■マイナーチェンジで大変身!? 進化したレクサスRXの乗り味を検証
まさか、ここまで変わってしまうとは。2019年8月末にマイナーチェンジしたレクサス「RX450h」を、神奈川県内の山中で走らせてみて、走りの進化に驚きました。
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とにかく、走りが楽しいのです。日本車としては大柄な部類に入るRXを、意のままに操れる感覚。マツダでいう「人馬一体」のような感覚です。
運転中の安心感が高いので、カーナビなどのダッシュボード周辺にあるさまざまなスイッチを操作する気持ちにも余裕が生まれます。さらにいえば、ハンドルなどに施された加飾の質感が上がったような錯覚すらします。
要約すると、走りが良くなると車内の雰囲気も良くなり、それがブランドとしての世界感を高めるのです。
走行前、レクサス側の説明の「リニア感を高めた」という言葉が耳に残りました。自動車業界でリニア感とは、ドライバーの操作に対してクルマの動きの追従性が高く、そのうえで、ドライバーとクルマとの関係が自然体になることを指します。
リニア感を高めるには、車体やサスペンションの改良をおこなうのが一般的な手法です。RXの場合、スポット溶接の打点と呼ばれる溶接箇所を増加させ、あわせてボディ部材どうしの接着材による接着部分の長さも増やしています。
こうした説明をプレゼン用のパワーポイント資料で見ただけでは、改良の度合いがどの程度なのか、自動車産業に関わる者でも分かりにくいものです。
筆者(桃田健史)は昨年秋、RXを製造するトヨタ自動車九州・宮田工場(福岡県宮若市)を視察し、その時点でのRXがどのような溶接工程をおこなっているのかを詳しく見ています。そのうえで、今回の改良を踏まえて走ってみて、走りの進化に驚いたのです。
一方、車両価格に目を向けると、RXは3.5リッターV型6気筒エンジンのハイブリッド「RX450h」で700万円台、また2リッター直列4気筒ターボ「RX300」でも600万円台が主流です。
こうした高級車なら、走りが良いのは当たり前、と思われる人も多いはずですが、筆者はRXの車両価格を考慮すると、進化の伸びシロはまだ大きいと考えます。
RXのみならず、レクサスというブランドは技術的にもマーケティング戦略的にも「進化の道半ば」にあることを、今回の改良を受けたRXに試乗して強く感じました。
■生誕30年! レクサスブランドが歩んできた歴史とは
レクサスは2019年で、生誕30年を迎えました。この30年間、筆者はアメリカ、ヨーロッパ、日本、中国、東南アジア、中近東などの世界各地で、レクサスの動向を見てきました。
では、時計の針をレクサス立ち上げの時まで戻しましょう。レクサスを立ちあげようと最初に動いたのは、アメリカのトヨタ本部関係者たちです。筆者はかつて、そのひとりからロサンゼルスで直接話を聞いたことがあります。
その関係者は、「1980年半ばから、ホンダのアキュラなど日系メーカーのプレミアムブランド構想が検討され、トヨタとしても是非やるべきだと、日本の本社に何度も提案しました」と証言します。
本社の説得はかなり長い期間かかったとのことですが「本社はまるで、大きな岩のようでした。なかなか動かないのに、動き出したら一気に大きな動きになった」と、当時を振り返ります。
そして1989年にセダン「LS」が登場します。
1980年代後半から1990年代前半にかけて、筆者は仕事の関係で全米各地を巡っていたのですが、その頃からレクサスについて、「メルセデスやBMWより価格がリーズナブルなのに、クルマもディーラーの対応もクオリティが高い、すごいクルマが出た」という声がアメリカ人の間で高まっていました。
ところが、当時多くの人がレクサスをトヨタが企画、製造していることを知らなかったことが、筆者にとって大きな驚きでした。
1990年代半ばになると、レクサスとトヨタの関係を理解するアメリカ人が増えるのと並行して、モデルラインアップの拡充も進みます。
また、1990年代後半から2000年代にかけては、BMW、メルセデス、アウディなど欧州プレミアムブランドがSUVやクロスオーバー市場に本格参入し、レクサスとしてもRXの技術的な強化を図ります。その後、アメリカで成功したレクサスは、2005年の日本導入を含めて世界各地に広がっていきます。
さらに、トヨタという組織の中でひとり立ちしたのは、2012年のレクサスインターナショナル設立です。トヨタの高級ブランドという位置づけから、レクサスというひとつのブランドへと大きくジャンプした時期です。
著名なブランドと比べて歴史がまだ浅いことから、グローバルブランドとしてレクサスが「進化の道半ば」なのは当然なのだと思います。いい換えれば、レクサスにはまだまだ未知の可能性があります。
筆者の個人的な意見としては「レクサスにもっと攻めてほしい」です。近年のレクサスにはブランド戦略として攻めの姿勢を感じますが、製品企画としても、まだまだもっと攻めてほしい、と思います。
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