現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > えっ!? エンジンブレーキを使い過ぎると燃費が悪くなる? 

ここから本文です

えっ!? エンジンブレーキを使い過ぎると燃費が悪くなる? 

掲載 更新
えっ!? エンジンブレーキを使い過ぎると燃費が悪くなる? 

 山道を走行中にエンジンブレーキ使用と書かれた看板をよく見かけます。

 クルマを運転する方であれば、だれもが教習所で習ったエンジンブレーキですが、エンジンブレーキのためにシフトダウンをすると、ブーンと大きな音がするため、

【オーバーヒート激減中!!】 それでも起こる事情と注意方法

 「エンジン大丈夫か? 」「なんか燃料たくさん使っていそう…」と不安になる方も多いようです。

 エンジンブレーキは、燃費にどのような影響があるのでしょうか? そしてあのブーンという大きな音のワケは?  

 文:吉川賢一、写真:日産、トヨタ、ホンダ、ベストカー編集部

エンジンブレーキの簡単な原理とは? 

 エンジンブレーキはその名の通り、エンジンの特性を使って車速を落とすことです。

エンジンを活用して、ブレーキをかける

 運転中にアクセルペダルを戻すと徐々に速度が落ちていきますが、これは、エンジン気筒内へ送られる空気量が減少し、ポンピングロスが生じて、回転抵抗となるためです。

 このポンピングロスとは、エンジンが空気を吸込む時の抵抗のこと。エンジンの内部抵抗には、摩擦抵抗など他の理由もありますが、最も寄与が大きいのがこのポンピングロスなのです。

 一般的に、エンジン内部抵抗の約30%をこのポンピングロスが占めていると言われています。

 さらに、より強いエンジンブレーキを効かせたいときは、アクセルを離した状態でシフトダウンをおこないエンジンの回転数を意図的に上げることで、より強く減速を効かせることができます。

ギアを低くすることにより、強く減速することが可能に

 この理由は、低いギアにするほどエンジンは多く回転したいのですが、スロットルバルブが閉じているため、空気を吸い込むことができず、大きな回転抵抗となるためです。

 よくある例えですが、息を吸込むとき、大きく口を開けて吸込むのと、口をすぼめて吸込むのでは、後者の方が吸いにくくなりますよね。この吸い込みにくさが、ポンピングロスの原理と同じです。

 ちなみにこの時、エンジンは高回転となり、ブーンと唸るような音が出ますが、エンジンブレーキを多用したとしても、直ぐに壊れたりすることはありません。

エンジンブレーキを多用すると燃費は改善するのか? 

 走行中にアクセルペダルから足を離し、シフトダウンをすると、エンジンの制御によって燃料カットが入ります。

日産デイズ 
アクセルペダルとブレーキペダル

 このとき、理屈上は、燃料噴射量がゼロになります。そのため、エンジンブレーキを使っている間は、ガソリンの消費は少なくなり、その状態で走行し続けている間は燃費が向上します。

 このように、エンジンブレーキを正しく使うことで、理屈上、燃費はよくなります。

 しかし、その効果は小さく、悪化こそしないものの、格段に燃費が良くなるものでもありません。

 また、坂道を下っているときにアクセルオフにしている場合も、理屈上は燃料カットとなりますので、燃費は良くなります。

 ちなみに、平地でアクセルオフにすると、車速が徐々に下がりますので、エンジン回転数は低下していきます。それが、アイドリング回転付近までに低下すると、エンジンは停止を防ぐため、通常通りに燃料噴射を復帰させます。

ハイブリッド車はエンジンブレーキを多用しない方が良い??

 プリウスの様なハイブリット車の場合だと、エンジンブレーキと燃費の事情は、少し違ってきます。

 プリウスにはシフトレバーにブレーキを意味するBレンジがあります。エンジンブレーキを必要としたいときにBレンジを使うのは通常のエンジン車と同じなのですが、プリウスの場合は、燃費が良くなるとは言えません。

トヨタ プリウスのシフトレバー

 なぜなら、ハイブリッド車はEV走行中にガソリンを使用しませんので、その瞬間は燃費が理論上、無限大になります。プリウスのようなハイブリッド車の場合は、このEV走行の時間を増やすことで、燃費は向上します。

 少し詳しく説明すると、Dレンジでの走行中にバッテリーが充電可能な場合、アクセルを戻すと減速エネルギーは回生=充電に回されます。

 このとき、回生による抵抗が発生し、Dレンジであってもエンジンブレーキのような減速が効きます。

 またブレーキを軽く踏んだ程度では、電気を回収するモーターの抵抗で減速をしていますので、ブレーキパットは使用しておらず、モーターの発電抵抗だけで減速させています。

 強い制動力が必要なブレーキング時にはブレーキパッドも使っています。

フル充電状態の日産リーフ+

 ただし、フル充電になると、モーターによる減速は起きません。その時点では充電の必要が無いからです。回生充電ができるのにBレンジへ入れてしまうと、充電に回しているエネルギーをエンジン側に取られてしまうので、燃費は悪化してしまいます。

 つまり、フル充電されていないときは、Dレンジでアクセルオフやフットブレーキで減速した方が燃費は良くなるのです。

まとめ

 エンジンブレーキを上手に使うことは、低燃費につながります。

 また、エンジンブレーキには、坂道などでのベーパーロック現象やフェード現象といった危険な状況に陥ることを防ぐという重要な役目もあります。

 しかし、ハイブリッド車やEV車だと、エンジンブレーキの使い方は変わってきています。ご自分のクルマは、どういった運転操作をすれば燃費が改善するのか、考えてみる機会を持ってみてはいかがでしょうか。

こんな記事も読まれています

最新パワーユニットを搭載した「メルセデスAMG CLE53 4MATIC+ クーペ」を追加発売
最新パワーユニットを搭載した「メルセデスAMG CLE53 4MATIC+ クーペ」を追加発売
月刊自家用車WEB
TomTomがBMWモトラッドのグローバルラインナップへナビゲーションスタックの提供を発表!さらに革新的なモデルへ
TomTomがBMWモトラッドのグローバルラインナップへナビゲーションスタックの提供を発表!さらに革新的なモデルへ
バイクのニュース
日産新型「最上級3列SUV」まもなく登場! 全長5.4m級の巨大ボディ&超豪華インテリア採用! 新型「QX80」米国で発売へ
日産新型「最上級3列SUV」まもなく登場! 全長5.4m級の巨大ボディ&超豪華インテリア採用! 新型「QX80」米国で発売へ
くるまのニュース
アストンマーティンF1、ランス・ストロールとの契約を”2025年以降”まで延長。ホンダPU搭載マシンもドライブへ
アストンマーティンF1、ランス・ストロールとの契約を”2025年以降”まで延長。ホンダPU搭載マシンもドライブへ
motorsport.com 日本版
アルピーヌF1のブリアトーレが、サインツ獲得に動く。ウイリアムズ、アウディとの争奪戦を展開
アルピーヌF1のブリアトーレが、サインツ獲得に動く。ウイリアムズ、アウディとの争奪戦を展開
AUTOSPORT web
魔改造の夜に「Sズキ」登場!! ワニちゃん水鉄砲でエンジニアが壮絶な闘い
魔改造の夜に「Sズキ」登場!! ワニちゃん水鉄砲でエンジニアが壮絶な闘い
レスポンス
なぜD1グランプリ王者はレイズを選ぶ?「gram LIGHTS 57NR」をトヨタ「GR86」にセットする「Team TOYO TIRES DRIFT」を紹介します
なぜD1グランプリ王者はレイズを選ぶ?「gram LIGHTS 57NR」をトヨタ「GR86」にセットする「Team TOYO TIRES DRIFT」を紹介します
Auto Messe Web
7年ぶりにラリー・ポーランドがWRCに復帰、勝敗を分けるポイントは?【WRC第7戦開幕プレビュー】
7年ぶりにラリー・ポーランドがWRCに復帰、勝敗を分けるポイントは?【WRC第7戦開幕プレビュー】
Webモーターマガジン
首都高沿いの神田川がぐにゅ っと曲がる場所で「橋を撤去します」 変わる“印刷会社銀座” 都バスも経路変更
首都高沿いの神田川がぐにゅ っと曲がる場所で「橋を撤去します」 変わる“印刷会社銀座” 都バスも経路変更
乗りものニュース
メルセデス・ベンツ、CLEカブリオレを発売
メルセデス・ベンツ、CLEカブリオレを発売
月刊自家用車WEB
BYDが“フラッグシップモデル” EV「SEAL」発売 「ブレードバッテリー」が長い航続距離と安全性確立
BYDが“フラッグシップモデル” EV「SEAL」発売 「ブレードバッテリー」が長い航続距離と安全性確立
くるまのニュース
アストンマーティン『バリアント』発表、745馬力のV12を6速MTで操る…世界限定38台は完売
アストンマーティン『バリアント』発表、745馬力のV12を6速MTで操る…世界限定38台は完売
レスポンス
日本全国いますぐチェック! 梅雨&台風シーズンに向けて必須の「愛車チェック&メンテ」6つ
日本全国いますぐチェック! 梅雨&台風シーズンに向けて必須の「愛車チェック&メンテ」6つ
WEB CARTOP
金利ゼロ! 通常のローンを断られても使える! 魔法のように聞こえる中古車屋の「自社ローン」の落とし穴
金利ゼロ! 通常のローンを断られても使える! 魔法のように聞こえる中古車屋の「自社ローン」の落とし穴
WEB CARTOP
タイヤの“使い方”が勝敗を分けた? スペインGPで敗れたランド・ノリス、最後に追いつけなかった理由は
タイヤの“使い方”が勝敗を分けた? スペインGPで敗れたランド・ノリス、最後に追いつけなかった理由は
motorsport.com 日本版
新型「GX」にも乗れた! “高級車ブランド”レクサスが提案する「アウトドアの新たな楽しみ方」とは? 「肝いりのキャンプイベント」は何が進化した?
新型「GX」にも乗れた! “高級車ブランド”レクサスが提案する「アウトドアの新たな楽しみ方」とは? 「肝いりのキャンプイベント」は何が進化した?
VAGUE
トヨタ「ハイエース」に「セルシオエンジン」搭載!? 専用「豪華装備」満載の“救急車”がスゴかった! 大活躍の「ハイメディック」はもはや“伝説”か
トヨタ「ハイエース」に「セルシオエンジン」搭載!? 専用「豪華装備」満載の“救急車”がスゴかった! 大活躍の「ハイメディック」はもはや“伝説”か
くるまのニュース
写真で見るニューモデル インフィニティ「QX80」
写真で見るニューモデル インフィニティ「QX80」
日刊自動車新聞

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

275.0460.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

0.0620.0万円

中古車を検索
プリウスの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

275.0460.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

0.0620.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村