現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 日本で一番乗り! 新型ロールスロイス・ファントムEWB試乗記(ただしチョイ乗り)

ここから本文です

日本で一番乗り! 新型ロールスロイス・ファントムEWB試乗記(ただしチョイ乗り)

掲載 更新
日本で一番乗り! 新型ロールスロイス・ファントムEWB試乗記(ただしチョイ乗り)

誰もが認める世界の最高級サルーン、ロールスロイス・ファントムの新型モデルが日本上陸を果たした。先日のJAIA試乗会ではリヤシートへの同乗走行が行われていたが、今回はなんと自らステアリングを握るという幸運に恵まれた。TEXT&PHOTO:小泉建治(KOIZUMI Kenji)

圧倒的な存在感

Cクラスも半自動運転機能搭載で進化! メルセデス・ベンツCクラス、ジュネーブでマイナーチェンジ版が発表

 クルマにしてクルマに非ず───ロールスロイス・ファントムと相対したときの第一印象である。仕事がら様々なクルマを運転する機会があるし、個人的にはかつてキャデラックを所有していたこともあって、大きなクルマには慣れている……はずだが、目の前にあるこれは、もはや「大きなクルマ」とかそういう類ではなくて、まるで別の乗り物だ。

 とにかくデカイのは言うまでもないが、絞り込みという概念を一切感じさせない「長方体」そのもののフロントセクションと、その先端にそびえ立つパルテノングリル、そして広大なキャビンスペースなどが、その巨大さをさらに強調させている。全長、全幅、全高といったモノサシ的な大きさではなく、なんというか、自分のいる空間一帯の中に占めるファントムの体積の比率が高い。圧迫感とでも言おうか?

 本来であればリヤシートにドカッと腰を据えるのがこのクルマの正しい使い方なのだろうけれど、残念ながら私ひとりしかいないので、ドライバーシートに乗り込む。

 今回の私の立場を白状すると、日本初の国内試乗を許された気鋭のジャーナリストでもなんでもなくて、GENROQ誌にレポートを書いていただく清水和夫さんにファントムを届ける運び屋に過ぎないのだった。だから本気の試乗記は2月26日発売のGENROQ4月号を乞うご期待であります。
 

走り出せば意外と取り回し良好……なんてことはない!

 そんなわけでドライバーズシートに座ってみると、意外や大きさを感じない……なんてことはなくて、ノーズ先端に鎮座するスピリット・オブ・エクスタシーの遠いこと遠いこと!

 走り出してステアリングを切ると、そのすごく遠いところにあるエクスタシーさんがぐぉぉぉ~と大回りして、まるで巨大客船の先端にある棒みたいなやつ(バウスプリットと呼ぶらしいです)を見ているかのよう。

 言い換えれば、運転席からノーズの先端までしっかり見えるということだし、絞り込みが少ないぶん、ノーズの左右末端の位置も把握しやすい。だが把握できたところで、この絶対的なデカさの前には焼け石に水という気がしないでもない。

 おまけに今回お借りしたのはEWD、つまりロングホイールベース仕様だから、リヤホイールもすごく後のほうにある。だから右左折時や車庫入れ時には、内輪差にもかなり気を遣う必要がある。

横綱に相応しい立ち振る舞い

 好ましいのは、アクセルを踏み込んだときのスロットル制御のマナーだ。近年はヘビー級ハイエンドサルーンといえどもアジリティ(俊敏性)が重要ワードのひとつらしく、アクセルを開けたその刹那、まるでハイパースペースに突入する宇宙船の如き怒濤の加速を見せるモデルが多いが、ファントムはあくまで穏やかに、900Nmもの大トルクの存在をひたすら隠すようにスルスルと発進してくれる。

 ハンドリングも同様で、ステアリングそのものは極めて軽いし、ロール量もほどほどで実際には軽快に走るのだが、ステアリングレシオが比較的スローなこともあって、速く走るにはそれなりにドライバーが意志を持つ必要がある。「気がついたらビックリするようなスピードに」というようなことがないのだ。

 その結果、最高出力571ps、最大トルク900Nmという超絶パフォーマンスを持つにも関わらずオラオラ運転にならない。撮影のために夕方の都内を徘徊したが、ちょっとでも道を渡りそうな仕草を見せた歩行者に対してはしっかり停止し、交差点や合流でも他車に先を譲ることが苦にならない。むしろ、それが快感ですらある。

 本当はどんなクルマでもそうあるべきなのだが、こうした超高級車に乗っていて、そういった模範的なドライビングが出来るというのは意義深い。社会的地位の高い人間には、それに相応しい振る舞いが求められる。

 大きさを感じさせない俊敏性の価値は、もちろんわかっている。そのためには高い技術力が求められることも然りだ。だが、速いものは速い、重いものは重いと、乗り手にしっかり感じさせることもまた、重要なことなのかもしれない。


ショーファードリブンとしての本分を全うしている

 清水さんとの待ち合わせに少し時間があったので、首都高速にも乗ってみた。ETCゲートをくぐってアクセルを踏みつけても、相変わらずススーッと音もなく穏やかに加速するのみ。リヤホイールがダダダダダッと暴れたり、大げさなピッチングなどは一切見せない。

 だが誤解なきようにつけ加えておくと、試しに一度だけアクセルを床まで踏んづけてみたときには、それこそあっという間に無法者に……なりかけたのですぐにアクセルを戻した。なにしろオプション込みで7000万円オーバーである。慎重に慎重に……。

 まぁそれはともかく、高速巡航で最も光るのは尋常ならざる静かさである。V12ユニットの静粛性に疑問の余地はない。しかしエンジンが静かになると今度はロードノイズや風切り音が逆に際立ってしまったりするものだが、まずロードノイズに関しては、フロアとバルクヘッドに二層式の合金製スキンを採用することで大幅に抑制させている。
 
 さらに驚くべきはタイヤである。内部に特殊な発泡体の層を形成させ、空洞部で発生する騒音をシャットアウトすることで、タイヤ全体から発生される騒音を9dbも減少させているというのだ。

 一方の風切り音については、そびえ立つグリルや絞り込みの少ないボディ形状を持つにも関わらず、こちらも不思議とそれほど耳に届いてこない。といっても今回はせいぜい70km/hほどしか出せていないわけから、結論をここで出すのは控えておこう。

 いずれにせよ、新型ファントムには130kgもの遮音材が使われているそうで、とにかく余計な音が一切しないのである。

「ショーファードリブンとしての役目を持ちながら、その気になればスポーツカーの如く運転も楽しめる」のが当たり前になりつつある昨今のハイエンドサルーンのなかにあって、新型ファントムは依然としてその本分を全うし続けている。
 
 常に大きさや重さをドライバーに意識させるパッケージングやセッティングの妙は、実際のところリヤシートのパッセンジャーを不快な気分にさせないためのものではあるが、それが結果的に横綱らしい立ち振る舞いを生み出している。そして、そんな立ち振る舞いを演じ、横綱らしさを味わうのもまた、ひとつのファン・トゥ・ドライブだったりするのだ。

●ロールスロイス・ファントム EWB(エクステンデッド・ホイールベース)
全長×全幅×全高:5990×2020×1645mm ホイールベース:3770mm 車両重量:2750kg エンジン:V型12気筒DOHC 排気量:6.75L 最高出力:571ps/5000rpm 最大トルク:900Nm/1700rpm トランスミッション:8速AT 駆動方式FR フロントサスペンション:ダブルウィッシュボーン リヤサスペンション:5リンク 0-100km/h加速:5.4秒 最高速度:250km/h(リミッター介入) 価格:6540万円

こんな記事も読まれています

トヨタ新型「ファミリーSUV」世界初公開! 斬新サメ顔が超カッコイイ! 白内装が豪華&居住性がスゴイ! オシャレな「超静音モデル」北京で発表
トヨタ新型「ファミリーSUV」世界初公開! 斬新サメ顔が超カッコイイ! 白内装が豪華&居住性がスゴイ! オシャレな「超静音モデル」北京で発表
くるまのニュース
日本初の月面着陸&撮影に成功した変形型探査ロボ「SORA-Q」がトミカに! 着陸実証機とセットで受注販売
日本初の月面着陸&撮影に成功した変形型探査ロボ「SORA-Q」がトミカに! 着陸実証機とセットで受注販売
乗りものニュース
都市部におけるBEVの課題解決に──アウディがすべてのBEVユーザーに向け急速充電施設「Audi charging hub紀尾井町」をオープン|Audi
都市部におけるBEVの課題解決に──アウディがすべてのBEVユーザーに向け急速充電施設「Audi charging hub紀尾井町」をオープン|Audi
OPENERS
【ゴールデンウィーク渋滞予測2024】混雑を避けて移動したい! 道路別・渋滞予測まとめ
【ゴールデンウィーク渋滞予測2024】混雑を避けて移動したい! 道路別・渋滞予測まとめ
くるくら
中国自動車業界における歴史的一歩! テインサスペンションの純正採用が実現
中国自動車業界における歴史的一歩! テインサスペンションの純正採用が実現
レスポンス
マツダ、電動セダン『EZ-6』世界初公開、24年発売へ SUVコンセプトも…北京モーターショー2024
マツダ、電動セダン『EZ-6』世界初公開、24年発売へ SUVコンセプトも…北京モーターショー2024
レスポンス
過酷すぎる走行テストを経て「ディフェンダー・オクタ」7月3日発表へ!プレビューイベントも開催予定
過酷すぎる走行テストを経て「ディフェンダー・オクタ」7月3日発表へ!プレビューイベントも開催予定
LE VOLANT CARSMEET WEB
新型「ミニ・エースマン」世界初公開! 第3の“新世代ミニ”は 全長4.1mの電動5ドア・クロスオーバーで登場
新型「ミニ・エースマン」世界初公開! 第3の“新世代ミニ”は 全長4.1mの電動5ドア・クロスオーバーで登場
VAGUE
マツダが新型“最上級セダン”「EZ-6」世界初公開! 光るグリル&半円4連テール&超豪華内装がカッコイイ! 斬新すぎる「マツダ6後継機!?」中国に誕生
マツダが新型“最上級セダン”「EZ-6」世界初公開! 光るグリル&半円4連テール&超豪華内装がカッコイイ! 斬新すぎる「マツダ6後継機!?」中国に誕生
くるまのニュース
そろそろTシャツの季節! ホンダファンにはたまらん歴代シビックのイラストTシャツはいかが?
そろそろTシャツの季節! ホンダファンにはたまらん歴代シビックのイラストTシャツはいかが?
ベストカーWeb
ガソリン代が高いからって寒いのをガマンしても得なし! クルマのエアコン「暖房オフ」は燃費にほぼ効果がなかった
ガソリン代が高いからって寒いのをガマンしても得なし! クルマのエアコン「暖房オフ」は燃費にほぼ効果がなかった
WEB CARTOP
使い勝手の良さを兼ね備えたアーバンSUV! ホンダ「ヴェゼル」がマイナーチェンジ
使い勝手の良さを兼ね備えたアーバンSUV! ホンダ「ヴェゼル」がマイナーチェンジ
LE VOLANT CARSMEET WEB
国産車初の電動メタルトップは駄作? なんで窓枠が残るのよ! 世にも不思議な[ソアラエアロキャビン]は今が底値!
国産車初の電動メタルトップは駄作? なんで窓枠が残るのよ! 世にも不思議な[ソアラエアロキャビン]は今が底値!
ベストカーWeb
ヒョンデの高性能EV『アイオニック5N』が日本上陸! 特別仕様車の予約開始
ヒョンデの高性能EV『アイオニック5N』が日本上陸! 特別仕様車の予約開始
レスポンス
「えっ?」メルセデス・ベンツの最新「Gクラス」は4モーターで“戦車みたいな旋回”を実現!? 実車との初対面で実感!「G580EQ」はすべてが驚異的
「えっ?」メルセデス・ベンツの最新「Gクラス」は4モーターで“戦車みたいな旋回”を実現!? 実車との初対面で実感!「G580EQ」はすべてが驚異的
VAGUE
ホンダが「新型SUV」正式発売! “SUV×セダン”融合させたデザイン採用!? ヴェゼルと違う「e:N」、中国に
ホンダが「新型SUV」正式発売! “SUV×セダン”融合させたデザイン採用!? ヴェゼルと違う「e:N」、中国に
くるまのニュース
三菱 ASX 改良新型…デザイン刷新&機能強化
三菱 ASX 改良新型…デザイン刷新&機能強化
レスポンス
ジャガー・ランドローバーは使用済みバッテリの二次利用システムBESSを開発し、循環型エネルギーシステムとして設置
ジャガー・ランドローバーは使用済みバッテリの二次利用システムBESSを開発し、循環型エネルギーシステムとして設置
Auto Prove

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

5680.06780.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

1248.07950.0万円

中古車を検索
ファントムの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

5680.06780.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

1248.07950.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村