90/100ツアラーVやER34スカイラインの好敵手!
フルタイム4WDならではの安定した走り
「前人未到の400キロオーバーを目指す究極系R35GT-R!」実測1031馬力の強心臓と3.3ファイナルギヤで大台突破を狙う!
業界2年目の駆け出し編集者だった頃、ひとりでカメラを持って新車の事前撮影会によく足を運んでた。…いや、正しくは「はい」と答えるしか選択肢がない上司からの指令で、よく行かされていた(笑)。
もっとも発売前のクルマを間近に見られて、場合によっては乗れちゃったりもするんだから、クルマ好きにとってこんなに楽しいことはない。当時20代半ばだったオレは「これぞクルマ雑誌編集者の役得&醍醐味だ!」なんて思って、国産車メーカーの事前撮影会や発表会、試乗会の担当を自ら進んでやるようになった。
1996年、夏。オレは新型ギャラン/レグナムの事前撮影会でミツビシの喜連川テストコースにいた。遠くにバンクを望む高速周回路のストレート、そのど真ん中にたたずんでいたのは3代目ギャランVR-4だった。
逆スラントした薄型ヘッドライト、開口部を大きく取ったスポイラー一体型フロントバンパー、ボリューム感満点の前後フェンダー…望遠レンズを通してファインダー越しに見たその姿は20年以上経った今でも、なぜか鮮明に覚えてる。
その時、移動のためにステアリングも握った。1速2速で軽く踏んだだけだったけど、まだ経験値も低かったオレは、下から湧き出てくるようなトルクに「すげぇ!!」と驚いた記憶がある。「これ、相当速いんじゃないか?」とも思ったけど、それは発売後の試乗会ですぐ確信に変わった。うん、やっぱり速かった!!
3代目VR-4は96年8月に登場。280psを誇る2.5LV6ツインターボの6A13型エンジンを搭載し、ビスカスカップリング式センターデフを持つフルタイム4WDで駆動する。クルマ雑誌編集者としてオンタイムで新車に触れられたこともあって、個人的にはそんな3代目を、初代や2代目とはちょっと違う感覚で捉えている。ひとことで言うと、より身近に感じられるのだ。
今回ぜひとも取材、試乗したかったのは5速MT車。つまり、前期型なら素のVR-4、後期型ならタイプVだ。そこでインターネットの中古車情報を見てみると、3代目VR-4自体はそこそこタマ数があるのにINVECS -II5速ATを載せたタイプSばかり。
そんな状況でやっと見つけた後期型タイプVは、5速MT車なのにメーカーオプションである、まさかの本革シート&木目調パネルを装着していたスーパーインテリア仕様。本革&ウッドコンビのナルディ製ステアリングホイール、木目調センターコンソールパネル、レザー調リッド付き大型センターコンソールボックスなどが専用装備となる。
4速AT車でラグジュアリーにいきたいならわかる。けど、走りの5速MT車でこれって…新車で買ったひとに「なんでこの仕様にしたんだ!?」と思わず尋問したくなる、軽く変態な1台だ。
タイプV、タイプSともにノーマルはシート生地がファブリックでブラック内装が基本だけど、スーパーインテリア仕様では本革シートで内装色もベージュ&ブラックの2トーンとなり、ラグジュアリー感を強める。そもそも5速ATしか設定されないタイプSならわからなくもないが、タイプVの5速MTモデルでスーパーインテリア仕様は珍しい。
気を取り直して実車を見ていく。まずは押し出しの強いボディ。2代目からずいぶん大きくなった感じがするけど、カタログを開いて2台の寸法を比較すると…ホントかよ!? 3代目は全長で50mm、全幅と全高でそれぞれ10mmずつしか大きくなってない。
しかも、ホイールベースの2635mm、前後トレッドの1510/1505mmはまったく同じだし、車重にしてもたった30kg増の1460kgに留まっているのだ。感覚的にはひとまわり大きいと思ってたから、実はほとんど変わらないというのは正直、驚きだった。
5本スポークタイプの純正16インチアルミホイール。リム幅は6Jで、標準装着品と同じ205/55R16サイズのプレイズPXが組み合わされる。尚、タイプVの標準ホイールはデザインが異なり、リム幅も6.5Jとワイドになる。
先代と同じ前後マルチリンク式サスペンションを採用するけど、構成パーツのほぼすべてを新設計。それに伴い、各アームの位置を最適化してアームやサスペンション取り付け部の剛性アップも図られている。
また、フロントブレーキには大径16インチのベンチレーテッドディスクに片持ち2ポットキャリパーを、リヤブレーキには15インチソリッドディスクをセット。パワーに見合った制動性能を確保している。
ステンレス製エキマニを介して片バンクに1基ずつTD03タービンを備える2.5LV6の6A13。ツインターボ仕様はギャラン/レグナムVR-4の専用エンジンとされ、5速MTモデル、5速ATモデルを問わず280ps、37.0kgmと共通のスペックが与えられた。ちなみに、バリエーションとしては175psのNA SOHC仕様が存在し、これはディアマンテにも搭載される。 また、ボディ剛性確保のため装着されるフロントストラットタワーバーはVR-4専用品だ。
オプション編集部時代にスーパーVR-4の取材をしたのが最後だから、3代目に試乗するのは10数年ぶり。6A13ツインターボは2000rpmも回っていればトルクも十分で、高いギヤでのルーズな走りをまるでいとわない。やっぱ排気量2.5Lだと余裕がある。
アクセルペダルを踏む右足の動きにレスポンスよくエンジンが反応しだすのは3000rpmから。同時に過給も高まってきて3500rpmを超えたあたりで、ドーン! と蹴り出されるような加速が始まる。タコメーターの針は4000rpmを境にさらに弾みをつけ、パワーを一段と高めながらレブリミット目がけて跳ね上がっていく。6800rpmシフトで1速からフル加速していくと、2速へは4800rpmで、3速へは5000rpmでバトンタッチ。加速感が途切れることはない。
国産メーカーで排気量2.5Lのターボエンジンというとトヨタ1JZ-GTE、ニッサンRB25DETがある。1JZ-GTEはJZX90マークIIの前期VVT-iなしツインターボにも、3代目VR-4発売直後に登場したJZX100チェイサーの後期VVT-i付きシングルターボにも乗ったし、RB25DET(NEO6)はER34スカイラインで乗った。
それらに対してパフォーマンス的に肩を並べるのが6A13ツインターボだ。それぞれに乗ってみて、少なくとも前期1JZとRB25よりは上、後期1JZといい勝負…というのが個人的な評価になる。当時からオレは、それをことあるごとに言ってきたし、今回ひさしぶりに試乗して再認識もした。
さらに言えば、JZX90/100もER34もFRだけど、3代目VR-4はフルタイム4WD。速さに加えて状況を問わず安定して走れることまで考えると、その魅力も倍増するわけだ。
2代目譲りのプレステージ性を保ちつつ、パフォーマンスをより高めた3代目VR-4。世の中的に今ひとつ評価されなかったのが残念で仕方ない。
■SPECIFICATIONS
車両型式:EC5A
全長×全幅×全高:4680×1740×1420mm
ホイールベース:2635mm
トレッド(F/R):1510/1505mm
車両重量:1460kg
エンジン型式:6A13
エンジン形式:V6DOHC+ツインターボ
ボア×ストローク:φ81.0×80.8mm
排気量:2498cc 圧縮比:8.5:1
最高出力:280ps/5500rpm
最大トルク:37.0kgm/4000rpm
トランスミッション:5速MT
サスペンション形式:FRマルチリンク
ブレーキ:FRベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:FR205/55R16
●TEXT&PHOTO:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)
●取材協力:オートプロデュースアクセス 群馬県伊勢崎市五目牛町318-2 TEL:0270-75-3401
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