ホンダアクセスが手掛けるコンプリートカー「ModuloX(モデューロ・エックス)」。これまでもステップワゴン、S660、フリードなどで設定されてきた「より上質なホンダ車」を目指して開発されたグレードだ。
この度、ホンダの売れ筋SUV「ヴェゼル」にModuloXが設定された。そして大きなトピックは初の4WDモデルの設定になる。
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ハイブリッド(FF/4WD)、ガソリンターボ(FF)の3車種を年の瀬に一気に試乗!! いったいどのような差があるの? そして肝心な走りの質感はいかに??
文:大音安弘/写真:平野学
【画像ギャラリー】ヴェゼルModuloXのエクステリア詳細
■3%のユーザーに響け!! こだわり抜いたModuloX
ホンダの純正コンプリートカー「ModuloX」シリーズに、「ヴェゼル」が投入された。第6弾となる新型の特徴は、初のSUVかつ4WD設定があること。ModuloXとしても新境地を開拓に挑んだ意欲作だ。
ModuloXシリーズとは、ホンダ純正用品を手掛けるホンダアクセスが開発したコンプリートカー。
標準車(左)と比較するとアグレッシブなModuloXのフロント周り。とはいえやりすぎない大人テイストは素直にかっこいい
専用カスタマイズパーツを量産過程で装着することで、操縦性、デザイン、上質感の向上を図りながらも、コンプリートカーでありながら、現実的な価格を実現している。
ヴェゼルでは、ハイブリッド仕様の「ハイブリッド・ModuloX」とターボ仕様の「ツーリング・ModuloX」の2タイプを設定。ハイブリッド仕様のみ4WDの選択も可能となる。
そのコンセプトは、大胆にも「3%の根狂的なファンを大切に」とし、「3秒で一目ぼれするデザイン」と「3秒後の走り出しから体感できる満足感」を掲げている。
リアスタイルはスポイラーなどの効果もありスポーティ。もちろんエクステリアのみならず足回り、ホイール、内装パーツもModuloパーツが奢られる
つまり熱心なホンダファンの心を着実に掴むトータル性能を重視した仕様なのだ。
少ないユーザーにというのは、まさに初の4WD設定もいえ、これは降雪地に住む、もしくは出向く4WD必須の熱烈なホンダファンのリクエストに応えたものだという。
■ModuloX初の専用設計シートはホールド感抜群!!
まず主な専用パーツについて紹介すると、前後パンパ―を中心としたフルエアロパーツ、アルミホイール、サスペンション、前後シートなどが挙げられる。
さらに外観パーツのブラックアウト仕上げに。ボディカラーは、ホワイトとブラックのパール仕様。レッドとブルーのメタリックの4色と煌びやかな設定だ。
ModuloXとしては初の専用設計シート。サイドサポートのホールド性もよく、快適性も損なわないシートは上質さを感じるほどの完成度
専用エアロで武装されたエクステリアは、スタイリッシュさを前面に押し出した標準車よりもスポーティかつ凛々しく映る。
ただ追加されるエアロパーツとアクセントは、機能性を重視した控えめな物であり、派手さはなく、むしろ標準車よりも落ち着いた雰囲気さえ漂わせる。
これなら幅広いユーザーが選びやすく、パーソナルカーやファミリカーとしても選んでも違和感はない。
一方、インテリアの違いはといえば、内装がブラックとることと専用シートが装着されるのみ。しかし、このシートこそこだわりの逸品で、専用開発されたもの。
正確に言えば、ノーマルシートの骨格をベースに、表皮を始め、クッション、バネ、表面形状を変更したものだ。
座っただけでも、ノーマルと比べ、サポートの良さをフィット感が高まっていることを感じさせてくれる。またホンダアクセス製モデルということもあり、専用フロアカーペットも標準となる。
注目の足回りは、なんとエンジンと駆動方式に合わせて、それぞれに専用チューニングを施したもの。つまり、FFと4WDのハイブリッド仕様とFFのターボ仕様の3タイプが用意されているのだ。
サスペンションはハイブリッド(FF/4WD)、ガソリン(FF)ですべて作り分けているというこだわりよう。コストのかけ方は凄い
簡単にキャラクターの違いを説明すると、全体では、ヴェゼルのスポーティグレードという立ち位置だが、ハイブリッドの方が、よりコンフォートな仕様で、ツーリングがよりスポーティな仕様となる。
FFが18インチになるのに対して、4WDのハイブリッドのみ17インチとなるので、最もコンフォートよりといえそうだ。
車高は標準車同等なので、日常使用での影響もない。ちなみに、専用ホイールは、ホイールの剛性バランスまで考慮した設計だそう。なんともマニアック。
しかしながら、ホンダらしい職人仕事を反映させたポイントといえる。因みに、タイヤサイズと銘柄は、ベース車となるハイブリッドRSとツーリングと同様のものだ。
■せっかくならタイヤ選択までこだわってほしかった!?
試乗車として用意されたのは、「ハイブリッド ModuloX(4WD)」と「ツーリング ModuloX(FF)」の2台だ。
まずハイブリッドから試乗。3秒とまでは言わないが、発進から最初の停車までのわずかな時間でも、クルマのキャラクターが大きく異なることに気がつかれされた。標準車とはまるで別物。
3秒でわかる、というのはやや大げさだったかもしれないが乗り出してすぐに上質さを感じるのは間違いない。キビキビ動く標準車に対して重厚さを感じる
どっしりとした安定感の走りで、より上位のSUVに乗った印象さえ受ける。より大きな差を感じさせてくれたのは、高速走行とコーナリングだ。
クルマの動きに切れがあり、狙ったラインを綺麗にトレースしてくれる。ロールも抑えられており、コーナリング時の挙動も掴みやすく、いかなる状況も安心して運転できた。
4WDもコーナリングなど安定したトランクションを得るのに貢献してくれているようだ。またエアロダイナミクスの向上の効果により、風切り音が抑えられ、静粛性も高く、クルマの無駄な振動なども抑えられているのも好印象だ。
専用シートは、ノーマル同様に乗降性に優れ、優しく体を包み込んでくれ、体をしっかりと支えてくれる。もちろん、バケットタイプのような窮屈さとは無縁で快適な座り心地である。
このシートなら長距離でも疲れを軽減してくれるだろう。全体的な質感がかなり高められているなと感じる一方で、コンフォートよりの足のセッティングといいながらも、高速道路の継ぎ目など道路上のギャップで、タイヤが跳ねる感じが気になった。
ターボはハイブリッドよりもやや固めのサスセッティング。スポーティなターボエンジンを生かすためのサスセッティングは見事で、
ターボエンジンを積むツーリングは、ヴェゼルの中では、その名が示すようにツアラー的な最も大人っぽいキャラクターだが、ModuloXでは、その魅力をよりスポーティに振っている。
ハイブリッドで感じたModuloXの魅力はそのままに、ターボの俊敏な走りを活かす足を持つのが特徴だ。走り込んでいくと、サスペンションのセッティングは、確かにハイブリッドよりも固い。
ただギャップなどを超えた際の足の収束は秀逸。ツーリングの方が乗り心地に優れているのではとも感じたほどだ。
しかし、その違いは、足ではなく、タイヤによる差が大きく作用しているように感じる。ハイブリッドがヨコハマタイヤ製「アドバンA10 」に対して、ツーリングでは、コンフォートタイヤ「ミシュラン・プライマシー3」を標準装着。
タイヤが標準車からキャリーオーバーなのは、ここまでのコダワリを持ったModuloXにはもったいないように思える。5万円あがっても開発陣の納得のいくタイヤ選択を……、なんて思ってしまう
先述したように、タイヤはベース車同様。各グレードでタイヤが異なることで乗り味もガラッと異なる。
専用設計のサスペンションを採用するなどの拘りがありながら、タイヤの選定にまで手を出さなかったのは、ただただ勿体ないと言わざるを得ない。
それだけ、トータル性能の向上を目指したハイレベルな作り込みをしていると感じさせてくれた。
ただヴェゼルのキャラクターからすると、もっとスポーティなクルマに仕立てても面白かったのではと思う。
これらの結果から、今回のいち押しは、スポーティさと上質さがより光った「ツーリング・ModuloX」としたい。
何より4WDが選べるのが魅力に映る人もいるだろう。価格は約81万円相当のパーツ類(工賃込)を備えながら、ベース車に対して、+60万円前後に設定されており、約24万円程度お得な設定となるという。
正直、本体価格が300万円以内に収まっているヴェゼルで、車体だけで300万円半ばという価格は、手が出しづらいかもしれない。
高速道路、一般道など多くのシーンでその重厚感は大きく標準車とは異なる。しかしヴェゼルという軽快でスポーティなSUVというイメージとはやや異なり、ModuloXとしての魅力を伝えていく必要はありそうだ
ただコンパクトな上質なSUVを手にしたいという人には、おススメしたい一台だ。ヴェゼルとは、別物といえるほど印象は異なるからだ。
3%のホンダファンに共感して欲しいというコンセプトを踏まえれば、この価格差は、そう大きなものではないのかもしれない。
上質なクルマを作ろうという開発陣の意気込みがヒシヒシと伝わってくるクルマだった。東京オートサロンではフィットのModuloXコンセプトも出展される。ModuloXの今後の発展に期待したい。
【ヴェゼルModuloX・ハイブリッド4WD主要諸元】
・全長×全高×全幅:4355×1790×1605mm
・ホイールベース:2610mm
・車重:1390kg
・エンジン型式:1500cc 直列4気筒
・エンジン出力:132ps/6600rpm、15.9kgm/4600rpm
・モーター最大出力:29.5ps/1313-2000rpm、16.3kgm/0-1313rpm
・サスペンション形式:マクファーソン(前)、ド・ディオン(後)
・価格:367万8400円(ガソリン:358万9300円)
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