現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 【ヒットの法則113】プジョー407クーペはセダン/SWとは別格の存在だった

ここから本文です

【ヒットの法則113】プジョー407クーペはセダン/SWとは別格の存在だった

掲載 更新 5
【ヒットの法則113】プジョー407クーペはセダン/SWとは別格の存在だった

2005年9月、プジョー407に待望のクーペが登場している。歴代プジョーのクーペモデルはどれも名車と言われ人気を集めているが、407クーペはどのように受け入れられたのか、スペイン・グラナダで行われた国際試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2005年12月号より)

トルクフルで骨太感のあるディーゼルエンジンに好感
407クーペは、404、405、406と続くプジョー伝統のクーペモデルの最新作。先代406クーペは406セダン/ブレイクとは異なるデザインテイストを身にまとっていたが、新型407クーペではシリーズの流れを汲むものとなったのが特徴だ。407セダン/SWと同様なデザインというより、この407クーペのデザインが先に決定し、これをモチーフに407セダン/SWが開発されたとも言われている。

2019年もっとも読まれた記事ランキング発表、2位は運転免許証の謎、さて1位は?

クーペモデルが特別な存在であることに変わりはない。単なるクーペバージョンではなく、407シリーズの中にあって、407クーペは別格として君臨する。407セダン/SWと407クーペを仔細に比べてみると、フロント部など同様に見えるが実は全くの別設計であり、躍動感や洗練さが際立っているのがわかる。

メカニズム的に見ても、基本構造は407シリーズと共通ながら、専用に大きく手が加えられている。エンジンは3L V6(210ps)と2.2L直4(160ps)、2.7L V6ディーゼル(205ps)の3種。1.8L/1.6L直4ユニット、2L/1.6L直4ディーゼルユニットの設定はない。

組み合わされるトランスミッションはすべて6速。2.2L直4はマニュアル、2.7L V6ディーゼルはオートマチック、3L V6にはその両方が設定されている。エンジン出力特性にあわせギア比がセットされているのは言うまでもない。

室内のトリムレベルは、スポーツ、スポーツライン、グリフの3種類が用意されるが、4つの独立した特別なシート、本物のアルミを使った細部、ダッシュボードの特殊仕上げ、ハンドステッチによるレザートリムなど、明らかにセダンとの差別化が図られている。さらに、オプションで特別な仕様も用意されている。

スペシャルなクーペモデルということもあって、走りも洗練されたものになっている。まず大きな違いはボディ剛性。プジョーの資料によれば、ねじれ剛性は0.71mrdまで高められているという。これはプジョー史上最高のねじれ剛性ということで、高い組み立て精度とあいまって、サスペンションの動きがより正確なものとなっている。

また、トレッドはセダンよりもフロントが19mm、リアは実に46mmも拡大され(いずれも3L V6のセダン/SW比)、初期のロールを抑えるアンチロールバーも0.5mm太いものに変えるなど、細かなセッティング変更も行われている。コイルスプリングも専用のものとなり、車高が44mm下がり安定感が出ている。

走りの気持ちよさも含めた総合点では3L V6
今回のテストでは、2.7L V6ディーゼル+6速ATと3L V6+6速マニュアルに試乗することができたが、その印象は、「力強くダイナミックな2.7L V6ディーゼルと滑らかで素軽い3L V6」といったところ。

エンジンだけを比べれば、骨太で、あらゆる領域でトルクフルな2.7L V6ディーゼルに好感を持った。ディーゼルエンジンと比べると、3L V6はやや繊細で、立ち上がりのピックアップこそ良いのだが、もうひとつパンチが足りない感じ。これはエンジンの問題だけではなく、電子制御スロットルのセッティングによるものだと思われる。おそらく初期応答性を重視したのではないだろうか。

もっとも、これも2.7L V6ディーゼルに比べてのことで、それだけ2.7L V6ディーゼルのトルクが際立っているとも言える。

走りの気持ちよさも含めた総合点では、むしろ3L V6を上位に挙げたい。ステアリングがシャープで回頭性もよく、乗り心地も良好。NVHの点ではガソリンの方が有利だ。407クーペらしいモデルはやはり3L V6だろう。

3L V6エンジン搭載車にはピッチ、バウンス、ロールを積極的に制御する可変ダンパーが装着されていたが、これもうまく機能していて破綻はなかった。任意に設定を変更できるのも魅力となるだろう。プジョーの場合、コンベンショナルなダンパーでも見事な制御を見せてくれるのだが。

日本に導入されるのは、おそらく3L V6+6速AT+レザーパッケージ(フランスで言うグリフ仕様)となるだろう。今回この組み合わせを試すことはできなかったが、6速ATではスロットルの問題はなかったので、これがベストチョイスとなるだろう。

407クーペはやはりプジョーにとっても、プジョーファンにとっても特別なものであり、他の407シリーズとは一線を画すものなのだ。(文:松本雅弘/Motor Magazine 2005年12月号より)



プジョー407クーペ 3.0 V6(2005年)主要諸元
●全長×全幅×全高:4815×1868×1399mm
●ホイールベース:2725m
●車両重量:1637kg
●エンジン:V6DOHC
●排気量:2946cc
●最高出力:211ps/6000rpm
●最大トルク:290Nm/3750rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:FF
※欧州仕様

[ アルバム : プジョー407クーペ はオリジナルサイトでご覧ください ]

こんな記事も読まれています

タイヤブランドGTラジアルよりオールシーズンタイヤ「4シーズンズ」発売
タイヤブランドGTラジアルよりオールシーズンタイヤ「4シーズンズ」発売
レスポンス
これぞ徹底的に遊べる軽!──新型ホンダN-VAN FUN STYLE+ NATURE試乗記
これぞ徹底的に遊べる軽!──新型ホンダN-VAN FUN STYLE+ NATURE試乗記
GQ JAPAN
グランツーリスモ7に新規車種3台を追加するアップデート配信。シュコダがシリーズ初登場
グランツーリスモ7に新規車種3台を追加するアップデート配信。シュコダがシリーズ初登場
AUTOSPORT web
顔が…いや全身変わった!? ホンダの売れ筋コンパクトSUV「ヴェゼル」改良 ハイブリッドはEVに近づく?
顔が…いや全身変わった!? ホンダの売れ筋コンパクトSUV「ヴェゼル」改良 ハイブリッドはEVに近づく?
乗りものニュース
ワイパー「高速運転」はゴム寿命縮める? 面倒な交換ケチって「ゆっくりモード」本当にコスパは良いのか
ワイパー「高速運転」はゴム寿命縮める? 面倒な交換ケチって「ゆっくりモード」本当にコスパは良いのか
くるまのニュース
スバルとスカイラインにフィーチャー…第4回アリオ上尾 昭和平成オールドカー展示会
スバルとスカイラインにフィーチャー…第4回アリオ上尾 昭和平成オールドカー展示会
レスポンス
MS&AD新社長の舩曵真一郎氏が会見 代理店への「週末イベントの手伝いはやめる」
MS&AD新社長の舩曵真一郎氏が会見 代理店への「週末イベントの手伝いはやめる」
日刊自動車新聞
【MotoGP】最高峰クラスデビュー以来好調のアコスタ、浮足立たずにいるための鍵は『普通の生活を見ること』
【MotoGP】最高峰クラスデビュー以来好調のアコスタ、浮足立たずにいるための鍵は『普通の生活を見ること』
motorsport.com 日本版
レクサスLBXが生まれる工場【池田直渡の5分でわかるクルマ経済】
レクサスLBXが生まれる工場【池田直渡の5分でわかるクルマ経済】
グーネット
日産、欧州向け「キャシュカイ」に新たな「ニッサンコネクト」を採用
日産、欧州向け「キャシュカイ」に新たな「ニッサンコネクト」を採用
日刊自動車新聞
渥美心がボルドールから遂げたル・マンでの成長、新クルーチーフの存在に「速く走らせる方法が理解できてきた」/EWC
渥美心がボルドールから遂げたル・マンでの成長、新クルーチーフの存在に「速く走らせる方法が理解できてきた」/EWC
AUTOSPORT web
ハジャーが総合最速。マルティ2番手でカンポス1-2。宮田莉朋は2日目午後にトップタイム|FIA F2バルセロナテスト
ハジャーが総合最速。マルティ2番手でカンポス1-2。宮田莉朋は2日目午後にトップタイム|FIA F2バルセロナテスト
motorsport.com 日本版
【ゴールデンウィーク渋滞予測2024】全国の道路別・渋滞予測まとめ!
【ゴールデンウィーク渋滞予測2024】全国の道路別・渋滞予測まとめ!
くるくら
<新連載>[低予算サウンドアップ術]“超基本機能”を駆使して「低音増強」を図る!
<新連載>[低予算サウンドアップ術]“超基本機能”を駆使して「低音増強」を図る!
レスポンス
GW期間中に多いクルマのトラブルは何? JAFが2023年に救援した出動理由TOP10を紹介!
GW期間中に多いクルマのトラブルは何? JAFが2023年に救援した出動理由TOP10を紹介!
くるくら
レッドブル離脱のニューウェイはどこへ行く……アロンソとホンダが待つアストンマーティン? それともハミルトン加入のフェラーリ?
レッドブル離脱のニューウェイはどこへ行く……アロンソとホンダが待つアストンマーティン? それともハミルトン加入のフェラーリ?
motorsport.com 日本版
「背の低いマツダ」ついに出た! 新「マツダ6」じゃないよ「EZ-6」中国で発表 “電動専用車”に
「背の低いマツダ」ついに出た! 新「マツダ6」じゃないよ「EZ-6」中国で発表 “電動専用車”に
乗りものニュース
マツダが新型「ロータリースポーツ」登場へ!? 美しすぎる「和製スポーツカー」のスペックは?価格は? 期待高まる「アイコニックSP」どうなるのか
マツダが新型「ロータリースポーツ」登場へ!? 美しすぎる「和製スポーツカー」のスペックは?価格は? 期待高まる「アイコニックSP」どうなるのか
くるまのニュース

みんなのコメント

5件
  • 個人的には、406クーペの方が遥かに好きだった。
  • いまだに愛車…家族4人ゆったり乗れてあの大きさに収まっているのは有り難いです(笑)
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

569.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

35.8157.3万円

中古車を検索
407 クーペの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

569.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

35.8157.3万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村