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業界ニュース 2019.11.8

2桁ナンバー物語 Vol.1 春日部33のブガッティ EB110(前編)

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筆者が“春日部 33”のブガッティ「EB110」をはじめてみたのは、フェラーリ横浜サービス・センターだった。

所有する「360モデナ」を車検整備のため、サービス・センターに預け入れたが、ちょうどおなじタイミングでEB110も入庫していた。

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フェラーリ横浜サービス・センターは神奈川県横浜市都筑区にある。おなじ敷地内には、BMW、BMWミニ、ロールス・ロイスのサービス・センターもある。うまれてはじめて見たEB110は、想像以上にコンパクトだった。ボディは全長×全幅×全高:4400mm×1940mm×1114mm。360モデナ(全長×全幅×全高:4477mm×1922mm×1212mm)より全幅以外の数値は小さい。

訊くと車検整備のために入庫しているという。せっかくの機会なので、実車に近づくと、装着されているナンバーにびっくり! なんと、“春日部 33”だったのだ。しかも、ボディ前後には高齢運転者標識が装着されている。

EB110のフロントとリアには、高齢運転者標識が装着されている。70歳以上のドライバーへ、装着がすすめられている(努力義務)。「いったい、どんな人が所有されているんだろう?」

深まる謎を解決すべく、おもいきって、フェラーリ横浜サービス・センターを運営するニコル・カーズに、(EB110の)オーナーに取材出来ないか? 訊ねた。

数日後、広報担当者から「取材OKとのことです!」と、連絡がきた。

退職金で購入したEB1102019年10月下旬、“春日部 33”のEB110を取材すべく埼玉県越谷市に向かった。

オーナーの自宅ガレージには現行のメルセデス・ベンツ「Sクラス」とともに、ブガッティ「EB110」が停まっていた。ガレージは屋根こそあるものの、シャッターは開けられている。

ガレージ内にはEB110とともに、メルセデス・ベンツの現行「S600L」もある。「クルマの保護もあり、乗らないときはカバーをかけているものの、オープンタイプのシャッターなので、いつでもクルマの存在を(道ゆく人に)知ってもらっています」と、話すのはオーナーの植竹安維さん。

植竹さんは、EB110を1996年(平成8年)に購入したという。

「市役所を退職したときの退職金で購入しました。ただ、退職金だけでは足りなかったので、おなじ市役所に勤めていた妻に、購入費用の一部を借りました(笑)」

【隔週連載】『29歳、フェラーリを買う』Vol.37 半年間の通信簿と今後の不安

EB110オーナーの植竹安維さん。EB110は1991年から1995年まで製造された。植竹さんが所有するEB110は、日本に輸入された最後の1台。植竹さんは大学卒業後、越谷市役所に就職。とくに、都市計画事業に力を注ぎ、定年まで勤めたという。奥様の久實子さんもおなじく越谷市役所に勤務されていた。

「EB110を購入するとき、最後の値引き交渉は私がしました。EB110の購入は、主人の趣味ですので反対はしませんでしたね。それに、主人は“限定”や“希少”という言葉に弱いので……」

植竹さんが購入したEB110は、当時、日本にあった最後のEB110(正規輸入)だったという。最初、関西在住の別ユーザーが購入予定だったが、キャンセルしたため購入出来た。

「8台輸入されたうちの、最後の1台でした。“最後の”というワードに惹かれましたね。それに、地味なボディカラーも購入の決め手でした。年を重ねたとき、イメージカラーのブルーは、ちょっと派手すぎるかな? と、思ったので」

植竹さんがEB110を購入したきっかけは、偶然だったという。

「シート位置を1番前にしないと足が届かないんですよね(笑)」と、話す植竹さん。600SLの購入「定年を迎えるにあたり、退職金の使い道について家族で話し合ったんです。そしたら、『退職金はお父さんが自分のために使ったらいい』ということになりました。そこで、なにかクルマを購入しよう! と、思ったのです」

早速、退職金で購入するクルマを探すべく、都内の有名自動車ディーラーに出向いた。当時、「どうしてもこれが欲しい!」というクルマはなかったという。ただし、漠然と“スーパーカーが欲しい”と、思っていたという。

「当時、メルセデス・ベンツの『600SL』に乗っていましたから、SL以上のクルマが欲しかったんです」

【隔週連載】『29歳、フェラーリを買う』Vol.37 半年間の通信簿と今後の不安

ちなみに、SLを購入した理由も興味深い。

「ちょうど58歳のときに購入しました。58歳で役職定年を迎えるにあたり、世間体の手前、今まで乗れなかった輸入車にチャレンジしました。管理職当時は、“輸入車に(管理職が)乗るのはマズイ”といった空気がありましたので……」

600SLの前はどんなクルマに乗っていたのか? 「1962年(昭和37年)に購入したスバル『360』から私のカーライフははじまりました。それから、トヨタ『カローラ』や日産『ブルーバード』、ホンダ『インテグラ』、『CR-X デルソル』などを所有しました」

Mercedes-Benz SL der Baureihe R 129: Der Technologieträger feiert vor 30 Jahren PremiereMercedes-Benz SL of the R 129 model series: The technology platform celebrated its premiere 30 years ago植竹さんが購入したメルセデス・ベンツ「600SL」はR129と呼ばれるモデル。Daimler AG600SLを購入したきっかけは、フルオープン・モデルが欲しかったからという。当時乗っていたCR-X デルソルが、植竹さんいわく「中途半端なオープン」だったため、はじめてSLの存在をショールーム(芝浦のヤナセ)で知ったとき「メルセデス・ベンツで購入するならコレしかない!」と、思ったそうだ。

「購入後、通勤で市役所に乗っていったら、周囲がビックリしましたね。当時も今もハードトップは装着せず、いつもソフトトップを開けて乗っています」

600SL以前に所有していたホンダ「CR-X デルソル」。ルーフ部分のみ電動開閉式だった。その600SLは今も所有しているという。そういえば自宅玄関に、オブジェとしてハードトップが飾られていた。

「電動ハードトップモデルを見たとき、はじめこそ買い換えようと思ったのですが、愛車を見るたび『ソフトトップのほうがかっこいいのでは?』との考えが深まり、結局、今も所有しています」

取材時は残念ながら600SLはなかった。ソフトトップの開閉機構(油圧関連)が故障したため、修理に出しているという。

EB110との出会い話をEB110の購入エピソードに戻そう。退職金でスーパーカーを購入すべく、SLに乗って都心部にある、さまざまなスーパーカー・ディーラーを巡ったという。

ただし、多くの人が憧れるフェラーリには興味があまりなかったそうだ。

「フェラーリは自分と釣り合わない気がして……。フェラーリ以外のスーパーカーはなにがあるのだろうか?と思い、見つけたのがアストンマーティン でした」

【隔週連載】『29歳、フェラーリを買う』Vol.37 半年間の通信簿と今後の不安

「購入するまでブガッティのことはまったく知りませんでした」と、述べる植竹さん。EB110購入後、ブガッティ・ブランドの時計やメガネも購入。現在も愛用している。植竹さんは、根っからのクルマ好きというわけではない。運転こそ好きであるが、それほどクルマについて詳しくはないという。したがって、アストンマーティンもはじめは知らなかった。

「アストンマーティンがいいなぁと思い、飯倉(東京都港区)にあったディーラーに行ったのですが、セールスマンの対応がイマイチでした。そのあと、ランボルギーニのショールームも行ったのですがイマイチ、ピンっときませんでしたね」

ランボルギーニのあと、偶然見かけたアルピナを「いいなぁ」と思い、ふらっとニコル・カーズのショールームに入ったのがEB110との出会いだった。

「当時、アルピナについてもほとんど知らなかったんです(笑)。気になって、ふらっとショールームにはいったら現在所有するEB110が偶然、置いてあったんです」

ブガッティがなんたるかもまったく知らなかった植竹さん。一目見て「これはすごい!」と、驚いたそうだ。しかも、“日本最後の1台”と、聞いて「これは買うしかない!」と、強く思ったという。

「実はEB110を見たのは2回目だったんです。後日、妻と一緒にディーラーに行ったら、『前にも1度見たわよ。そのときエンジンもかけてもらったじゃない』と、言われたんです。そのときのことはまったく覚えていませんでした(笑)。でも、おなじクルマを2度も見に行くなんて、これはもう運命であると確信し、購入を決めました」

購入価格は約3980万円(当時)。晴れて、植竹さんとEB110のカーライフがスタートした(後編に続く)。

文・稲垣邦康(GQ) 写真・安井宏充(Weekend.)

【隔週連載】『29歳、フェラーリを買う』Vol.37 半年間の通信簿と今後の不安

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(GQ JAPAN 稲垣邦康(GQ))

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みんなのコメント

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  • osh*****|2019/11/08 23:03

    違反報告

    >>購入価格は約3980万円(当時)

    「こんな貴重な車、売ったらいくらになるだろう」なんて、私なんかすぐ下衆な考えをしてしまうが、この方はそもそもそんな思いなどなく、純粋にこの車を欲したのが良かったのだろうな。

    ただ、
    それにも増して、「退職金はお父さんが自分のために使ったらいい」と、老後に必須という訳ではない、たかだか車ごときに退職金の全額を注ぎ込むことを了解したご家族が羨ましいし、退職金では足りなかった購入費用の一部を借したという奥様って、凄いと思う!


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