現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > まつ毛があるの知ってる? ランボルギーニ「ミウラ」の目力を調査しました

ここから本文です

まつ毛があるの知ってる? ランボルギーニ「ミウラ」の目力を調査しました

掲載 更新 9
まつ毛があるの知ってる? ランボルギーニ「ミウラ」の目力を調査しました

■愛らしいミウラの目元にまつわるストーリー

 スーパーカーの始祖といわれている、ランボルギーニ「ミウラ」ですが、優雅でなめらかなラインのボディは美しく、オークションなどでの市場価格も1億円を超えるようになりました。
 
 ミウラがいまなお人気があるのは、シャシの設計と開発を担当したのがジャンパオロ・ダラーラ、そしてエンジンはジョット・ビッザリーニ、そのエンジンを改良したのがパオロ・スタンツァーニ、ボディのスタイリングはベルトーネのマルチェロ・ガンディーニという錚々たるメンバーが参与していたことも大きな理由です。
 
 しかし、ミウラの独特の丸目ヘッドライトに魅了される人も多いはずです。そこで、ミウラのヘッドライトについて解説します。

車両価格3億9千万円! 史上最強のランボルギーニ「シアン」の驚くべき正体とは

●まつ毛のあるミウラP400 & 400S

 ミウラのヘッドライトは、当時のフィアット「850スパイダー」のヘッドライトを流用したものでした。
 
 当時、ヘッドライトやテールライトといった灯火類は、自動車メーカーを超えて広く流用されるのが普通でした。
 
 ミウラが850スパイダーと異なるのは、850スパイダーが固定式であるのに対し、ミウラはポップアップ式だったのです。ポップアップすると、カエルのようでなんとも愛らしい顔でした。
 
 そしてもうひとつの特徴は、ヘッドライトの上下に通称「まつ毛」と呼ばれるパーツが装着されていたことです。このまつ毛が装着されるミウラは、初期の「P400」と「P400S」です。
 
 その形状から冷却用、もしくは空力を考慮したように見えますが、ミウラの完成形ともいえる「P400SV(スピント・ヴェローチェ:通称SV)」には装着されていないため、単なるデザイン上の装飾であったといえます。
 
 この「まつ毛」と呼ばれる金属製パーツは、実際に手にすると結構な重量ですので、軽量化の意味でもミウラP400SVには装着されなかったと考えられます。

●まつ毛がなくなったミウラP400SV

 ミウラの特徴であった「まつ毛」がなくなったミウラP400SVですが、それまでのミウラのイメージを変更しないように、「まつ毛」が取り付けられていた箇所は、ブラックでペイントが施されています。
 
 ヘッドライトを黒く縁取られたミウラP400SVは、パンダのようにも見え、これはこれで愛嬌があります。
 
 意外と知られていないのは、「まつ毛」がなくなったP400SVのヘッドライト周りに、2つの仕様があるということです。
 
 ひとつは、ヘッドライトの上下に二分割されたプレートを装着したものです。これは、ミウラP400SVの最初期モデルに採用された方式です。この仕様のミウラP400SVは、個体数が非常に少なく、かなりのレアモデルです。
 
 そしてもうひとつは、カウル一体型です。これはヘッドライト周辺のブラックでペイントされた箇所を、丁寧に当時のカロッツェリアの職人が、ハンマーで叩いて作り出していします。イベントで見かけるミウラP400SVは、大抵の場合こちらのタイプです。
 
※ ※ ※

 ミウラP400SVは、外観ではテールライトも変更されており、ひと目でわかるポイントとなっています。また、リアフェンダーもワイド化され、エンジンとトランスミッションの潤滑系がそれぞれ独立されるなど、機能的には数段進歩しています。
 
 しかし、「まつ毛」のあるミウラの方がデザイン的にも好きだというカスタマーも存在しました。それは、ランボルギーニの創設者であるフェルッチオ・ランボルギーニもそうでした。

■フェルッチオ・ランボルギーニのミウラSVは、まつ毛ありだった!

 機関系など、ミウラP400、P400Sのウィークポイントを改良し、スパルタンな外観になったミウラP400SVですが、先代モデルに比べてひとつだけオーナーには納得しないポイントがありました。
 
 それは、「まつ毛」がなくなったことです。そこで、創始者フェルッチオ・ランボルギーニは、どのうような方策に出たのでしょうか。

●フェルッチオだけの特別なまつ毛ありP400SV

 フェルッチオは、自社製品であるスーパーカーを、きちんと代金を支払って購入していたといわれています。レースに関心がないともいわれていますが、若い頃は自らチューニングしたフィアットで、ラリーレースにも出走しています。
 
 フェルッチオと、その一族が所有したクルマを一同に展示した博物館があります。それが、「ムゼオ・フェルッチオ・ランボルギーニ」です。
 
 この博物館に、フェルッチオが所有していたミウラP400SVが展示されています。フェルッチオの甥にあたるファビオ氏によれば、フェルッチオは赤やオレンジ、黄色のボディカラーを好んでいてたそうです。
 
 そのため、フェルッチオのミウラP400SVのボディカラーは赤です。フロントからその姿を眺めると、「まつ毛」が付いていることから、ミウラP400かP400Sのようにも見えますが、膨らみを増したフェンダーなど、あきらかに様子が違います。
 
 リアに回ると、「SV」のエンブレムが取り付けられ、テールライトもミウラP400SVのものでした。ファビオ氏によると、フェルッチオは「まつ毛」が取り付けられたミウラのほうが好みだったようで、特別に「まつ毛」付きのP400SVをオーダーしたそうです。
 
 当時は、1台1台、モデナ周辺のカロッツェリアの職人がハンマーで叩き出してボディを作っていた時代です。それくらいのモディファイは、わけもなくやってのけたのでしょう。
 
 こうして、いまでいうところの「アドペルソナム」仕様の、フェルッチオ専用ミウラP400SVが完成したのです。

※ ※ ※

 1970年ぐらいまでのスーパーカーは、生産台数も非常に少なく、ミウラは全シリーズあわせても750台程度しか製造されていません。
 
 それだけに、1台1台が持っているヒストリーがあり、それを調べるだけでも非常の楽しいものです。スーパーカーは実際に所有しなくても、いろいろな楽しみ方があるのです。

こんな記事も読まれています

「えっ?」メルセデス・ベンツの最新「Gクラス」は4モーターで“戦車みたいな旋回”を実現!? 実車との初対面で実感!「G580EQ」はすべてが驚異的
「えっ?」メルセデス・ベンツの最新「Gクラス」は4モーターで“戦車みたいな旋回”を実現!? 実車との初対面で実感!「G580EQ」はすべてが驚異的
VAGUE
ホンダが「新型SUV」正式発売! “SUV×セダン”融合させたデザイン採用!? ヴェゼルと違う「e:N」、中国に
ホンダが「新型SUV」正式発売! “SUV×セダン”融合させたデザイン採用!? ヴェゼルと違う「e:N」、中国に
くるまのニュース
三菱 ASX 改良新型…デザイン刷新&機能強化
三菱 ASX 改良新型…デザイン刷新&機能強化
レスポンス
パナソニックHD、オートモーティブシステムズ譲渡で600億円の損失
パナソニックHD、オートモーティブシステムズ譲渡で600億円の損失
日刊自動車新聞
アルファロメオ、ジュリア/ステルヴィオの限定車 「Veloce Superiore」を発売開始
アルファロメオ、ジュリア/ステルヴィオの限定車 「Veloce Superiore」を発売開始
月刊自家用車WEB
日産が「新型セダン」を世界初公開! 2台の「ゴツSUV」も登場! 26年度までに投入の「新型モデル」4台を北京ショーで披露
日産が「新型セダン」を世界初公開! 2台の「ゴツSUV」も登場! 26年度までに投入の「新型モデル」4台を北京ショーで披露
くるまのニュース
メルセデスF1の作戦は“ガンガン行こうぜ”! マシンバランス改善する新パーツ開発中。次戦マイアミGPでもアップデート投入へ
メルセデスF1の作戦は“ガンガン行こうぜ”! マシンバランス改善する新パーツ開発中。次戦マイアミGPでもアップデート投入へ
motorsport.com 日本版
1台……超頑張っても2台しか曲がれないって短すぎん!? 極端に点灯時間が短い「右折の矢印信号」はどうすれば改善される?
1台……超頑張っても2台しか曲がれないって短すぎん!? 極端に点灯時間が短い「右折の矢印信号」はどうすれば改善される?
WEB CARTOP
【MotoGP】ド級のライバル、ロレンソ&ペドロサが今度はリングで対決!? ボクシング勝負が実現か
【MotoGP】ド級のライバル、ロレンソ&ペドロサが今度はリングで対決!? ボクシング勝負が実現か
motorsport.com 日本版
【ホンダ ヴェゼル 改良新型】開発責任者に聞いた、改良に求められた「バリュー」と「世界観」とは
【ホンダ ヴェゼル 改良新型】開発責任者に聞いた、改良に求められた「バリュー」と「世界観」とは
レスポンス
【セミナー見逃し配信】※プレミアム会員限定「量子コンピュータ×自動車分野での活用メソッド」
【セミナー見逃し配信】※プレミアム会員限定「量子コンピュータ×自動車分野での活用メソッド」
レスポンス
GW渋滞、本四高速・松山道のピークはいつ? 5月3日に神戸淡路鳴門道で最大55km級の渋滞が発生!【ゴールデンウィーク渋滞予測2024】
GW渋滞、本四高速・松山道のピークはいつ? 5月3日に神戸淡路鳴門道で最大55km級の渋滞が発生!【ゴールデンウィーク渋滞予測2024】
くるくら
【MotoGP】ワイルドカード参戦のダニ・ペドロサ、2年連続の母国戦参加は「予想外」KTMのスピード向上に今回も尽力へ
【MotoGP】ワイルドカード参戦のダニ・ペドロサ、2年連続の母国戦参加は「予想外」KTMのスピード向上に今回も尽力へ
motorsport.com 日本版
ホンダ、ヴェゼルを一部改良 意匠変更やHVにアウトドアテイストの新パッケージ
ホンダ、ヴェゼルを一部改良 意匠変更やHVにアウトドアテイストの新パッケージ
日刊自動車新聞
トーヨータイヤが“低電費”と耐摩耗性能を両立した小型EVトラック用リブタイヤ「ナノエナジー M151 EV」を発売
トーヨータイヤが“低電費”と耐摩耗性能を両立した小型EVトラック用リブタイヤ「ナノエナジー M151 EV」を発売
レスポンス
日産が新型「小さな高級車」発表! 全長4.3m級&上質内装を採用! 高級スニーカーから発想得た「キックス」とは
日産が新型「小さな高級車」発表! 全長4.3m級&上質内装を採用! 高級スニーカーから発想得た「キックス」とは
くるまのニュース
32年ぶりに改称「グッドライダーミーティング」から「ベーシックライディングレッスン(BRL)」へ
32年ぶりに改称「グッドライダーミーティング」から「ベーシックライディングレッスン(BRL)」へ
バイクのニュース
フェラーリF1、マイアミGPスペシャルカラーのアパレルコレクションを披露。ブルーのレーシングスーツもちら見せ
フェラーリF1、マイアミGPスペシャルカラーのアパレルコレクションを披露。ブルーのレーシングスーツもちら見せ
AUTOSPORT web

みんなのコメント

9件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村