■旧き良きフェラーリサウンドを奏でる唯一無二の新車で買えるモデルだった
2007年のジュネーブ・モーターショーで発表された「グラントゥーリズモ」は、間違いなくマセラティ史に残る1台です。
フェラーリ「812GTS」発表 800馬力のV12をフロント搭載したスパイダーモデル
デザインはピニンファリーナの手によるもので、美しい4人乗り2ドア・スポーツクーペのお手本のようなスタイリングです。1947年に登場したマセラティ「A6 1500」の現代的解釈のスタイリングをしていました。
2009年のフランクフルト・モーターショーではオープンカーである「グランカブリオ」が登場します。
その後、数回のアップデートを重ね、2018年モデルにおいて最終形となりました。
グラントゥーリズモ/グランカブリオが長きにわたって愛されてきた理由のひとつに、搭載されているエンジンがあります。最高出力460馬力/7000rpm、最大トルク520Nm/4750rpmを発生するエンジンは、4.7リッターのフェラーリ製自然吸気V型8気筒です。
ローンチ当時は4.2リッターだったフェラーリ製自然吸気V型8気筒エンジンは、その後に4.7リッターへとボアアップし、エンジンは2ラインナップでした。それが2018年のマイナーチェンジで4.7リッター1本に絞られた経緯があります。
当時、この4.2リッターと同じ流れを組むエンジンを搭載していたフェラーリは、2008年に登場した「カリフォルニア」でした。また、アルファロメオ「8Cコンペティツィオーネ」にも4.7リッターの同エンジンが搭載されていました。
カリフォルニアがエンジンをターボ化&ダウンサイジングして現在に至るのに対し、グラントゥーリズモ/グランカブリオは一貫して自然吸気エンジンを貫いてきました。エンジン回転数が高くなるにつれ甲高く透んだフェラーリサウンドを奏でる現行車は、もはやグラントゥーリズモ/グランカブリオしかなかったのです。
こうしたこともあって、グラントゥーリズモ/グランカブリオは熱狂的なファンに支持され、愛され続けてきました。
2007年の誕生以来、2万8805台のグラントゥーリズモ、1万1715台のグランカブリオがイタリア・モデナのファクトリーで生産されました。
次期グラントゥーリズモ/グランカブリオは、マセラティ史上初となる電気自動車となることが決定しています。そして生産はトリノでおこなわれることになっています。
モデナ工場は、新たなハイパフォーマンス・スポーツモデルの生産に向けて、生産ラインの全面的な改修が施されます。
刷新されたモデナ工場では、より環境負荷を減らし、革新的技術を採用した新たな塗装工場が増築されます。ここではカスタマーが、オーダーしたクルマの塗装プロセスを実際に見学できるようになります。
■色・質感が美しくグラデーションするピニンファリーナのボディ
マセラティが発表した「グラントゥーリズモ・ゼダ」は、グラントゥーリズモのファイナルを示すものであり、また、次期グラントゥーリズモの到来に向けたモデルでもあります。
ゼダとはモデナ地方で使われている言葉で、「Z」を意味しており、マセラティのルーツへの誇りを示すとともに、終わりの後に訪れる新たな始まりを予感させるネーミングです。
スポーティで未来的なエクステリアデザインは、マセラティ・チェントロ・スティーレ(デザインセンター)によって仕上げられました。ボディに施されたカラーリングと質感を通じて、マセラティブランドの過去・現在・未来を表現しているのです。
フロントはマセラティブルーで艷やかなメタリックカラーです。リアセクションはマットのサテン仕上げ。色だけでなく、表面のテクスチュアもフロントからリアへと変化しているのです。
フロントのマセラティブルーも徐々に変化しており、その深化する色味はまるでエネルギーを湛えているかのようです。また次期グラントゥーリズモが、完全EVになることを予告しているようにも見えます。
マセラティ・グラントゥーリズモ・ゼダは、今後世界各地を巡回する予定です。日本でいつ頃その姿を目にすることができるのか、非常に楽しみです。
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