7月31日と8月1日に富士スピードウェイで行われたスーパーフォーミュラの次期マシン「SF19」の開発テストでは、レース中のバトルを想定し、前を行くマシンの後ろについた際のダウンフォースの抜け方などを確認するテストも行われた。
新型マシンを導入するにあたり、シリーズを運営するJRP(日本レースプロモーション)はオーバーテイクの機会が増えるマシンをひとつのテーマとしていた。その対策としてシャシー製造メーカーのダラーラは、マシンの下面部分でダウンフォースを多く稼ぐデザインを採用。またヨコハマタイヤもフロントタイヤの幅をワイドにしてフロントのグリップを向上させるなど、オーバーテイクの機会を増やすための工夫が凝らされた。
HALOのテストを行った山本尚貴「視界の影響はほとんどない」
これまでは前を走るマシンから発生する空気の乱れ(タービュランス)が影響し、なかなか後ろのマシンが近づけないという現象があった。そのため、SF19では影響がどのようになっているのか……実際に2台がレース中のように接近して走行し、効果の確認が行われた。
2日目の最終セッションに2台並んでコースイン。1周のウォームアップの後、まず最初は#11ホンダ開発車両の山本尚貴が先行し、#00トヨタ開発車両の石浦宏明が背後にぴったりとつけて1周走行。石浦はコース終盤のレクサスコーナー出口で少し挙動を乱すシーンもあった。その後メインストレートで順番を入れ替え、石浦が先行。山本が後追いの状態でもう1周の走行を行った。こちらは、ADVANコーナーで山本がアンダーステアを出しているようだった。
テスト後、2人に感想を聞くと、意見はバラバラ。最初に後ろを走った石浦は次のように語った。
「実際にレース中になると複数台のタービュランスが影響してくるので、(今日のテストだけで判断するのは)難しいですけど、印象としては……ちょっと良い気はしました。正直(SF14と)全く変わらないだろうなと最初は思っていましたが、意外と近づけるなと思いました」
「ダウンフォースは抜けていますけど、走れないことはないかなと思います。SF14の場合は、1対1でも第4戦富士でのニック(・キャシディ)と僕の差ぐらいになってしまいます。それから比べると若干近づけるかなと思います」
また石浦は幅が広がったフロントタイヤも助けになっているという。
「タイヤも太いので、セクター3みたいに空力で走っていないコーナーになると、(ダウンフォースが)抜けていても、フロントのグリップ力が効いている感じがありました。空力よりタイヤのグリップで曲がっていければ、富士だと最終コーナーみたいに小さなコーナーで近づいてメインストレートで仕掛けるというのが、今まで以上にできるのかなという気がします。ただ、最終的にはレースをやってみないと分からないですね」
一方、山本尚貴は石浦とは意見が異なった。
「僕も、SF14と比べるとちょっといいかな……と最初は思いました。(2台並んで)走っている最中はそんなに影響ないかなと思いましたけど、その後に単独で走ったらびっくりするくらいダウンフォースを感じました。狙った通りにはなっていないのかな……というのが正直な感想です」
「コーナリングもそうですが、ブレーキでの(タイヤ)ロックがひどくて、ブレーキング時の風の当たり方がSF14と違うのかなと思いました」
「これが実際のレースのように、もっとラップタイムが上がって、もっと攻め出した時には、多分(ダウンフォースが)ないと言ってしまうと思います」
2人の意見はバラバラだったが、今回は他のテストメニューの兼ね合いもあり、実質的に1周ずつしかテストをしていない。実際のレースではさらに多くのマシンが一緒に走り、それらのタービュランスの影響が複雑に絡み合う可能性もあるということを考えると、新車SF19が追い抜きしやすいマシンになったかどうかを判断するのは、現段階ではまだ難しいようだ。
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