■日本市場に復活したトヨタ「RAV4」とホンダ「CR-V」
1990年代半ばに日本では、「RVブーム」というものが存在し、爆発的な人気を博したのがトヨタ「RAV4」とホンダ「CR-V」です。その後、日本で誕生した両車は、北米などでも人気モデルとなりました。
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しかし、現在では、北米ユーザー向けに開発されたモデルとして、日本に逆導入される現象が起きているほか、RAV4とCR-Vの販売台数においては、明暗が分かれているようです。トヨタとホンダにはどのような違いがあるのでしょうか。
両車は、販売不振などを理由に日本市場から一時期的に姿を消しました。しかし、北米市場では高い人気を博していたこともあり、5世代モデルではともに日本市場へ復活をはたします。
RAV4とCR-Vは、北米市場での人気が高いことから北米ユーザーに好まれるデザインなどが採用されているため、日本に導入されている両車には随所にその様子が表れています。
自動車産業ポータルサイトを運営するマークライズ株式会社によると、米国の2018年1月から12月における新車販売台数では、トヨタのシェア率は全体3位の14%、ホンダのシェア率が全体5位の9.3%と上位に位置しています。
また、北米市場でのRAV4は、2018年の新車販売台数では全体4位の42万7168台を売り上げ、トヨタ車のなかでは1番の売れ筋モデルです。
日本市場では、2016年に国内での販売は終了していますが、復活を果たした2019年4月以降の販売台数(軽自動車除く)では、5月に6817台を記録したことにより、それまでSUVジャンルの売れ筋モデルだったトヨタ「C-HR」やホンダ「ヴェゼル」を抜いて一気に首位となっています。
その後も、7822台(6月)、8646台(7月)、6277台(8月)とほかの売れ筋SUVを抑えて首位を維持するなど、好調な販売台数です。
RAV4が好調な理由について、トヨタの販売店スタッフは次のように話します。
「RAV4が登場するまでは、『ハリアー』がミドルサイズSUVとしてお客さまに提案できる車種でした。しかし、アウトドア人気などが高まっている最近においては、アクティブなデザインの『RAV4』が加わったことで、ラグジュアリーな『ハリアー』とは異なるお客さまにアプローチできることが良い部分です。
さらに、コンパクトな『C-HR』と本格派の『ランドクルーザーシリーズ』があるため、豊富なSUVラインナップから選ぶときに、ちょうど良いデザインとサイズ感なのも好評な理由かもしれません」
※ ※ ※
対するホンダでは、2018年8月に約2年ぶりに復活したCR-Vと2018年12月に約4年ぶりに復活した「インサイト」が例に挙げられます。
CR-Vの2018年1月から12月の米国新車販売台数は、全体6位の37万9013台を記録するなど北米市場で、人気のモデルです。
しかし、日本市場では苦戦を強いられています。2018年8月の登場時は1344台、その後は月販1000台から1500台を推移しています。この台数は、モデル末期ともいわれるランドクルーザーを下回る数値となります。
北米での人気を受けて日本市場に再導入されたCR-Vについて、ホンダの販売店スタッフは次のように話します。
「CR-Vは、アメリカで販売されるホンダ車特有のデザインのために、好みが分かれる部分がありますが、比較的にウケは良いと思います。ただ、販売面で苦戦する理由としては、価格設定が大きいかもしれません。
他社のミドルサイズSUVは、ガソリン車であれば250万円前半で設定されていますが、CR-Vは一番下のEXグレードで320万円からとなり、選択肢に入らないお客さまもいると思います」
■北米向けのデザインが今後も増える可能性とは
CR-Vと同じように復活したインサイトも北米市場では人気があります。ハイブリッド車ですが、未来的なデザインよりも高級感を重視しており「シビック」に近い立ち位置にあるようです。ターゲットを50代男性としているため上質感があり、高性能なモデルではありますが、価格設定が高めになっています。
国内におけるインサイトの販売は、かつてライバル車とされたトヨタ「プリウス」の販売台数が好調なのに対し、苦戦を強いられています。
登場した2018年12月は1038台を販売しますが、2019年1月から6月では全体48位の5867台と伸び悩み、その後の7月と8月では50位まで公表されているランキングでは圏外となりました。
インサイトも北米で人気のデザインとされていますが、北米向けのモデルにはどのような特徴があるのでしょうか。日本に保安基準があるように、米国にも基準となるルールが存在します。
まず、5マイルバンパーと呼ばれるバンパー形状です。米国には、1970年代に義務付けられたバンパーの規格があります。
5マイル(時速8キロ)で車体が衝突してもダメージを受けないことが前提として作られていました。義務化した当時は、バンパーが大きく突き出している車種が多く販売され、北米仕様車はフロントが大きいというイメージがついたといわれています。
また、ヘッドライトは米国のSAE規格で細かなルールが定められ、「角型か丸型でなければいけない」という基準があり、米国で販売されるモデルのヘッドライト形状には似たものが多く、異形のデザインが少なかったのもこれが理由です。
今後は、RAV4やCR-Vのような海外向けに開発されたモデルを日本に導入するケースは増えていくのでしょうか。国内外の市場に詳しい自動車専門のコンサルタントに話を聞きました。
「今後、海外市場で販売されている車種を国内で販売するというケースは増えると予想されています。
その大きな理由は、コストメリットが大きいためです。同一車種であれば国内・海外向け問わず大量に生産ができ、メーカーは生産コストを削減できます。RAV4のような成功例も出てきているので、メーカーとしてはやらない理由がありません。
また、日本人のクルマに対する趣向も変わってきています。新車販売台数において、年々輸入車の比率が上がっているなど、海外向けのクルマがウケているのも追い風になっていると思います」
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ホンダは、「東京モーターショー2019」にて、北米で人気のアコードを日本で初披露します。10代目となる新型アコードは、2017年7月に北米市場でデビューしているため、3年後しの日本導入です。
このように、海外向けモデルの日本導入は徐々に増えつつあるのかもしれません。
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