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アルファロメオ・ステルヴィオ 2.2ℓディーゼル試乗 世界基準遠く

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アルファロメオ・ステルヴィオ 2.2ℓディーゼル試乗 世界基準遠く

■もくじ

どんなクルマ?
ーアルファらしい戦いが使命

フェラーリSUV マルキオンネCEOが可能性を示す AUTOCAR予想イラスト公開

どんな感じ?
ーパッケージングに不安あり
ーインテリア、質感アップを期待
ーアルファに大切な「味」はどこへ?

「買い」か?
ー競合と比べると、差を感じる

■どんなクルマ?

アルファらしい戦いが使命

アルファが切りひらく新時代の、そして第2章のカタチ、ステルヴィオの登場だ。ジュリア同様、新しい目論見のひとつの解として。

これまでの伝統的なテイストをもって顧客にアピールできるのだろうか?

高価な「ジョルジオ・プラットフォーム」を使う意味はあるのか?

さらにアルファはドライバーズカーとして受け入れられるのか?

疑問の答えを見つける機会に恵まれた。

英国では、右ハンドル仕様の発売が9月に決まったステルヴィオ。最初は280psのガソリンエンジンと210psのディーゼルエンジンが選べ、その後エントリークラスの180psのディーゼル、200psのガソリンエンジンも選択可能になる。

英国価格は£34,000(476万円)からで、アウディQ5よりも£3,000(42万円)安い。

さらにこのクルマ、パワーウエイトレシオに自信があるようで、現にライバル車よりも100kgから200kg軽い。コンパクトな姿とアルミ製の構造、カーボンファイバー製のプロペラシャフトなどの恩恵だろう。

右ハンドル仕様車の登場を前に、アルファはわれわれに左ハンドルの2.2ℓディーゼル、209psのクルマを用意してくれた。英国の道との相性はどうなのか、検証してみよう。

■どんな感じ?

パッケージングに不安あり

アルファ史上初のSUVとなるステルヴィオを目の前にすると、明瞭な意思をもっているように感じる。

しかしモダンなSUVのそれとは違い、デザインは5ドアハッチバックのようで、それをただハイリフト化しただけのようにも見て取れる。

ルーフラインはなだらかにカーブしており短め。リア周りはライバル車のBMW X3やアウディQ5よりはポルシェ・マカンのそれと似ていると感じたが、しかしデザインはジュリアと比べると、処理に舌を巻くほどではなく、(テスト車だけだといいが)塗装の品質にも、やや疑問を感じる。

ミディアムハイな運転席に腰を下ろす。多くのドライバーは腰を曲げながら乗らなければならないだろう。乗り込んでしまえば頭上空間は広い。

シートのアジャスト機能を使って見晴らしのいいポイントを探していると、リアの視界がとてもいいことに気づく。

ただ、同時に思ったのは、後席のパッセンジャーには低い姿勢を保ってもらわないとこの視界は実現しない、ということ。あまりよく考えられていない。膝のスペースもたっぷりとは言えない。

もっと気になることがある。

インテリア、質感アップを期待

ジュリア同様、ステルヴィオの内装デザインはまずまずの出来。しかしプレミアムブランドとは真逆の、粗末なレザー、光沢のない内装トリム、安っぽいシフトレバーなど、アウディやメルセデスと競合するのを諦めたような仕上がり。

しかし今回のテスト車両についていたスポーツシートはとても快適でホールド感も充分であった。また、見やすい位置にインフォテインメントの機能が配置されているのもよい。

安っぽいスイッチ類に惑わされてタコメーターが「Giri(回転数を計測できるアプリ)」そっくりだということを見落としてしまいそうだった。なぜこのような紛らわしいことをするのか、それは熱心なアルファ・オーナーにしかわからないことなのかもしれない。

いっぽう、4気筒ディーゼルエンジンはうるさいが、吹け上り良好で、このクルマにはマッチしている。トルクフルで変速も素早い。平均的なディーゼルエンジンのSUVよりも鋭いパフォーマンスを発揮するが、これは後発のディーゼルエンジンにも同じことが言えるだろう。

SUVにしては取り回しの良さに長けているも加点ポイント。また、粘り強いグリップ力は車体をきっちりとホールドしてくれる。

ステアリングとブレーキの感覚はどうだろう?

アルファに大切な「味」はどこへ?

ステアリングはジュリアのように軽く、ダイナミック感はあるものの、重たく背の高い車体を支えるにはもっとアシストがあってもいい。さらに安定性の増幅も課題であろう。

ステルヴィオは路面の凸凹などを越えた際にSUVとしての頼もしさを見せる。アルファ製のハンドリングを備えたこのクルマは、ターマックだってスムーズでドライバーの選ぶさまざまなコース上で従順であろうとする。

しかし悪すぎる路面だと、アシの可動域が小さいゆえ跳ねるという難点もある。

パワーステアリング同様、ブレーキシステムも先進システムで制御がなされている。

そのため、ブレーキを踏んだ感覚は実体がないようで、スムーズに止めるのに苦労した。ただし制動力と反応は申し分ないことを付け加えておく。あくまで味わいの問題だ。

■「買い」か?

競合と比べると、差を感じる

ジュリア同様、良くも悪くもちょっと変わった見た目が購買意欲を左右するだろう。エンジンや、費用対効果で考えればいい選択だし、平均的なクルマを買うよりもスリルはある。

問題はこのダイナミック感がどれほど受け入れられるかということ。わたし個人としては、ハンドリングの良さ、さらに乗り心地の良さ、そして外界から遮蔽されたキャビンがあればなお良いと思う。

今回のテストでは、ステルヴィオは姉妹車のジュリアから汲んだものをSUVとして体現しようともがき苦しんだ結果のカタチというように感じた。平均的なプレミアムSUVを買おうとする顧客を他から奪うには、このままでは不利である。

日を追うごとにユーザーの目は肥えているし、ドイツ勢は進歩している。

アルファロメオ・ステルヴィオ2.2 TD 210 AWDスペチアーレ

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