ボディが小さければ最小回転半径も小さくなるという訳ではない
クルマの性能として取り回しというのはとても重要な要素だ。なかでも最小回転半径は日常的な部分に大きく関係するだけに、基本的にはできるだけ小さいほうがいい。ロングホイールベースのクルマなどでは、内輪差が大きくなることもあるので一概には言えないが、路地での右左折や車庫入れ、Uターンなどではやはり小さいほうが切り返しも少なくて済み、使い勝手はよくなる。
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最小回転半径というのは、そもそもどの部分で測っているかというと、外側を通るフロントタイヤの中心の軌跡。軽自動車ともなると、4m台前半が当たり前だが、ボディが小さければ最小回転半径も小さくなると、単純には言えないから難しい。
まず問題なのはタイヤの切れ角だ。ハンドルを切ってたくさん切れれば、当然小さく曲がれるのだが、エンジン横置きのFFが主流の昨今ではこの点が厳しい。ホイールハウスが押されてクリアランスが取れなくなるからで、逆にFRで多い縦置きとなると、余裕が出るので切れ角を確保するのは簡単だ。メルセデス・ベンツが伝統的に大きく切れるのは、FRを採用してきたからというのは大きいだろう。
ちなみにスバルの水平対向もシリンダーが左右に配置されるので、切れ角確保は難しく、その昔のモデルでは恐ろしく切れないのが普通だった。とはいえ、今のスバル車では不満が出ないのは、それだけが要素ではないから。
ボディの横幅を拡大すると切れ角を大きくできることも
たとえば3ナンバーサイズに拡大することで左右方向の余裕が確保できているというのはあって、ボディを大きくすると最小回転半径を小さくできる。ただ、そうなると、ボディは大きくなって取り回しは悪くなるので、とにかく全体のバランスというか調和は非常に難しい。
このほかにも、タイヤサイズやサスペンションの形式や構造も関係する。タイヤは太いよりは細いほうがいいし、そもそも外径は小さいほうが有利で、最近の大径化は最小回転半径には不利と言っていい。サスペンションについてはシンプルでアームが動く幅が大きいとよく切れるようにできるが、こちらも最近では凝ったものが増えているので、各メーカーとも足まわりの担当者は頭を悩ましているのが現状だ。
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