高級SUV市場が活況だ。近年、ロールスロイスもベントレーもアストンマーティンもランボルギーニもこのカテゴリーに参入してきた。これまでX1~X6まで順調にラインアップを拡大してきたBMWが、より大きくてラグジュアリィなSUVをと、新開発したのがX7だ。その特徴を端的にいえばBMW最大最上級の7人乗りSUVであることだ。
ボディサイズは全長5165×全幅2000×全高1835mmとかなり大柄。ただし、最小回転半径は6.2mとなっているので、致命的に取り回しが悪いわけではない。ボディサイズは全長5165mm、全幅2000mm、全高1835mm、ホイールベースは3105mm。X5に比べて全長を230mm、ホイールベースは130mm延伸している。水平基調の四角いデザインで効率を求め、余裕のある室内空間を実現。そして最新のデザイントレンドである巨大なキドニーグリルによってBMWであることを主張している。
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試乗車は内外装に上級装備を施した「X7 xDrive35dデザイン・ピュア・エクセレンス」だった。シートには肌触りのソフトなメリノレザーを使用。スタート/ストップ・ボタンやATのセレクターレバー、iDriveコントローラー、音声調整ボタンが手作業によるガラス仕上げの「クラフテッド・クリスタル・フィニッシュ」となるなど随所にこだわりが見てとれる。
そして2列目シートには3人用のベンチタイプに代わって、オプションの独立したコンフォートシートが装備されていた。こちらは6人乗り仕様となるのだが、両席にセンターアームレストが配備されるなど2列目の乗員の快適性が増すとともに3列目へアクセスしやすくなるといったメリットもある。3mを超えるホイールベースの恩恵もあって3列目シートもゆったりとしたものだ。約180cmの身長の男性でも問題なく座ることができる。
シートアレンジは荷室に配置されたスイッチからほとんど電動で行える。ラゲッジ容量は、3列目を格納した状態で750リッター、2列目もフラットにすれば、2120リッターにまで拡大する。リアゲートは上下2分割式で使いやすいものだ。
Mモデルを除き、現在はディーゼルエンジン搭載の35dのみをラインナップするX7。試乗車に搭載されていたのは、最高出力265ps、最大トルク620Nmを発揮する3リッター直6エンジンだ。BMWの全部が詰まっている?パワートレインは最高出力265ps、最大トルク620Nmを発揮する3リッター直列6気筒ディーゼルエンジンに、8速ATを組み合わせる。2000回転から最大トルクを発生し、2.4トン超の巨体をストレスなく加速させる。いわれなければディーゼルとはわからないほどの滑らかさで、BMWの“シルキーシックス”はやっぱりいいなと痛感する。
BMWライブ・コックピットは、学習機能を備えたカーナビゲーションを搭載。また、インストゥルメント・ディスプレイでの各種操作はタッチ操作のほか、ジェスチャーや音声でも操作が可能。4輪アダプティブエアサスペンションは、路面状況を各ホイールのセンサ―で感知し、必要に応じて車高を自動調整するようになっており、高速走行時には車高を自動的に下げてドライビングダイナミクスの向上と空気抵抗の低減に貢献する。オフロード走行時にはセンターコンソールのスイッチにより上下40mm(最大80mm)の調整範囲内で車高を5段階から選択することも可能だ。
また試乗車はフロント275/40、リアは315/35の22インチサイズのピレリPゼロを装着していたが、これほどの大径&超扁平タイヤにもかかわらず電子制御ダンパーによってボディはゆったりと動き、大きな突き上げなどはまったく感じられず、しなやかな乗り心地を実現していた。
リアシートにはオプションで10.2インチのHDディスプレイを搭載。Blu-rayディスクなどの各種エンターテインメントを楽しむことができる。そして、最新のADAS(先進運転支援システム)も満載だ。高速道路での渋滞時に一定条件下で手放し運転を可能にする「ハンズ・オフ機能付き渋滞運転支援システム」や、直近に走行した50mまでの軌跡を記憶し、そのルートをバックでトレースすることができる「リバース・アシスト」も搭載している。これは狭い道で対向車とすれ違うときにバックする必要に迫られた場面などでとても有用な機能だ。
このグレードには、セレクター・レバーやスタート/ストップボタンなどに、手作業で仕上げられたガラス「クラフテッド・クリスタル・フィニッシュ」が使われている。この「X7 xDrive35dデザイン・ピュア・エクセレンス」の車両価格は1229万円。試乗車はさらにたくさんのオプションがのっかって1534万円だった。けれど、これだけ内容の充実したBMW最大最上級のSUVがこの値段で買えるのだとするならば、とてもリーズナブルなんじゃないか、とすら感じたのだ。
文・藤野太一 写真・柳田由人 編集・iconic
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