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★4.5 パナメーラ・スポーツ・ツーリスモ「ターボ」試乗 独自の魅力

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★4.5 パナメーラ・スポーツ・ツーリスモ「ターボ」試乗 独自の魅力

■どんなクルマ?

4+1シーターのフラッグシップ

第48話:ひとりの男が「社会人1年目、ポルシェを買う。」のせいで、ポルシェを買った。1

ポルシェ・パナメーラの実用性を強化したのが、このスポーツ・ツーリスモだ。

われわれは4 E-ハイブリッド仕様をすでに試乗している。あちらはパワートレインがややおとなしいにもかかわらず、なかなか好感が持てた。

今回は、550psのV8ターボ仕様をレポートする。

ルーフラインは、リフトバック版より長くまっすぐで、高さも増している。また、リアのドアと荷室の開口部はわずかに大きい。

ホイールベースとリアのオーバーハングは、通常ボディのパナメーラと同じだが、荷室容量は25ℓ増の520ℓ。後席を倒せば1400ℓ近い。

その後席は、パナメーラとしては初めて3名乗車が可能となった。つまり5人乗りなのだが、ポルシェは4+1という呼び方をしている。

メカニズム関連で、4ドアモデルとの差はわずか。アダプティブエアサスペンションは標準装備。

アクティブスタビライザーとトルクベクタリング機能を持つアクティブ制御のリアデフをセットにしたPDCCスポーツパッケージや、4輪操舵システムなどはオプション設定だ。

重量差は40kgで、価格差は£4,000(578万円)ほど。0-100km/h加速は同タイムだ。


■どんな感じ?

荷室や後席 「見掛け倒し」に終わらない?

ポルシェは実用性を売りにしているが、その点ではこのクルマを積極的に選ぼうとは思わない。

後席は、ドアの拡大で乗降性が改善され、ヘッドルームの改善とサイドウインドウの拡張で、成人4名乗車ならば広々と感じられるようになった。

しかし、5人乗りと大手を振って主張できるものではない。リア中央席は薄っぺらで、足元にはワイドなセンタートンネルが走る。左右よりヘッドルームは減少し、よほど小さい子供でもなければ短距離でも耐えがたい。

荷室はそれなりに大きく、メルセデス-AMG E63ほどのキャパシティがあるわけではないものの、4ドアモデルよりワイドで明らかにマージンがある。

セダン風の独立した荷室を持つパッケージを大きく変えたわけではないが、ハッチバック風のアクセスしやすさが備わった。

ポルシェ曰く、従来のパナメーラは一般的なサイズのスーツケースを4つ積めるが、スポーツ・ツーリスモでは積み方次第で、それが5つに増えるという。

それでも、ユーティリティカーのレジェンドというには程遠いけれど。


外観、むしろパナメーラよりも好まれる?

しかし、スタイリングは、パナメーラに関する最大の疑問に対する待ちかねた回答といったところだ。これまで欠けていたデザインの独自性とヴィジュアル的な魅力を身につけたのである。

運動性能もエンジンのクオリティも先代以上となった2代目パナメーラの、ジグソーパズルの最後のピースがはまったと言ってもいい。

早い話、異常発達してドアが2枚増えた911のような、絶望的なスタイリングではなくなったわけだ。

それを成し遂げたのは、長くなったルーフとサイドウインドウ、傾斜したスマートなDピラー。それだけで、全く違うクルマに見せている。

走らせてみると、このV8ターボのスポーツ・ツーリスモは、よくできたスポーティなGTカーに求められる二元性を提供してくれる。

今年の早い時期にパナメーラ4Sディーゼルをテストしたが、われわれが称賛したのはエアサスペンションだ。

乗り心地の快適さと遮断性に、並外れて緻密なボディコントロールや、路面を捉えているという心強く一貫した感覚を併せ持つのである。

今回のスポーツ・ツーリスモにも、同じものは確かに感じられた。


ヤマでも楽しめるか?

ハンドリングの正確さと安定性、ロールのコントロール、ステアリングの重さとフィードバック、そしてドライバーを熱中させるという点で、アウディRS6などを凌ぐのは明らかだ。

それでいて、しなやかで穏やかな乗り心地や、4WDならではのトラクション、大型車ならではのスタビリティもそこにはある。

長距離を飛ばそうとしても、コーナリングに没頭しようとしても、このパナメーラは満足させてくれる。

次期ベントレー・コンチネンタルGTにも搭載される予定の新型4.0ℓV8ツインターボは、豊潤で魅力的なエンジンだ。サウンドも素晴らしく、さまざまな使用状況において心をひきつけるものが感じられる。

とはいえ、速さだけに限れば新型E63 Sに及ばず、アウディRSの大型モデルほどでもなく、さらに価格帯も考慮すれば、やや行き詰まり感がある。

だが、そうした避けがたい数字的な比較はともかく、路上でのパフォーマンスについて欠点を見つけるのは難しい。

V8ユニットはレスポンスに優れ、トルクは桁外れで、回転はスムーズかつ鋭く、耳も喜ばせてくれる。

8段のDCT(PDK)は直感的にキックダウンし、マニュアルモードのシフトスピードと洗練度もバランスが取れている。


■「買い」か?

もし、スタンダードなパナメーラとスポーツ・ツーリスモとで迷っているなら、間違いなくこちらを選ぶべきだ。候補がもっと多くあるにしても、これを選ぶ根拠は十分にある。

アウディやAMG、アルピナなどの高性能ワゴンに対する決定的なアドバンテージは、より優れたハンドリングだ。実用面がこれまでのパナメーラより改善されたとはいえ、その点では正当なワゴンに敵うものではない。

つまりスポーツ・ツーリスモは高性能ワゴンというより、パナメーラが大型GTスポーツとして花開き、最適化されたものだと考える方が合っている。

パナメーラの登場から8年、新たな方向へ踏み出し、より明確なポジションとキャラクターを開拓することで、ポルシェはついに、その問題児が繁栄できる環境を整えることができたのかもしれない。

ポルシェ・パナメーラ・ターボ・スポーツ・ツーリスモ

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