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中国でハイブリッド優遇の噂! HVに強みのある日本車が席巻する日がくるのか?

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中国でハイブリッド優遇の噂! HVに強みのある日本車が席巻する日がくるのか?

 新車が売れなくなってきた中国でハイブリッド車が優遇される可能性

 ここのところ、新聞報道に端を発し中国政府のNEV(ニュー・エナジー・ビークル/新エネルギー車/新能源車)規制が見直され、HEV(ハイブリッド・エナジー・ビークル)が優遇されるのではないか、そして日本車にとっては追い風となるのではないかと話題となっている。

【5分でわかる】複雑な中国の自動車メーカー事情

 中国のNEV規制において、現在優遇されているのはFCHV(燃料電池車)、BEV(純電気自動車)、PHEV(プラグインハイブリッド)となっている。とくに中国国内では、世界に類を見ないペースでBEVの普及が進んでいるにはすでに有名な話。そこには市街地近くの工場を半強制的に移転させ、そこにはもともと工業用電力の供給インフラがあるので、その跡地を広大な充電ステーションを作っているという話もあり、“一党独裁”という政治体制下ならではのスピード感のある政策実行力のなせる技ともされている。

 もともとNEV規制導入の背景には、環境問題の側面以外にも、NEVで既存の欧米、日本、韓国などの自動車メーカーより優位に立とうとか、NEVの普及による原油輸入量の増加を抑制していきたいといった狙いがあり、むしろこれらのほうが大きいとされている。

 とはいっても、販売台数としては全新車販売台数に占めるNEVの販売比率は7%強となっている。北京や上海、広州市内ではNEVが頻繁に走っているのを見かける(ナンバープレートが専用なのですぐわかる)し、BEVの路線バスやタクシーも急速に普及している。しかし上海に限って言えば、地元上海汽車がPHEVに力を入れていることもあるのか、NEVでもPHEVを比較的多く見かける。ただ同じ車種のPHEVが多く、しかもライドシェア営業を行っているらしきクルマばかりだったのが気になった。

 沿岸部大都市のみならず、武漢など内陸の中核都市でもNEVは急速な普及を見せているが、まだまだ本格普及というレベルまではいっていないのが実状だ。

 NEVの普及に重きを置いていた政府だが、その前に新車販売市場の冷え込みのほうが顕在化してしまった。0%金利ローンなどはもはや当たり前となっても一向に改善を見せないので、新車販売市場の活性化という意味でもHEVが優遇車両の対象となる意味が大きいのかもしれない。

 日本のHVではなくドイツ主体の48VMHVが主流になる可能性も

 ただこれがHEVを得意とする日本車の追い風となるかは少々気になる点もある。今年春に開催された上海モーターショーでは、筆者が見かけただけでも中国吉利(ジーリー)汽車と長安汽車ブースに48V対応のMHEV(マイルドハイブリッド)ユニットを搭載したモデルが展示してあった。吉利汽車ではすでに2018年春の北京モーターショーで初めて48V対応のMHEVユニット搭載車を出品しており、今回は搭載車種の積極的な拡大を行っている。床置きされていたものの、吉利ブースで大注目されていたオリジナルMPV“嘉際”にも48V対応のMHEVユニットが搭載されていた。日本車のお家芸ともいえるミニバン自体、すでに中国主要メーカーでは積極的にラインアップしており、PHEVやHEVユニットの採用もけっして珍しくなく、ショー会場ではBEVのミニバンまで展示されていた。

 HEVでは確かに日本メーカーは先行しているが、中国では、すでに日本メーカーのお家芸とはいえなくなってきている。

 価格設定も結構気になるところである、前述した吉利の嘉際で48V対応MHEVユニットを搭載する最上級グレードの価格は14万8800元(約234万円)。嘉際はリヤドアがヒンジ式となるのだが、ボディサイズが近いのでリヤスライドドアとなる広州ホンダのオデッセイスポーツハイブリッドの最上級グレードの価格を調べると32万3800元(約509万円)となっている。単純比較とはいかないが、嘉際もコネクティビティ関係は充実しているし、計器盤もフルデジタルディスプレイを採用するなど、日本車と遜色のない出来となっている。

 吉利汽車のコンパクトクロスオーバーSUVの“帝豪GS”にも1.5リッターベースの48V MHEVユニット搭載車があるが、普及グレードで10万5800元(約166万円)、一方一汽豊田のカローラHVの廉価グレードは13万7800元(約216万円)となる。その差約50万円。MHEVは自らマイルドと名乗るように簡易タイプのハイブリッドとなるが、“ストロングハイブリッドのほうが燃費性能に優れるから”といって、この程度の価格差を中国の消費者が許容してストロングハイブリッドを選ぶかどうかは非常に懐疑的である。

 さらに気になるのは嘉際が1.5リッターエンジンベースなのに、オデッセイは2リッターエンジンベースとなっている。上海モーターショーのタイミングで3.5リッターV6からハイブリッドへ中国仕様の搭載ユニット変更をしたアルファード、そして新規投入されたヴェルファイアは2.5リッターエンジンベースのハイブリッドユニットとなっている。日本でも2リッターといえば、いまどきは以前に増して排気量の大きい部類に入るが、中国では日本以上に排気量の大きいエンジンとなる。ましてや2.5リッターともなれば……。中国ではアメリカンブランドでさえ、カムリと同等のシボレーマリブでも1.5リッターターボをラインアップしているので、日本車の搭載エンジン排気量は全般的に大きめの印象も目立っている。

 欧米、とくにドイツ系の動きも気になるところ。ドイツ系ブランドはすでにPHEVやBEVを積極的にラインアップしているが、中国市場では筆者が見た感じでは積極的な展開は行なわずに、NEVに関しては静観ムードが目立っていた。そのドイツ系では48V対応のMHEVユニットを積極的にラインアップしているのである。中国政府が自動車関連で新しい政策を進める時にはドイツ系メーカーからアドバイスを受けることが多いともいわれているので、HEVの優遇車両化が進む時に48V対応の MHEVユニットありきで進み、これがHEVの事実上のデファクトスタンダード化することも十分考えられるのである。

 市場が冷え込んでいるとはいえ、日本とは比較にならないほど中国の消費者は新しいトレンドに飢えている(日本メーカーは中国市場で最新技術の出し惜しみが目立つといわれることもある)。確かに一般的にストロングハイブリッドと呼ばれるシステムを採用する日本車にもある程度の追い風が吹きそうだが、政策の方向性や消費者へのアピール次第ではHEVにおいても中国や欧米メーカーにリードを許してしまう可能性も否定できないのである。

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