現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > なんで日本じゃ売れないの? 日本車の黒歴史(?)とも言われる「尻下がりなクルマ」8選

ここから本文です

なんで日本じゃ売れないの? 日本車の黒歴史(?)とも言われる「尻下がりなクルマ」8選

掲載 74
なんで日本じゃ売れないの? 日本車の黒歴史(?)とも言われる「尻下がりなクルマ」8選

 デザイン的流行なのか空力の影響なのか、近頃「尻下がり」なクルマが増えている。いっぽう日本では、歴史的に尻下がりなクルマはカッコ悪く、売れないといわれてきた。ここではそんなジンクスに挑んだ「尻下がりな日本車」を8台ご覧いただこう!

文/清水草一、写真/ベストカーWeb編集部、ヒョンデ、NISSAN、TOYOTA、ISUZU

なんで日本じゃ売れないの? 日本車の黒歴史(?)とも言われる「尻下がりなクルマ」8選

■世界の流行は「尻下がり」!?

ヒョンデ アイオニック6。ワールド・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞した、いわば「世界が選んだ尻下がり」といえる

 ワールド・カー・オブ・ザ・イヤーと言えば、世界中のモータージャーナリストが集まって選ぶ、文字通り「世界のカー・オブ・ザ・イヤー」だが、その大賞に、ヒョンデのEVが2年連続で選ばれた。日本人としては若干ショックである。

 昨年のアイオニック5は、日本でも発売され大変評価が高かったので納得だが、今年のアイオニック6は、多くの日本人が見たこともないクルマだ。

 そのフォルムは、メルセデスの初代CLSを思わせる流麗な4ドアクーペ。フロントウィンドウからテールにかけてのラインはひとつの円弧を描いており、テールは大きく下がっている。つまり「尻下がり」だ。

 この手の尻下がりフォルムは、近年メルセデスが得意としていて、CLAクーペ/シューティングブレーク、Eクラスクーペ、CLSクーペ、AMG GT4ドアクーペ、そしてEQSなど多用されている。アイオニック6の尻下がりは、このパターンに属する。

 がしかし、国産車では、こういった尻下がりデザインはあまりお目にかからない。歴史を紐解くと、国産車にはこれまでいくつか尻下がりの大失敗作があり、「尻下がりは売れない」という定説ができあがっているのだ。

 今回はその流れを追いつつ、尻下がりの代表的な国産車を挙げてみた。

●2代目日産 ブルーバード(410)

日産 ブルーバード(410)

 1963年発売。ピニンファリーナデザインによる優美な尻下がりデザインだったが、これが日本では大不評で、トヨタ・コロナとの販売合戦敗北の大きな原因になった。日本における「尻下がりはダメ!」神話の源流はここにある。

 トランク部をゆったり滑らかに尻下がりにするデザインは、ジャガーMk-IIに代表されるように欧州では高級車の定番で、尻下がりによって「エレガンス」や「余裕」を表現している。

 人物で言えば、恰幅のいいフォーマルな男性のイメージだが、当時の日本では、410ブルーバードの尻下がりはまったく理解されず、2年半後のマイナーチェンジで水平基調に変更されて消えた。

 実はこの水平基調こそ、日本人の好みにジャストフィットなのである。桂離宮などのシンプルな美に通じるものがあるのでしょう。

●いすゞ ベレット

尻下がり、かつ前下がりのいすゞ ベレット

 410ブルと同じ1963年に発売された尻下がりデザインだが、こちらは「カッコいい!」と人気を集め、10年間のロングセラーとなった。

 なぜブルがダメでベレットはOKだったのか。ブルはボンネットが水平基調、トランクが尻下がりだったため、全体として尻下がりに見えたのに対して、ベレットはボンネットが前下がりだったので、全体を見ればバランスが取れていた。つまり、「お尻のほうが下がっているデザイン」が、日本人は苦手なのだ。

●9代目日産 ブルーバードセダン(U13)

 2代目であれだけ失敗しておきながら、喉元過ぎればなんとやら。日産はまたやってしまいました。30年近い歳月が流れていたのですから、「そろそろ大丈夫か」と思っても仕方ないですが。

 ブルーバードは、6代目、7代目、8代目と水平直線基調のデザインで日本でヒットしていたのですが、それをいきなり北米デザインの尻下がりに変更。日本では声も出ないほど不評で、販売の大半は、どーでもいいデザインのハードトップモデル「ARX(アークス)」になりました。

●日産 レパードJフェリー

 尻下がりデザインの黒歴史を代表するモデル。ブルーバードにはARXがあったので、セダンの尻下がりは目立たずに済んだが、Jフェリーはこれだけだったので、インパクトは絶大だった。

 登場は1992年。Jフェリーはもともと北米向けのインフィニティJ30であり、デザインテイストは、キャデラックセビル(1980年)などのアメリカンラグジュラリーセダンだった。それをそのまま日本に持ってきたところ、日本人の尻下がりアレルギーが大爆発し、歴史的な不評の嵐となった。

 いまJフェリーのデザインを見ると、エレガントでゆったりしてていいなぁと感じるが、当時は私も「身の毛がよだつ」くらいの嫌悪を感じたので、日本人の見る目がまだ未熟だったということでしょう。

●日産 フィガロ

日産 フィガロ

 日産パイクカーシリーズの第3弾として、1991年に2万台限定発売された2+2の小型オープンカー。デザインの狙いはズバリ「レトロ」で、モチーフはMGAあたりと推測される。

 フィガロは当時21万件もの応募があり、大人気だった。尻下がりなのになぜ? ブルセダンもJフェリーもダメだったのにどうして? と思うところですが、4ドアだとダメだけど、2ドアならハッチバックで見慣れているので、尻下がりでも違和感がなかったのでしょう。初代コペンもこの仲間です。

●3代目トヨタ クラウンマジェスタ

 1999年登場。日本では尻下がりセダンはご法度のはずが、このモデルは、ほんのわずかながら尻下がりだった。クラウンのさらに上のモデルゆえ、このくらいの微妙な尻下がりならギリギリ許されたという感じです。

●トヨタ Will Vi

 2000年登場。モチーフはかぼちゃの馬車。トランクは強烈な尻下がりだった。これは尻下がり云々よりも、全体のデザインがあまりにも強烈ゆえ、クルマ好きからは非難の大合唱、一般ユーザーも手が出なかった。

●トヨタ クラウンクロスオーバー

トヨタ クラウンクロスオーバー

 21世紀に入ると、国産セダンはものすごい販売不振になり消滅が相次いで、尻下がりどころではなくなったが、約20年の時を超え、久しぶりに尻下がりと言ってもよさそうなクルマが現れた。クラウンクロスオーバーである。

 厳密には尻下がりではなく、ファストバックセダンですが、フォルムはCLSやアイオニック6と共通する部分がある。セダン絶滅の危機により、ついにこういう国産セダンが現れて、それなりに評価も高いわけですから、時代の流れを感じます。

こんな記事も読まれています

全長4m級! 新型「200馬力超えハッチバック」公開!  誕生から“25周年”の「スポーツハッチ」! 迫力フェイスもカッコイイ「ポロGTI」発売
全長4m級! 新型「200馬力超えハッチバック」公開! 誕生から“25周年”の「スポーツハッチ」! 迫力フェイスもカッコイイ「ポロGTI」発売
くるまのニュース
大型トラックに休憩義務はあれどSA・PAは慢性的な駐車枠不足! 対策で出てきた「駐車有料案」はハッキリいって愚策そのもの!!
大型トラックに休憩義務はあれどSA・PAは慢性的な駐車枠不足! 対策で出てきた「駐車有料案」はハッキリいって愚策そのもの!!
WEB CARTOP
洗練&堅牢、モデリスタがトヨタ ランドクルーザー250 をカスタム
洗練&堅牢、モデリスタがトヨタ ランドクルーザー250 をカスタム
レスポンス
はたらくクルマ図鑑「ヤマグチのレッカー車たち」1
はたらくクルマ図鑑「ヤマグチのレッカー車たち」1
グーネット
Moto2スペイン決勝|フェルミン・アルデゲル、母国戦勝利! 小椋藍は追い上げ11ポジションアップの6位
Moto2スペイン決勝|フェルミン・アルデゲル、母国戦勝利! 小椋藍は追い上げ11ポジションアップの6位
motorsport.com 日本版
「小仏トンネルを先頭に渋滞」なぜなのか? 混みやすい原因が満載!? ほとんどトラップの数々
「小仏トンネルを先頭に渋滞」なぜなのか? 混みやすい原因が満載!? ほとんどトラップの数々
乗りものニュース
4人乗れる「軽トラ」!? 今も“新車”で買える斬新「商用車」が存在! 仕事から趣味、ファミリー用でも使える「超個性派モデル」に注目あり!
4人乗れる「軽トラ」!? 今も“新車”で買える斬新「商用車」が存在! 仕事から趣味、ファミリー用でも使える「超個性派モデル」に注目あり!
くるまのニュース
スーパーGT参戦で初来日。ニクラス・クルッテンが感じた、地元ドイツとは違う日本レース界の魅力「ここではモータースポーツが高く評価されている」
スーパーGT参戦で初来日。ニクラス・クルッテンが感じた、地元ドイツとは違う日本レース界の魅力「ここではモータースポーツが高く評価されている」
motorsport.com 日本版
6年目にしてPHEVへ! ランボルギーニ「ウルスSE」は「ペルフォルマンテ」と「S」のいいとこ取り!?「北京国際モーターショー」でワールドプレミア
6年目にしてPHEVへ! ランボルギーニ「ウルスSE」は「ペルフォルマンテ」と「S」のいいとこ取り!?「北京国際モーターショー」でワールドプレミア
Auto Messe Web
モーターマガジンMovie 週間視聴回数BEST5 プラス1(2024年4月21日~4月27日)
モーターマガジンMovie 週間視聴回数BEST5 プラス1(2024年4月21日~4月27日)
Webモーターマガジン
F1参戦諦めないアンドレッティ、準備着々。シルバーストンで働くスタッフの採用開始……御大マリオ「これ以上何ができようか」
F1参戦諦めないアンドレッティ、準備着々。シルバーストンで働くスタッフの採用開始……御大マリオ「これ以上何ができようか」
motorsport.com 日本版
小型or多機能? 車内の充電環境を快適化できる“ハイパワー”な電源アイテム登場!【特選カーアクセサリー名鑑】
小型or多機能? 車内の充電環境を快適化できる“ハイパワー”な電源アイテム登場!【特選カーアクセサリー名鑑】
レスポンス
プレミアムカーに搭載されている「Dolby Atmos for cars」が奏でる圧倒的な臨場感の秘密
プレミアムカーに搭載されている「Dolby Atmos for cars」が奏でる圧倒的な臨場感の秘密
@DIME
最強最後の「V8エンジン」搭載モデル!? 650馬力の「爆速スポーツカー」予約再開に“購入希望”の声あり! 2500万円の新型「コルベットZ06」とは
最強最後の「V8エンジン」搭載モデル!? 650馬力の「爆速スポーツカー」予約再開に“購入希望”の声あり! 2500万円の新型「コルベットZ06」とは
くるまのニュース
Moto3スペイン決勝|山中琉聖、表彰台争うも一歩届かない2戦連続の4位。コリン・ベイアーが勝利
Moto3スペイン決勝|山中琉聖、表彰台争うも一歩届かない2戦連続の4位。コリン・ベイアーが勝利
motorsport.com 日本版
スーパーGT 2024年シーズンが開幕! GT500クラスは36号車「au TOM’S GR Supra」が圧倒的強さを見せつけました
スーパーGT 2024年シーズンが開幕! GT500クラスは36号車「au TOM’S GR Supra」が圧倒的強さを見せつけました
Auto Messe Web
メルセデス・ベンツ「GLCクーペ」にPHEV「GLC 350 e 4MATIC Coupe Sports Edition Star」が新たにラインナップ。EV走行118kmを実現
メルセデス・ベンツ「GLCクーペ」にPHEV「GLC 350 e 4MATIC Coupe Sports Edition Star」が新たにラインナップ。EV走行118kmを実現
Webモーターマガジン
九州産交バスが「くまモン」デザインのラッピングバス運行開始
九州産交バスが「くまモン」デザインのラッピングバス運行開始
レスポンス

みんなのコメント

74件
  • レパードJ.フェリー。
    アウトラインはそんなでもないがテールランプの位置と形が致命的だった。
    今出しても絶対売れない。
  • 日本人はカクカクデザインの方が好きなんだよ
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村