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ニューモデル 2017.10.13

ロールス・ロイス新型 ファントムVIIIに試乗 そもそもの思想、異なる

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もくじ

どんなクルマ?
ー 「ファントムは、ファントムの中のファントム」
ー 軽量化は「二の次」 洗練性/ライド重視

    ボルボXC40はカジュアルな秀作SUV。タイヤサイズが悩みどころ

どんな感じ?
ー ファントムVIIIの内外装 どう変わったか
ー 走らせる前に、語るべき多くのことがある
ー 機敏ではないが精確 室内は静寂のひとこと

「買い」か?
ー すべてが完ぺきではない しかしそれ以上もない

スペック
ー ロールス・ロイス・ファントムのスペック

どんなクルマ?

「ファントムは、ファントムの中のファントム」

これが8代目のロールス・ロイス・ファントム。ファントムの後ろにグレード名などは続かない。唯一、ローマ数字で賢く見える「VIII」だけだ。

どんなに長く居座った王様であっても、いずれは新しい王様へと入れ替わる。新しいファントムには、どんな点が旧型から受け継がれたのか、気になるところだろう。

「ファントムは、ファントムの中のファントムなのです」とロールス・ロイス社のCEOトーステン・ミュラー・エートベッシュは語る。(もしかすると、もう一度ファントムと繰り返していたかもしれない)

いずれにしてもこのクルマは取締役や最高権力者、王子のためのモデルであることは変わりない。

今後すべてのモデルは、新しいファントムのプラットフォームをベースとすることとなる。ロールス・ロイスには不釣り合いな、BMWのプラットフォームを広げて利用することはもうない。

ゴーストやレイス、ドーンも、いずれ置き換わるであろう。またSUVプロジェクトのカリナンでは、このアルミニウムのスペースフレームをベースにファントムより30%ねじれ剛性を高め、サスペンションやミッションのマウント付近など主要部分では100%も剛性を向上させている。

エンジニアリング部門のディレクター、フィリップ・ケーンによると、アルミを用いる車体は手作業で組み立てられ、ホワイトボディは「偶然」軽量化されたそうだ。

偶然?

「われわれにとって、軽量化は最優先事項ではありませんからね。ボディ剛性を向上させることの方が重要なのです」

剛性向上のメリットをロールスは以下のように主張する。

軽量化は「二の次」 洗練性/ライド重視

ボディ剛性を高めることは、ファントムをファントムたらしめる重要な2項目、洗練性と乗り心地に直結する。では、コントロールしやすくするキーは何だろう? それはエアサスペンションである。

エアサスペンションは、アダプティブダンパーとアンチロールバーの機能を統合したような働きを持つが、乗り心地はもちろんのこと、コントロール性にも寄与する。

ちなみに電圧は48Vではなく、12Vのシステムとなっている。また後輪操舵システムも装備しており、最大3°までカウンターステアを機能させる。EWB版なら、一層有効な機能だろう。

なお、ファントムの全長は標準モデルで5.76m、EWB版は5.98mだ。ケーンによると、ボディ剛性の向上だけでなく、洗練性と技術レベルを高められる可能性はすべて取り入れていることが、いずれも前モデルより短かくなっている理由だそうだ。

発泡剤や特殊なシートなど、消音材は130kgにも及び、タイヤの内側にも仕込まれている。明らかにやわらかいサイドウォールのタイヤを装着しており、テスト車両が履く22インチのホイールは、フロント45、リア40扁平のタイヤと組み合わされていた。

またタイヤ内は大きなノイズ共鳴の原因となる空間があるため、マイバッハやメルセデス・ベンツSクラス、テスラ・モデルSと同様、それぞれのタイヤには2kgもの吸音スポンジを内蔵している。バネ下重量は悪化するが、実質的な車重に関してはそれほど影響を及ぼさない。

パワーユニットは従来と変わらず6.75ℓのV12エンジンで、近年では珍しく排気量に変化はない。ゴーストで採用されている6.6ℓV12エンジンのストロークを長くしたものだ。ボアが大きくなっていないのは、トルクを優先したため。ふたつのターボが備わり、ゴーストと同じ571psを発生させる。

特筆すべきトルクは、91.6kg-mで、わずか1700rpmから発生する。ピークパワーは5000rpmとなり、ユニットのレブリミットは6500rpmだが、分厚くラグジュアリーなフロアカーペットめがけてアクセルを踏み込む必要はほとんどないだろう。2500rpm以上の回転数は「通常の運転範囲では使用しないでしょう」とケーンは話す。

どんな感じ?

ファントムVIIIの内外装 どう変わったか

クルマの全高は1646mmもあり、着座位置も多くのエクゼクティブ・ラグジュアリー・サルーンと比較すると150~200mmほど高い。

またボンネットは、スピリット・オブ・エクスタシーの像から導かれる中央のプレスラインがなくなり、従来型と比較してフラットになった。

ミュラー・エトヴェシュいわく「湖に反射しているような」アルミニウムの穏やかな面にマスコットが見える、運転席からの眺めが好きだとのこと。少し想像力が必要かもしれないが。

パルテノン・グリルはVIIほど独立しておらず、比較すればだが、ボディと一体となって見えるのは留意するべき点だろう。

エレガントなサイドビューも、もう少しダイナミックさがあっても良いように思う。しかし、旧モデルもスタイリングを見慣れるまでに少しの時間を要した訳で、今回も同様だろう。

全長が短くなっているが、ホイールベースは長くなっており、室内のレッグルームが不足しているとは感じないはず。

2座のリアシートは広大で快適、パワーシートとシートヒーターが備わり、過剰なほど快適だ。おそらく1週間は車内でくつろげるだろう。

電動ドアのアームレストには独立したエアコンの操作スイッチが備わるが、温度やファンの強さを選択するスイッチはない。青(涼しい)から赤(暖かい)までのスケールが付いたスライドスイッチで、最弱から最強までが自動で調節される。少し古臭く見えるが、非常に機能的だった。もし望めば、冷蔵庫を仕込むことも可能だが、本当に必要なのかどうかは疑問ではある。

ラゲッジスペースも、ゴルフバックが4組も収まるほど大きなものだ。しかし実際の興味はフロントシートの部分で、多くのファントムのオーナーも同様だろう。さて実際は。

走らせる前に、語るべき多くのことがある

新しいファントムは最新のBMW製のエレクトロニクスを採用しており、購入後にも多くのソフトウェアをインストール可能となっている。

恐らくモデルライフは長くなると思われるが、自律式の自動運転技術の類は含まれていない。オーナーがフロントシートに座る時は間違いなく運転したいと思っている時で、もし運転したくないなら、雇っている運転手に頼めば良いだけなのだ。

フロントシートも非常に快適で、各パーツの素材や仕上げ、フィッティングまで賞賛に値する。

ダッシュボードに広がる、新しい「ギャラリー」も素晴らしい。密閉されたガラスの向こうにインフォテインメント・スクリーンがせり上がるだけでなく、そのギャラリー内を好みのグラフィックスで飾ることも可能なのだ。

特別なアートワークでも良いし、息子の足型や、昨年の納税金額の内訳でも良いだろう。何でも飾れるとはいえ、特にこだわらない場合は選択肢が準備されているものの、ケーンは「ファントムには標準仕様はありません」と話す。

同僚のジャーナリストの何人かは、比較的フラットなフロントシートに座るというよりも、シートの上に乗る感じがすると話したが、どうだろうか。

ステアリングホイールは若干前後調整が可能だが、通常とは異なる運転姿勢を取らなければならない。

大きなステアリングホイールのリムはロールス・ロイスらしく細いが、衝突事故に備えて十分やわらかく作られている。ステアリング表面で手を滑らせると耳障りな音が出るのだが、十分に訓練された運転手は、そのようなことはしないだろう。電動でアシストされるステアリングを、指先で自在に操作する技術を身につけることになる。

ファントムは、スポーツカーを運転する魅力とは全く異なる性格ではあるが、運転することも魅力的なモデルだ。ちなみにロールス・ロイスの資料を見ると、何の文章の記載もないはずだ。

価格も記載されていないのだが、標準モデルで£360,000(5335万円)から、EWB版は£432,000(6401万円)からとなる。でも、多くのオーナーはさらに多くの金額を好みの仕様のために上乗せするのだろう。

その金額だけのことはあり、ファントムは極めて静かだ。V12エンジンはわずか650rpmでアイドリングし、エンジンのスムーズさを表している。

機敏ではないが精確 室内は静寂のひとこと

十分なスロットルレスポンスも確保している。アクセルペダルのストロークは長く、思った通りに滑らかに加速する。ステアリングも軽いが、ブレーキペダルには理想的な踏み応えがある。

ロールスのエンジニアは、都市交通での発進/停止時の安楽さについて相当な時間を費やして研究している。そのため、瑞々しいコントロール感覚で、驚くほど楽に、魅力的に、スピードを選ばない運転が可能だ。

ボディサイズと軽いステアリングのために、少しダルに感じられるかも知れないが、ステアリングは十分に正確だ。

乗り味は、静寂に包まれたもの。新型の車内は、前モデルよりも6~7dBほど静かになっている。数値だけではどれほど静かになったのかわかりにくいが、ロールス・ロイスは75%ほど静寂性を高めたとしている。

つまり後席に座っている子供がひそひそ話をしていても、フロントシートの大人には話が聞こえてしまうほど。間違いなく、並はずれたものだ。

乗り心地も同様。すべてを優しくいなす魔法の絨毯のような乗り心地は、あらゆるニューモデルが夢見るような上質なもの。

シャシーの反応はさほど良くないが、十分なコントロール性を得ている。しかしこのクルマの場合、正確にステアリングを操作し、安楽にスムーズな運転を楽しめるか、という点が喜びの本質だろう。そして、一聴の価値のあるステレオシステムも備わっている。

「買い」か?

すべてが完ぺきではない しかしそれ以上もない

極めて酷い神経質なひとだとしたら、中速コーナー域でわずかに看取されるステアリングフィールの違和感に気づくかも知れない。

おそらく、ドライバーが意図するコーナリングラインに対して、後輪操舵と電動パワーステアリングに望まない動作が含まれているのだろう。

そして集中力を高めれば、エアサスペンションであるにも関わらず、荒れた路面で突っ張るような極めて小さな振動を感じ取れるかも知れない。

すべてが完ぺきというクルマはない。その気になれば些細な不備はどんなものにでも見つけられるし、むしろ本当に完ぺきなものとは神の領域くらいだろう。

すべてが本当に有意義か、そうでないかは別として、ファントムはラグジュアリー・カーという尺度において最高峰であり、その縮図でもある。

ファントムとは、ファントムの中のファントムなのだ。トルステンが話していた通りだと思った。

ロールス・ロイス・ファントムのスペック

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(AUTOCAR JAPAN マット・プライヤー)

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