現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 前走車の「エンジンブレーキ」は“ウザい”? AT全盛で知らない人多い!? 逆に「エンブレ」使わない方が危険なワケ

ここから本文です

前走車の「エンジンブレーキ」は“ウザい”? AT全盛で知らない人多い!? 逆に「エンブレ」使わない方が危険なワケ

掲載 389
前走車の「エンジンブレーキ」は“ウザい”? AT全盛で知らない人多い!? 逆に「エンブレ」使わない方が危険なワケ

■AT車全盛で“エンブレ”の重要性が忘れられている?

 走行中に減速したい場合、「フットブレーキ」だけでなく、ギアを落として「エンジンブレーキ」を使用する人も多いでしょう。
 
 ただエンジンブレーキで減速するとブレーキランプは点灯せず、これが一部の人からは「ウザい」と感じられるとSNSで賛否両論が飛び交う事態になりました。
 
 では、エンジンブレーキを使うメリットやデメリットとは、どのようなことなのでしょうか。教習所の元指導員I氏に聞いてみました。

【画像】「えっ…!」これが今「新車で買えるMT車」です! 画像を見る

 エンジンブレーキはクルマの速度を調整する方法のひとつで、エンジンの回転を落として減速する仕組みで、アクセルを離したり、ギアを1段落として減速効果を得ることです。

 使った記憶がない人でも、上り勾配になればアクセルを踏み込み、下り勾配になればアクセルを緩めるという操作をおこなっていると思いますが、これは無意識にエンジンブレーキを活用しているといえます。

 AT車(オートマチックトランスミッション)では、MT車(マニュアルトランスミッション)ほどアクセルワークだけでエンジンブレーキが体感できないことから、新車で販売されるクルマの9割以上がAT車となった現在、エンジンブレーキの存在が忘れられているようです。

 しかしエンジンブレーキの使用は、クルマやドライバーにとってもメリットのほうが圧倒的に多いといいます。元指導員という経歴を持つI氏も、指導員時代はエンジンブレーキのメリットを何度も説明してきたと話します。

「技術の進化と運転の簡素化によりATが当たり前になりましたが、教習所ではエンジンブレーキの重要性を教わったにも関わらず、どうしてもフットブレーキでの減速に頼る人がいるようです。

 最近のATは非常に進化しており、アクセル操作によってエンジンブレーキをかけることも可能になってきましたし、そもそも『MTモード』は加速というより、上手にエンジンブレーキを活用して走行するための装備です。

 そういった装備を使用せず、『D』レンジに入れっぱなしで走っている人がいかに多いかを思い知らされます」

 SNSで話題となった、エンジンブレーキが「ウザい」「迷惑運転では?」と感じる人の多くが、前走車がいきなり近づいてきた印象を受けているようです。

 ただし「十分な車間距離を取ればいいだけ」や「(前走車を含めた)前方不注意では?」という反論もあります。

「意図的に強力なエンジンブレーキをかけるなどの嫌がらせ行為は『安全運転義務違反』など危険運転に該当する可能性もありますが、通常の原則を目的とした場合は、逆に後続車が『車間距離不保持違反』で摘発される可能性もあります。

 要は前走車がどんな動きをするか予測し、対応するのに十分な車間距離が必要ということです」(教習所の元指導員 I氏)

■エンブレを使いすぎるとエンジンが壊れるのか?

 下り勾配が続く道などでエンジンブレーキを使わず、フットブレーキのみで減速をする運転はトラブルが発生することがあります。

「フットブレーキを頻繁に使っていると、パッドやローターが過熱して効きが悪化する『フェード現象』が発生したり、油圧式ブレーキのブレーキフルードが沸騰してしまい、ペダルを踏んでも踏み応えがなくなる『ベーパーロック現象』が起きる可能性があります。

 数年前に観光バスが横転した事故がありましたが、あれも勾配のある長距離をフットブレーキのみで速度調整していた結果、コントロール不能に陥ったと見られています」(教習所の元指導員 I氏)

 アクセルを緩める、またはギアを下げることで生じるエンジンの抵抗を活用するエンジンブレーキですが、フットブレーキとは違ってブレーキパッドなどを使わない代わりに、エンジンにそれなりの回転負荷をかけることになります。

 エンジンブレーキの多用によってエンジンを傷めてしまう心配はないのでしょうか。

「漫然とした『D』レンジ走行と比較して回転数が上がるため、エンジンブレーキ使用時は多少燃費が悪化する可能性はあります。

 しかし、5速から2速に落とすような極端な操作をしない限り、エンジンへの影響はほとんど心配する必要はないでしょう」(教習所の元指導員 I氏)

 なお、フットブレーキでの必需品であるブレーキフルードは、早ければ2年、長くても4年以内には交換が必要なものです。

「ブレーキフルードが劣化、または使い過ぎで気泡などが混じってしまうと、ペダルを踏んでも油圧が十分伝わらず、上手く制動できなくなることもあります。

 少なくとも2年おきの車検時に行う定期点検(24ヶ月点検)で『ブレーキフルード』の交換はしてほしいです」(教習所の元指導員 I氏)

※ ※ ※

 バッテリーEVやハイブリッド車で用いられる「回生ブレーキ」もエンジンブレーキと同様の効果を生み出す仕組みで、発電に再利用するシステムです。

 モーターは電力を消費して運動エネルギー(駆動力)を得るだけでなく、電気を生み出す発電機にもなります。

 発電機を回すエネルギーを減速させる抵抗として活用することで、アクセルを戻すことで発電機を回しつつ減速する、つまりエネルギーを「回生」させているのです。

 今後EV化がさらに進むなかで、今度は「回生ブレーキがウザい」などといわれるようになるのかもしれませんが、ブレーキの特性を理解して上手に活用して運転しましょう。

こんな記事も読まれています

加速スゴすぎ! BEVやハイブリッド車の「スタートダッシュ」なぜ速い? 一気に爆速で走れるワケとは
加速スゴすぎ! BEVやハイブリッド車の「スタートダッシュ」なぜ速い? 一気に爆速で走れるワケとは
くるまのニュース
高速道路でクルマが故障! 「謎の△」無いと罰金6000円!? 使い方わからない人も多い「三角表示板」とは
高速道路でクルマが故障! 「謎の△」無いと罰金6000円!? 使い方わからない人も多い「三角表示板」とは
くるまのニュース
便利な「ドライブレコーダー」 まさかの「バッテリー上がり」招く可能性も!? 「駐車監視」の注意点とは
便利な「ドライブレコーダー」 まさかの「バッテリー上がり」招く可能性も!? 「駐車監視」の注意点とは
くるまのニュース
中古スポーツカーを買う際のチェックポイントとは? 購入後に泣かないための必須項目3つを解説します
中古スポーツカーを買う際のチェックポイントとは? 購入後に泣かないための必須項目3つを解説します
Auto Messe Web
ワイパー「高速運転」はゴム寿命縮める? 面倒な交換ケチって「ゆっくりモード」本当にコスパは良いのか
ワイパー「高速運転」はゴム寿命縮める? 面倒な交換ケチって「ゆっくりモード」本当にコスパは良いのか
くるまのニュース
ゴールデンウィークは車トラブルが急増! 故障を未然に防ぐ2つのポイント
ゴールデンウィークは車トラブルが急増! 故障を未然に防ぐ2つのポイント
グーネット
あえて今、「マニュアル車」という選択肢! “電動化時代”におけるその存在意義とは
あえて今、「マニュアル車」という選択肢! “電動化時代”におけるその存在意義とは
Merkmal
ダッシュボードは大改善 フォルクスワーゲンID.5 GTXへ試乗 「7」と同モーターで339ps
ダッシュボードは大改善 フォルクスワーゲンID.5 GTXへ試乗 「7」と同モーターで339ps
AUTOCAR JAPAN
「車検通ってるのに…」 でも「整備不良」になることも? SNSで話題の改造トラブル、なぜ? NGとなる理由とは
「車検通ってるのに…」 でも「整備不良」になることも? SNSで話題の改造トラブル、なぜ? NGとなる理由とは
くるまのニュース
「マジで無理」初心者ドライバーが恐怖する「高速道路の合流」どう克服!? 大型連休でビビらないための「準備」とは
「マジで無理」初心者ドライバーが恐怖する「高速道路の合流」どう克服!? 大型連休でビビらないための「準備」とは
くるまのニュース
やってはいけない「マフラー交換」5例。「爆音」「落下」「黒焦げ」など本当にあったダメなカスタムをお教えします
やってはいけない「マフラー交換」5例。「爆音」「落下」「黒焦げ」など本当にあったダメなカスタムをお教えします
Auto Messe Web
次期「ハチロク」登場か 「新GR86」お披露目!? 1.6Lターボ&新MT採用で進化がヤバい! 既販&次期見据えた開発状況は?
次期「ハチロク」登場か 「新GR86」お披露目!? 1.6Lターボ&新MT採用で進化がヤバい! 既販&次期見据えた開発状況は?
くるまのニュース
トヨタ「プリウス」なぜ人気復活? 飽和状態のハイブリッド市場で“先駆者”が再び注目を集めるワケ
トヨタ「プリウス」なぜ人気復活? 飽和状態のハイブリッド市場で“先駆者”が再び注目を集めるワケ
くるまのニュース
マツダが新型「ロータリースポーツ」登場へ!? 美しすぎる「和製スポーツカー」のスペックは?価格は? 期待高まる「アイコニックSP」どうなるのか
マツダが新型「ロータリースポーツ」登場へ!? 美しすぎる「和製スポーツカー」のスペックは?価格は? 期待高まる「アイコニックSP」どうなるのか
くるまのニュース
日産「新型マーチ」まもなく登場!? “丸目”ライトが超オシャレ! 日本市場“復活”期待の「新型コンパクト」どんなクルマになる?
日産「新型マーチ」まもなく登場!? “丸目”ライトが超オシャレ! 日本市場“復活”期待の「新型コンパクト」どんなクルマになる?
くるまのニュース
ガソリン代が高いからって寒いのをガマンしても得なし! クルマのエアコン「暖房オフ」は燃費にほぼ効果がなかった
ガソリン代が高いからって寒いのをガマンしても得なし! クルマのエアコン「暖房オフ」は燃費にほぼ効果がなかった
WEB CARTOP
車検前の準備は何が必要? 洗車やキズ修復はしたがほうが良い? 逆に“事前にしないとダメ”なこととは?
車検前の準備は何が必要? 洗車やキズ修復はしたがほうが良い? 逆に“事前にしないとダメ”なこととは?
くるまのニュース
スズキ新型「軽トラック」発表 オシャ青&意外な”進化点”に驚きの声も!? 新型「キャリイ/スーパーキャリイ」登場に反響多数
スズキ新型「軽トラック」発表 オシャ青&意外な”進化点”に驚きの声も!? 新型「キャリイ/スーパーキャリイ」登場に反響多数
くるまのニュース

みんなのコメント

389件
  • orb********
    >漫然とした『D』レンジ走行と比較して回転数が上がるため、エンジンブレーキ使用時は多少燃費が悪化する可能性はあります。

    エンジンブレーキ使用中は燃料が供給されないから、逆に燃費は向上する(ブリッピング分を考慮しても)。教習所の元指導員の知識がこの程度じゃね…
  • non********
    適切な車間距離を保っていればエンブレが鬱陶しいなんて思わないんだけどな。
    ブレーキランプパカパカ光らす奴のほうが鬱陶しい。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村