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トヨタ ヴィッツ マイナーチェンジ試乗レポート 待望のハイブリッドモデル登場

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トヨタ ヴィッツ マイナーチェンジ試乗レポート 待望のハイブリッドモデル登場

2017年1月にトヨタ・ヴィッツがマイナーチェンジを行ない、待望のハイブリッドグレードを追加した。そのハイブリッドモデルに2月上旬、試乗する機会があり試乗してきた。とてもいい方向に改良された部分と、「なぜ、そうしてしまったのか?」という部分もあったので、早速マイナーチェンジと詳細と試乗レポートをお伝えしよう。
<レポート:高橋 明/Akira Takahashi>

トヨタ・ヴィッツにハイブリッドグレードを追加。もちろん市場が求めている声もあるが、トヨタが目指したものは、A、B、Cセグメントのコンパクト2BOXカーで、環境車の占める割を増やし大衆化を目指すという目標を掲げているからだ。トヨタの説明によれば、国産の2BOX市場でガソリン車が61%、環境車が39%だという。従って、より台数の多いセグメントでハイブリッド車を増やすことで、環境に好影響を与えるというわけだ。

■ポジショニング
ヴィッツはBセグメントに分類され、ライバルはフィット、ノート、デミオ、スイフトといったモデルだ。中でもヴィッツ・ハイブリッドの直接のライバルとなるのは、フルハイブリッドのフィット、最近追加されたシリーズハイブリッドのノートe-POWERだ。

燃費比較ではノートe-POWERがダントツの37.2km/LというJC08モード燃費だが、エアコンレスで、ある意味燃費スペシャルなモデルだ。トヨタによれば、同等仕様であれば34.0km/Lだと。またフィットも36.4km/Lの届け出燃費だが、40Lのガソリンタンクがこの1モデルだけ32Lタンクになっており、こちらも燃費スペシャルになっている。

追加されたヴィッツは34.4km/Lで事実上のクラストップの燃費ということになる。がしかし、わずか1km/Lの燃費の差の持つ意味はどれほどなのか?ユーザーの価値観によるものなので、言及しにくいが運転状況によって変わるのが実用燃費であり、ひとつの目安程度なのではないだろうか。

■マイナーチェンジのポイントは3つ
ヴィッツのマイナーチェンジのポイントは次の3点だ。まずハイブリッドグレードの追加、そして、デザインの変更と走行性能向上という3つだ。

デザインは特にエクステリアが大きく変更されている。ランプ、グリル、バンパーが変わり、フロントフェイスの印象は大きく変わった。ワイドに広がるグリルは今の「トヨタ顔」となり、ヘッドランプも3種類用意される。

ガソリン車にはマルチリフレクターのハロゲンが標準で、ハイブリッドはプロジェクター式が採用される。そしてオプションにはLEDが設定されるが、特にラインLEDは夜間点灯時に存在感を示す。リヤランプもバックパネルにまで配され、すっきりとした水平基調でワイド感がでている。

インテリアでは内装に2色を設定。Uグレードにパレルブラウンを設定し、上級車からのダウンサイザーをターゲットにした内装で、落ち着きのあるカラーになっている。Jewelaグレードにはトレンドに敏感な女性を意識したカラーを新規に設定している。

■ハイブリッドグレード
パワーユニットはアクアをベースに改良を加えたシステムを搭載している。エンジンは1.5Lのアトキンソンサイクルだが、シリンダーヘッドの燃焼室形状を変更し、高タンブル流として燃焼速度を速めている。これに伴いピストン周りの抵抗低減も行ない効率化を図っている。

またPCUも充放電制御に改良を加え損失低減をしている。ハイブリッド用の駆動バッテリーはニッケル水素で、内部抵抗損失を低減する改良が加えられたということだ。搭載位置はリヤシート下でガソリン車と同等の居住空間を確保している。

■走行性能
まず、ボディ剛性を上げる改良が施された。インスツルメントリンフォースのブレースやガセットの板厚をアップし剛性を上げている。フロントドア開口部の前部、後席ドア開口部上部にスポット打点増しをしてボディ剛性を上げている。

ダンパーにも改良が加えられている。微低速、中速域におけるフリクションを減らし、減衰の立ち上がりをよくする新タイプのダンパーを採用している。ボディ剛性が高くなった効果を良く動くアシとして体感できる。この微低速、中速域はバルブ形状に工夫を凝らし、オイルの流れを円滑にすることで減衰を立ち上げている。したがって微小舵時の操安領域で抵抗感の少ない気持ちいいハンドリングが期待できるわけだ。

■試乗インプレッション
試乗車はいずれもハイブリッドグレードで「Jewela」と「U」グレードのスポーティパッケージという2台。JewelaハイブリッドはFFの2WDで198万3960円。女性を意識したというマルサラには試乗できず、通常のブラック内装のモデルだった。装着するタイヤサイズは175/70R14。

試乗して最初に感じるのはタイヤサイズの影響もあるが、非常に乗り心地が良く快適という印象だ。ボディ剛性からのダンパー効果がいい仕事をしている。Bセグメントの量販モデルではこのフリクションのない乗り心地はトップレベルで、誰しも満足度が高いと思う。しかし、静粛性においてはもうひとつ。

また、ハイブリッドの駆動用バッテリーという重量物をリヤシート下の床面に置いている影響なのか、全体に重厚感があり、しっとりとした印象を受ける。MC前のヴィッツとはだいぶ異なる印象なのだ。この辺りをエンジニアに聞けば、バッテリー搭載でリヤの剛性があがり、その結果リヤのグリップも上がっているという説明があった。つまりリヤの追従性があがりスタビリティが良くなっているというわけだ。

信号で止まって、発進する際、かなりゆっくり加速させないとエンジンが稼働する。EV走行させようとするには、ソフトタッチのコントロールが必要だ。これは行政も含め「ゆっくり、ジワっと加速」を推奨している影響があるのではないだろうか?しかも出だしでエンジンがかかると「アクセルを踏みすぎです」というアナウンスまでする。

欧州では目標速度まで普通に加速し、巡航させるほうがいいという指導をしているが、日本独特の安全や環境保全に関する価値観の違いなのだろう。ゆっくり加速をすればするほど、その車両の燃費は良くなるが交通の流れ全体には悪影響を与えていると思う。

もちろん、ヴィッツも巡航するとエンジンは止まりEV走行に切り替わる。従って発進もEV、巡航もEVということになるが、巡航速度にするまでの鈍加速は好きになれない。

さて、特徴的なのはハンドリングだった。この後試乗したスポーティパッケージも同様で、あまり好みではなかった。というのは、ステアリングギヤ比を14:1程度までクイックに変更し、微小舵角のときと大舵角のときでクルマの動きが異なっているからだ。

これは駐車場などで取り回しをよくするためにギヤ比を上げたという説明を受けたが、その影響で大舵角時に、クルマが動き過ぎることにつながっていると思う。少し神経質かもしれないが気になる。このことはスポーティパッケージに試乗してみて、さらに分かったことがあった。

スポーティパッケージはその名が示すようにスポーティな乗り味を作っているハイブリッドモデルだ。グレードは「U」で、こちらもFFの2WDで223万7760円。このステアリングフィールはさらにクイックになり、ダンパーでは、バルブは標準と同様だが、シムを厚めのものにして締め上げた仕様になっている。装着するタイヤサイズは195/50R16。

したがって、Jewelaで好印象だった乗り心地がこちらでは、硬いゴツゴツとした印象になった。もちろんタイヤサイズの影響が一番大きいのだろうが。

そしてクイックになったステアフィールだが、微小舵でもノーズがよく動き、大舵角でも良く動く。良く動くことは決して悪いことではないが、気になるのは微小舵の時に動く量と、大舵角の時に動く量が異なっているのが気になるのだ。もう少し差の少ないチューニングにできないものなのだろうか?という疑問だ。

一方、ハンドリングの味付け領域で、「スポーティ」の解釈をクイックに動かすこととしている気がする。かつてはそうした解釈が一般的ではあったが、時代の変化とともに、現在では人間の感覚にリニアに応答するのがベターだというモデルが増えている。

ただし、エンジニアが説明したように、駐車場などでの取り回しに配慮したことからのクイック化なので、一般ユーザーには、この改良がベターだと判断したのだろう。

この日の試乗にはBMW 3シリーズで試乗場所まで向かったが、帰りのBMWのほうが操舵フィールは穏やかに感じるほどだったのだ。それほど、ヴィッツのスポーティパッケージは尖っている仕様だということだ。従って、ステアフィールでは2点の疑問を残した。

操舵量に対して微小舵と大舵角で反応する量が異なることと、スポーティな味付けの解釈という2点。前者は機械的なことや制御からくる事実だが、後者はフィーリング、感覚によるところなので、良い悪いはない。ただ、近年注目されるスバルやマツダの車両とは違った方向だということは間違いないだろう。


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