2月15日、ウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップを運営するIMSAは、2月22~23日にセブリング・インターナショナル・レースウェイで行われる公式テストに用いられる各車のバランス・オブ・パフォーマンス(BoP)を公開した。
今回の新BoPはプロトタイプ(P)クラス、GTル・マン(GTLM)クラス、GTデイトナ(GTD)クラスの全クラスに変更があったが、なかでも注目なのは今季GTLMクラスにデビューしたBMWの新型マシン『M8 GTE』の性能が引き上げられた点だろう。
WEC/IMSA:BMWが2018年体制を発表。新車『M8 GTE』を駆るドライバー陣が明らかに
BMWは今シーズン、2017年まで使用していた『M6 GTLM』に替えて、WEC世界耐久選手権/ル・マン24時間レースに出場可能となるFIA GTE規定に合致する『M8 GTE』を開発。1月末のロレックス・デイトナ24時間でレースデビューさせた。
しかし、新型マシンは事前のテストからライバルとなるコルベット、フォード、ポルシェなどにラップタイムで差をつけられ、本戦でもギャップは小さくなったもののトップや表彰台争いに加わることはできなかった。
このような状況に対してBMWは「設定されたBoPによってクルマの真のパフォーマンスが発揮できなかった」とイェンス・マルカルト代表が明言するなど、レースから実質的に除外されることは明らかだったというスタンスのもと、オープンな場でIMSAと協議を続け適正なBoPの設定を求めていた。
そんななかで発行された新しいBoPを見てみると、M8 GTEはエンジン回転数ごとのブーストレシオがほぼ全域にわたって変更されている。具体的には2000~4000rpmの低回転域でデイトナのBoPよりも低く設定されたものの、5000rpm以上の中~高回転域では上昇に転じているといった具合だ。M8 GTEの変更点ではこのほか、燃料タンクの容量が93Lから95Lに増やされている。
GTLMクラスのライバル車では車両重量、エンジン出力などの変更はなし。ただし、デイトナでワン・ツー・フィニッシュを飾ったフォードGTの燃料タンク容量が91Lから89Lに減らされた一方、ポルシェ911 RSRは92Lから94Lへと増加した。
FIA GT3マシンで争われるGTDクラスでも多くのマシンが燃料タンク容量に調整が入り、日本勢ではアキュラNSX GT3が2L増の107Lに。レクサスRC F GT3は2L減らされた98Lとなった。
GTDクラスで大きく変更があったのはメルセデスAMG GT3で、最低地上高が50mmから55mmに引き上げられると同時にエンジンの吸気エアリストリクター経がφ1.0mm絞られφ35.0mm×2となったが、車両重量は前回から5kg減の1375kgとなっている。
デイトナでクラス優勝を飾ったランボルギーニ・ウラカンGT3は吸気リストリクター経がφ1.0mm広げられ、デイトナの事前テスト時と同じφ39.0mm×2に戻った。
キャデラックDPi-V.Rの2連覇という結果に終わったPクラスでは、第2戦セブリングから全車がハイダウンフォース仕様のエアロパッケージを用いる。
今回のBoPではDPi、LMP2のいずれの車両もエンジンパワーや最低重量の調整はなされていないが、アキュラARX-05 DPiのみ燃料タンクが3L分減らされた。
3月17日に行われる第2戦セブリング12時間に向けた公式テストは2月22~23日に開催。このテストにはPクラス14台、GTLMクラス8台、GTDクラスが13台の合計35台がエントリーしている。
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