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トヨタ スーパーフォーミュラ第3戦SUGO レースレポート

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トヨタ スーパーフォーミュラ第3戦SUGO レースレポート

2018年全日本スーパーフォーミュラ選手権第3戦SUGO
セーフティカー導入による大波乱の展開
ニック・キャシディが戦略奏功の2位。中嶋一貴3位

 スーパーフォーミュラの第3戦がスポーツランドSUGOで行われ、途中に入ったセーフティカーと戦略の違いで順位が大きく入れ替わり、ニック・キャシディ(KONDO RACING)が自身キャリアベストとなる2位フィニッシュ。中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)が3位、スーパーフォーミュラの決勝レースとしては実質デビュー戦となるトム・ディルマン(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS)が大健闘の4位に入りました。

可夢偉のスーパーフォーミュラ初優勝を奪ったいくつかの“分かれめ”/第3戦SUGO

 スーパーフォーミュラの第3戦が5月26日(土)、27日(日)の両日、宮城県のスポーツランドSUGOで行われました。

 悪天候のため決勝レースがキャンセルとなってしまった前戦オートポリスからわずか2週間。間にスーパーGTのレースを挟んでの連戦という厳しいスケジュールで迎えた第3戦は、杜の都仙台にほど近い、SUGOのマウンテンサーキット。
 
 高い技術と度胸が要求される難コースSUGOでは、一昨年デビューイヤーながら鮮烈な勝利を飾った関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が昨年も連続勝利。関口の3連勝がなるか、僅差での混戦が続くスーパーフォーミュラで、新たな覇者が生まれるか、そして今季より全戦採用となった2スペックタイヤ、ソフトタイヤでの走行は初めてとなるSUGOでどのようなレースが繰り広げられるか、注目の一戦となりました。

予選
 26日(土)は好天に恵まれ、爽やかな風と暖かな日差しという非常に過ごしやすい陽気の下、気温24度、路面温度41度というコンディションで、午後1時20分にノックアウト方式の予選が開始されました。

 ミディアムタイヤでのアタックが義務づけられているQ1(20分)はまず各車一旦タイムを出してピットへ戻り、タイヤを交換して再アタック。1度目のアタックの時点で、上位16台が0.8秒位内に入るという、相変わらず僅差の争いが予想される幕開けとなりました。

 各車が2度目のアタックに入り、次々にタイムが塗りかえられていくなか、残り1分15秒というところで、今大会スーパーフォーミュラ2戦目の出場となるディルマンが電気系のトラブルから止まってしまい、セッションは赤旗中断。この時点で前戦ポールポジションの平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、昨年のSUGO大会ポールのキャシディらがアタックできておらず、Q2進出圏外に。

 セッションは1発アタックがぎりぎりの、残り2分20秒で再開され、トップタイムの国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING)ら上位の数台を除く、当落タイム近辺の車両が再アタックに入りました。

 ここで平川らはタイムを上げQ2進出圏内へ浮上。山下健太(KONDO RACING)が15番手、大嶋和也(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS)が16番手、ジェームス・ロシター(VANTELIN TEAM TOM’S)が17番手でQ1敗退が確定かと思われましたが、ここで、中断前まで5番手につけており、Q2進出は確実として再アタックしていなかった関口が、黄旗区間で減速しなかったとしてベストラップタイムを抹消。16番手へと順位を落とし、Q2進出を逃すこととなってしまいました。
 コースアウトしたディルマンの車両撤去にも手間取り、予定よりも遅れて午後2時15分から7分間のQ2がスタート。今大会、フリー走行からトップタイムをマークするなど好調な石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING)がこれまでのコースレコードを更新する好タイムをマークし2番手。
 
 チームメイトの国本もコースレコード更新タイムでこれに続き3番手。小林 可夢偉(carrozzeria Team KCMG)が5番手、平川が6番手、中嶋が7番手でQ3へ進出。関口の脱落によりQ2進出を果たした山下は進出ラインの8番手にコンマ1秒及ばず10番手、キャシディが11番手でQ3進出を逃すこととなりました。

 Q3(7分)は午後2時32分にスタート。各車Q2までとはなぜかタイヤのグリップ感が変わったコンディションに苦しみながらもタイムアップ。平川がまず1分4秒台に入れると、小林がこれを上回るタイムで2番手、最前列グリッドを獲得。平川は3番手。国本が平川のタイムと1000分の1秒差の4番手で2列目に並ぶことに。

 中嶋は7番手。石浦はセクター2で最速タイムをマークし期待されましたが、僅かに攻めすぎ、SPコーナー出口でハーフスピン。なんとかクラッシュは免れたものの、以降のアタックは諦めざるを得ず、8番手から決勝に臨むこととなりました。
 
決勝
 27日(日)も好天に見舞われ、気温24度、路面温度41度のコンディション。暖かな日差しの下、多くのレースファンが見守るなかで予定よりも4分遅れの午後2時19分、68周で争われる決勝レースのスタートが切られました。

 最前列2番手グリッドの小林はそのままの順位をキープすると、首位の車両から離されることなく周回を重ね、14周目のストレートエンドで首位を奪取しました。

 首位に立った小林は、後続をみるみる引き離し、2位に4秒もの差を付けましたが、17周目、ロシターが前車をパスしようとして接触、2台ともにコースオフ。これでセーフティカーが導入されることとなり、小林が築いたマージンは帳消しとなってしまいました。

中嶋ら数台がこのセーフティカー導入と同時にピットインし、その翌周には平川らもピットへ。これに対し小林と国本の2台はピットインせず、1-2位につけて24周目にセーフティカーが戻り、本格戦が再開されました。


小林はどこかで一度ピットインしなくてはならないため、ピットインを終えた車両よりも前でコースに戻るためには、その車両と約35秒以上のマージンを稼ぐことが必要となり、再スタートから猛プッシュを開始。周回毎に後続との差を広げて行きました。

43周目、実質的な首位となる、ピットイン終了組最上位との差を30秒まで広げてピットインした小林でしたが、ピット作業でタイヤの交換に手間取りタイムロス。アウトラップでも数台にかわされ、実質6位でコースへ復帰しました。
その直後にピットインした国本は、ピットアウト直後にシフトのトラブルに見舞われ痛恨のリタイア。最後までピットインを引っ張った関口、石浦もピットアウト後はポジションを落とすこととなってしまいました。

全車がピットを終えた時点でトヨタ勢最上位の2位に浮上したのは、5周終了という早い時期にピット作業を終えるという、独自の戦略を採ったキャシディ。これにセーフティカー導入と同時にピットインした中嶋が続き、そしてやはり7周目という早いタイミングでのピット作戦を採ったディルマンが4位に浮上しました。


中嶋は前を行くキャシディを攻めましたが逆転には至らず。小林もふたたび猛烈な追い上げを見せ前車との差を1秒以内まで詰めて行きましたが追い上げもそこまで。

キャシディがスーパーフォーミュラ2年目にして自身キャリアベストとなる2位でチェッカー。中嶋が3位で表彰台を獲得。第2戦から7号車をドライブ。前戦の決勝が中止となったため、事実上のデビュー戦となったディルマンが大健闘の4位入賞。

 この日最速の強さを見せながらもセーフティカーなど不運に泣いた小林が6位。山下が8位、平川が9位。石浦は11位、関口は終盤ファステストラップをマークする速さを見せましたが13位に終わりました。

KONDO RACING 3号車 ドライバー ニック・キャシディ
「とても嬉しいです。予想していたよりもはるかに良い結果の週末となりました。金曜日、土曜日ともに好調とは言い難い状況で、昨年ポールポジションを獲得したコースだというのに、方向性が見えず悩みました。しかし、今朝のウォームアップで手応えが得られたので、5周でピットインし、残り63周をソフトタイヤで走るという作戦を僕から提案しました」

「ソフトタイヤの持ちが未知数な中で、チームからはクレイジーだと言われました。途中でセーフティカーが入ったことで、タイヤが冷えてしまい厳しいかと思ったのですが、結果的には燃料面で助かりました。それでも燃料はぎりぎりで、最後の5周は、私のレースキャリアの中でも最も苦労した5周でした。スタート順位を考えれば2位は望外の結果です」

VANTELIN TEAM TOM’S 36号車 ドライバー 中嶋一貴
「展開的に幸運だったというのもありますし、セーフティカーが入ることをある程度頭に入れながら戦略を立てていた部分もあるので、それがある程度当たってくれた結果だと思います。SUGOはちょっとツキがあるのかなとも感じています」

「今季はここまで鈴鹿、オートポリスと非常に苦しいレースが続いていて、今回もQ3進出こそ果たせましたが、決して良い状況ではありませんでした。なかなか気持ち良く走れる状況ではないなかで、何とか結果を出すことができたというのは非常に重要だと思います。これで流れが変わってくれれば良いですし、次戦以降につなげていきたいです」

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