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ルノー トゥインゴGT試乗記 ルノースポールが手掛けたユニークなRR

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ルノー トゥインゴGT試乗記 ルノースポールが手掛けたユニークなRR

どうしてこんなにも個性的な量販モデルを造れるのか?Aセグメントのスモールカーの宿命は量販であるから、多くの人に受け入れられる必要がある。したがって個性的なものは難しく、結果平凡なクルマになってしまうというクルマが多いのだが。<レポート:高橋明/Akira Takahashi>

ルノーのAセグメント「トゥインゴ」。2014年のジュネーブショーでワールドプレミアされ、9月から欧州販売開始。国内は2015年10月の東京モーターショーでジャパンプレミアされ、翌年7月から販売開始されたモデルだ。その後グレードに「ゼン」の追加や限定車「ノクターン」の発売などしてきたが、2017年10月に「トゥインゴGT」を限定200台販売している。が、即完売という人気ぶりだった。

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今回試乗したモデルは同じトゥインゴGTだが、限定ではなくいつでも購入できるラインアップ・モデルとして再登場したのだ。おしゃれセンスを感じ、これほどまでに個性的であるというのもトゥインゴの魅力なのだろう。

限定車との違いは、まず2ペダルが導入された点だ。限定車は5速MTだけだったが、ルノーはEDCと呼ぶ6速DCTを搭載したモデルもラインアップした。AT限定免許の人も含め、だれでも乗れるカタログモデルとしている点が異なる。また、限定車にはボンネットとルーフにデカールがあったが、それがなくなっている。だが、ボディサイドのデカールは残してある。それと、限定車が224万円だったが、同じ5速MTで229万円、6速EDCで239万円という価格が少し違う。

エンジンは変更なく109ps/170Nmで、0.9リッター3気筒ターボエンジンを搭載している。試乗はそのどちらにもできたが、都内の繁華街と首都高速を走るレベルだった。というのは、このトゥインゴGTは、「後輪のスライドを感じられるESCのセッティングにした」というのもポイントとして説明されたのだが、さすがにこの走行環境では、そこまでは分からなかった。

さて、トゥインゴGTは標準のトゥインゴよりスポーティにしてあるのが特徴。RRレイアウトのまま、ルノースポールがチューニングし、サスペンションでもダンパーを専用とし、スタビライダー径も太くしている。とは言え、シティユースが中心のスモールカーで、ワインディングや高速もそこそこ楽しめるという位置づけだ。

ボディサイズが全長3630mm、全幅1660mm、全高1545mm、ホイールベース2490mmで、確かに細かい道でもスイスイと行けるサイズ。さらにリヤエンジンだから、フロントにドライブシャフトがないので、舵角を大きく取れることもメリット。セグメントの平均30度に対し49度も切れるので、小回りは予測以上に小さく回転できる。最小回転半径は4.3mと軽自動車よりも小回りが効くのだ。

反面、トランクスペースがかなり制約を受け、小さいスペースしかない。フロントのボンネットの中は?というと、これもラゲッジスペースとしては使えないようにしてあり、実用性を犠牲にする勇気も凄いと感心させられる。

5速MTでの走行は、シフトストロークは長いけど、スコスコと入るフィーリング。ただ、ギヤ比は欧州のままだと思うので、国産車と比較するとかなりハイギヤードに感じるだろう。市街地の30km/h、40km/hだと2速とか3速が使いやすく、4速でも走行できるがこもり音を発生する。この、こもり音は、日本人は苦手とされているので、ギヤを1段落とすことになる。逆にこのこもり音は、欧州人は気にならないらしいのだ。一度お試しあれ。

EDCは6段あるので、MTよりはクロスレシオで、シフトチェンジも速く乗りやすい。MTにするか、EDCにするか、これは好みの分かれるところだろう。個性的に欧州車の雰囲気を楽しむならMTで、扱いやすさに少し重点を置くならEDCがベターではないだろうか。

面白い技術だとおもったのは、MTの自動スターターだ。MTで走行していて、エンストしたとする。すると、クラッチを切れば勝手にセルモーターが回って再スタートができるのだ。これはいいアイディアだ。焦ってキーをひねる必要がないから、あわてることもないだろう。

ただ、EDC、MTともにペダル配置が左へオフセットしていることと、MT仕様は特に、左足のフットレストのスペースがなく、常にクラッチペダルの上に足を置くか、裏に置くか、手前に畳むか、足の置き場に困る。もともと左ハンドル車なので、右ハンドルしたときの不便さが残っている。

ハンドリングも含め乗り味も個性的だ。RRだからなのか、独特の走行フィールがあり乗っていて楽しい。直進の安定感も抜群で、しっかりした座りがある。0.9Lターボという小排気量とは思えないトルク感と加速力があるので、実に楽しい。クルマを運転する愉しさがあり、エクステリアデザインも含め、Aセグメントなのに、個性的でクルマの愉しさがあるという点では脱帽だ。

また、スポーツダンパーを装備し、タイヤサイズもフロント185/45R17、リヤ205/40R17と扁平サイズなので、乗り心地は少し硬めに感じるが、不快な硬さではないので、きっと気にならいだろう。

外板色はトゥインゴGTの専用色が2色用意されている。オランジュ・ブレイズメタリック(オレンジ)とグリ・リュネールメタリック(グレー)の2色だ。専用色というのも特別感があっていい。

インテリアはオレンジカラーを使い、レザー&ファブリックのシートにホワイト・オレンジラインやステッチがあって、スポーティな印象。さらにシフトレバーやドアトリムなどにもステッチを使うなど、センスあふれるオシャレさを感じる。全体には樹脂パーツが多いのだが、そこを安っぽく見せないというのがデザインセンスの賜物ということだろう。

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