試乗 マラネロのフラッグシップ 異次元のパフォーマンス

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フェラーリ812スーパーファスト試乗 マラネロのフラッグシップ 異次元のパフォーマンス

もくじ

どんなクルマ?
ー グランドツアラーとは一線を画す
ー ミドシップのスーパーカーに引けを取らない

アルピーヌA110初試乗 バランスは第一級 文句なしの★★★★★

どんな感じ?
ー とてつもない仕上がりのV12エンジン
ー 極めて鋭いハンドリング特性
ー 一般道では引き出せない限界領域

「買い」か?
ー 名は体を表す「スーパーファスト」

スペック
ー フェラーリ812スーパーファストのスペック

どんなクルマ?

グランドツアラーとは一線を画す

フェラーリ812スーパーファストをエキゾチックカーの視点で見ると、若干だが本気度がそこまでは高くないように思える。

実際、このクルマはフロントに大きなV12エンジンを搭載し、クルマの後ろにはラゲッジスペースが備わっているから、どちらかと言うとスーバーGTカーと呼ぶほうが正しそう。つまり、比較するなら、アストン マーティン・ヴァンキッシュSなどが対象となる。

そうなると、このクルマに期待するものは、高速なグランドツアラーとしての完成度だと言えそうだ。

しかし、575Mにまで遡って、これまでテストしてきたすべてのフェラーリがそうだったように、この812スーパーファストもまた、グランドツアラーという仕上がりは目指していない。

このモデルの場合、フェラーリには説得力のある理由に基づいた、独自の意図がある。

ミドシップのスーパーカーに引けを取らない

それは、この812スーパーファストは、マラネロが生み出すもっともパワフルで値の張る量産モデルだということ。フラッグシップモデルなのだ。その点で他のメーカーが生み出すグランドツアラー・モデルとは、位置づけが異なる。

路上では全幅の広さを意識してしまうが、ミドシップのスーパーカーに引けを取らないほど俊足で、エキサイティングなドライビングを提供してくれる。

言うまでもなく、多くのひとが高い関心を寄せているはず。

昨年の6月、新しい電動パワーステアリングと改良が加えられた4輪操舵システムを装備したクルマをテストした際は、限定生産のF12tdfが持っていた欠点に対する素晴らしい回答だと、実感することができた。F12よりも自然で、角の取れた柔らかな性格を持つクルマだと感じた。

英国の3月、右ハンドルで霧雨が降る冷えた道路では、どんな印象を与えてくれるのか、確かめてみたい。

どんな感じ?

とてつもない仕上がりのV12エンジン

この角の取れた柔らかな性格は、どう表現したら良いのだろうか。

ダンパーのセッティングを「不整路面」に設定すれば、高速道路や国道の綺麗な路面なら、非常に上質にいなしてくれる。タイヤが路面をしっかりと掴んでいるのが分かるから、自信を持って、エンジンが持つ性能を味わうことが可能だ。

そのエンジンの印象を一言で語るなら、「とてつもない」だろうか。

アクセルペダルを半分ほど踏み込んで、多くの空気をエンジンへと送り込むと、その潜在能力の高さにすぐに気付く。市街地での走行スピードからハーフスロットルを与え、2速へシフトダウン、3速へと引っ張れば、眠っていた熱い気持ちを呼び起こされるような俊足を披露する。一瞬の出来事だ。

恐れを押しのけて9000rpmめがけてフルスロットルを与えると、強烈だがリニアな加速に息を呑むだろう。そしてエグゾーストが発する、叫び狂うシンフォニーに心が奪われるに違いない。

極めて鋭いハンドリング特性

かと言って、荒れた路面の郊外の道を熱狂的に飛ばしたとしても、リスクにさらされる可能性も低いだろう。

812の乗り心地とハンドリングは、スピードを上げていくほど、路面の凹凸に対して柔軟性は増していく。しかし、サスペンションをもっとも柔らかい設定にしても、神経を使うような硬さは変わらない。

フロントには極めて太いタイヤを履いているが、ステアリングの持つダイレクトさは場所を選ばず、適正なステアリングホイールの重さと中心付近でのスタビリティの高さで、確実なハンドリングが可能。

さらにリアサスペンションは横方向の剛性に優れたもので、鋭いハンドリング特性を生んでいる。フロントタイヤとは異なり、ステアリングの切り始めで同じ凹凸を超えた時などでは、リアタイヤの上下動がボディを少しムズがらせる。

一般道では引き出せない限界領域

812スーパーファストの荒れた一般道での乗り味は、映画アルマゲドンを見た時の感想を思い起こさせる。98%は興奮できるけれど、2%程は恐ろしい。もしくは、その逆だ。しかし、このクルマとの相性の良い路面を探す価値はある。その度に、他では得られない驚きと喜びを与えてくれるだろう。

ハンドリングのレスポンスとターンインの鋭さ、横方向のグリップの高さやバランスなどを考慮すると、極めて優れたミドシップのスーパーカーやレースマシンのような感覚さえ覚えるほど。

812スーパーファストの限界領域は極めて高く、一般道では引き出せないから、サーキットで確かめるしか方法はない。それでも、このクルマの持つパフォーマンスを限界まで楽しむことができるひとは、恐らく限られると思う。

見惚れるようなスタイリングと、極めて優れた運動性能は、虜になる最高のドライビングを体験させてくれるに違いない。一度味わえば、夜な夜な走りに出かけたくなるだろう。

それを止める理由が見当たらない。

「買い」か?

名は体を表す「スーパーファスト」

812スーパーファストというクルマには、名は体を表す、という表現がピッタリだ。

一般道でも、他に例が見当たらないほど、夢中になる興奮を味わうことができる。クルマとしてのパフォーマンスやハンドリングの限界は普通では届かないような異次元にあり、大きな懐の中で、思う存分楽しむことを許してくれる。

でも、期待するほど運転は簡単でもなく、見た通りにボディは大きく、シャシーが生む乗り心地には妥協して、むしろ理性的に受け入れるべきだろう。

間もなくお届けできる、AUTOCARロードテストのフルバージョンでは、ベンチマークとなるラップタイム計測を含め、クルマのあらゆる側面を掘り下げたいと思う。

今回、英国のさまざまな道で検証したことで、812スーパーファストは昨年にわれわれが出した結果より、星半分、良い評価を得る仕上がりとなっていた。サーキットではどんな側面を見せてくれるのか。

最終的な結論はそれを踏まえ、充分な考察のうえで導きたいと思う。

フェラーリ812スーパーファストのスペック

■価格 25万3000ポンド(3795万円)
■全長×全幅×全高 4657×1971×1276mm
■最高速度 339km/h
■0-100km/h加速 2.9秒
■燃費 6.7km/ℓ
■CO2排出量 340g/km
■乾燥重量 1630kg
■パワートレイン V型12気筒6496cc自然吸気
■使用燃料 ガソリン
■最高出力 800ps/8500rpm
■最大トルク 73.1kg-m/7000rpm
■ギアボックス 7速ツインクラッチAT

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