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パナメーラ・ターボS E-ハイブリッド ポルシェの思惑に反し「あと一歩」 価格が理由

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パナメーラ・ターボS E-ハイブリッド ポルシェの思惑に反し「あと一歩」 価格が理由

■どんなクルマ?

パナメーラ・ターボS E-ハイブリッド。

★4.5 パナメーラ・スポーツ・ツーリスモ「ターボ」試乗 独自の魅力

それは「ポルシェのハイブリッドに乗っている」と誰かに話した時の、そっけないリアクションを変えるべく生まれたクルマだ。

先代パナメーラのハイブリッドはAUTOCARの長期テスト車だったが、周囲の反応は生ぬるかったことを思い出す。「へぇ」程度のものだった。

その理由は数多く、なにもそのポジションだけに限ったものではない。

果たして「へぇ」を「ワォ!」へ変えるのに必要なものは何か。700ps近いパワーだろうか、0-100km/h3.5秒を切る加速性能か、はたまた300km/hを超える最高速度だろうか。


わかりやすい数字では物足りなかった

それだけでは足りなかったのだろう。新たなプラグインハイブリッド(PHV)モデル戦略の一環として、ポルシェは「乗用車ライン(パナメーラ、カイエン、マカン)」のトップにPHVを据えることとした。

この新しい£140,000(2,044万円)のパナメーラはその第1弾となるが、なかなか効果的な製法で作られている。

136psのモーターと14kWhのリチウムイオンバッテリー、高電圧電源はパナメーラ4 E-ハイブリッドから、550psのV8ツインターボはパナメーラ・ターボから流用して、これらを組み合わせたのである。

モーターがトランスミッションより上流に設置されるメカニカル・レイアウトは、理論上は120kg-m以上出るはずのトルクを制限することとなった。

それでもパワーは680ps、トルクは1400rpmで86.7kg-mを発揮するとなれば、4座GTとして十分すぎる資質だと納得できるところだ。


■どんな感じ?

「鉄下駄を履いたようなクルマ」

スペック表から予想されたのは、鉄下駄を履いたようなクルマだった、というのが正直なところだ。

その理由の第1は、先進のプラグイン・ハイブリッドのパワートレインは、重量増加が避けられないから。このクルマも、パナメーラ・ターボより300kg重い。

結果、パワーウエイトレシオは10%ほど改善されたが、トルクウエイトレシオはむしろターボに劣る。とはいえ、実用域でのトルクは、モーターのアシストによって明らかに高まっている。

走り出してみると、ターボより力強くレスポンスがいいように感じる。それにも増して、実際より低い回転域でパワーバンドに達したような感覚がある。

低回転域から加速を試みると、モーターの力強い駆動により、ほとんど瞬時にトルクがフルに発揮されるような印象。それも、スロットルペダルを床まで踏み込んでいなくてさえ、しばしばそう感じるのだ。

その時、ギアボックスはトルク容量の限界に近いところで作動することになるが、パワートレインの全力をみごとに処理し、マニュアルモードでもスムーズでラグのない変速を見せる。

しかし、このクルマの乗り心地とハンドリング、ステアリングは、最上級グレードという車格にも、その価格にも、ふさわしいといえるものではない。


パナメーラ・ターボS E-ハイブリッド 気になるところ

駆動用バッテリーとインバーターがリアアクスルより後に搭載されるため、サーキットテストで限界域に踏み込むと、ハンドリングに悪影響が見え始める。

また、不整路面では、ムラのある乗り心地や落ち着きのないボディの上下動に見舞われる。

加えて、ターボSのステアリングは、ターボのそれより軽くフィーリングが希薄で、自信を持って操作できない。

これには重量増加の影響も少なくないが、アクティブスタビライザーのPDCCスポーツが装備されたことで、ほかのパナメーラにあるステアリングの甘美さが損なわれていると、われわれはみている。

とはいえ、エレクトリックモードで、よりリラックスして走らせれば、より好ましいものに思えてくる。満充電であれば、EV走行の航続距離は公称50km程度。

実際にその数値の正確さを確かめることはできなかったが、市場にあるPHVの中では比較的長い方ではありそうだ。

スロットルペダルは、136ps/40.8kg-mというモーター性能を限界まで引き出すのが容易だ。そしてその性能は、市街地での速度域から80km/h程度までならかなり有効で、運転しやすい。


■「買い」か?

ふつうの「ターボ」のほうがよい

パナメーラのハイブリッドに全幅の信頼を置いているのなら、このクルマはこれまでのV6ベースのモデルより大幅に改善されていることを評価できるだろうが、価格も大幅に高まっていることは否定できないところだ。

しかし、電動パワートレインの目新しさに惹かれるだけなら、テスラ・モデルSの最速バージョンの方が魅力的だろうし、最良のパナメーラを買おうというのなら、£25,000(365万円)安いターボを選ぶだろう。

CO2排出量は50g/kmを切れなかったので、英国では税制的な旨味も薄い。パナメーラのヒエラルキーの頂点に据えられたハイブリッドモデルは、ポルシェが期待したほどの魅力を訴求できてはいない。

ポルシェ・パナメーラ・ターボS E-ハイブリッド

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