高級Lクラスミニバンのトヨタアルファード/ヴェルファイアが欲しい!! と思っている人は多いはず。
しかし、いざ購入しようとすると、何を買うのがいいのか本当に迷う。ガソリンモデル、ハイブリッド、エアロと標準のボディタイプ、シートなどなどその組み合わせはかなりの数になり悩むのも当然だ。
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そこで本企画では、アルファードに絞り、一番買い得感の高いグレードを渡辺陽一郎氏が考察し、ベストバイモデルをレクチャーする。これで悩み一発解消だ!!
文:渡辺陽一郎/写真:TOYOTA、ベストカー編集部
高額だが大人気のアルファード/ヴェルファイア
【画像ギャラリー】圧倒的人気のアルファード
3列シートのミニバンは、人気のカテゴリーといわれるが、以前に比べると売れ行きが下がっている。全高が1700mmを下まわるスライドドアを装着しない背の低いミニバンは、ジェイドを除くと生産を終えた。
アルファード(右)とヴェルファイア(左)はともに存在感抜群だが、押し出し感、高級感ともアルファードのほうがあり人気も高い
ミニバンも普及開始から20年以上を経過して、広い車内を積極的に求めるユーザーしか買わなくなった。その結果、以前に比べると売れ行きや車種数が減ったわけだ。
その中で注目されるのが、Lサイズミニバンのアルファード&ヴェルファイアになる。豪華で広い室内が特徴だ。
両車は基本部分を共通化した姉妹車で、アルファードはトヨペット店、ヴェルファイアはネッツトヨタ店が扱う(東京地区は全店が両車を売る)。
広くて豪華なインテリアがアルファードの人気の要因でもある。写真はマイチェンで追加されたエグゼクティブラウンジで、アルファードのトップグレード
販売は好調で、この2車種の登録台数を合計すると、コンパクトカーのアクアに近い数字になる。高価格車を売りにくい今、アルファード&ヴェルファイアは貴重な存在だ。
そこでアルファードの購入を考えると、パワーユニット、ボディタイプが複数あるのでグレード選びが難しい。ここではアルファードの一番お買い得なグレードについて考察していく。
2種類のエンジンは価格差が大
まずエンジンは、直列4気筒2.5L、直列4気筒2.5Lハイブリッド、V型6気筒3.5Lがある。外装は標準ボディとエアロパーツを備えた仕様に分けられる。さらに2列目シートにも複数のタイプがあるから難解だ。
そこでそれぞれの割安感を見ていきたい。いきなりグレードを絞ろうとしても、種類が多すぎて決められない。順を追って条件を絞り込む。
2017年のマイチェンではエクステリアの変更だけでなく3.5L、V6エンジンを換装し、8ATが組み合わされて走りの質感は大幅に高くなった
ベーシックな直列4気筒2.5Lノーマルエンジンの価格を基準にすると、装備の違いを補正して、V型6気筒3.5Lは約50万円高い。発売当初は約40万円高かったが、マイナーチェンジで実質10万円値上げされた。
その理由はエンジンを従来の2GR-FE型から、レクサスGSなどに搭載される2GR-FKS型に変更したからだ。動力性能の数値も高まったが、それ以上に運転感覚の違いが大きい。
ノイズは小さく回転感覚も滑らかになり、吹き上がりも向上した。ミニバンに高性能は不要といわれるが、逆にいえばエンジンの変更で、退屈だった走りが楽しくなることもある。アルファードの3.5Lはまさにそのパターンだ。
開発者によると「V6、3.5Lエンジンは、価格が高く、販売比率は少ない。ただし最上級のエグゼクティブラウンジを購入するお客様は、V6、3.5Lを選ぶことが多い」という。豪華な内装に相応しいエンジンになるからだ。
アルファードは標準ボディとエアロボディの2タイプを設定。こちらは標準ボディで、グリルを囲むメッキモールが強調されている
こちらはエアロボディで、メッキモールがグリルをここっていない代わりに両サイドに伸びてワイド感が強調されている。ステップも専用品だ
ハイブリッドで価格差を回収するには10万km程度必要
ハイブリッドは後輪をモーターで駆動するE-Fourのみの設定だ。従って直列4気筒2.5Lノーマルエンジンも、4WDを基準に比較する。
そうすると装備の違いを補正して、ハイブリッドは60万円高い。先に上げたV型6気筒3.5Lを10万円上まわるわけだ。
ハイブリッドはガソリンモデルに比べて車両価格が高い。燃費差、自動車税などの税金の差によってカバーすることは可能だが、そのハードルは高い
ハイブリッドは、2.5Lノーマルエンジンに比べて価格が60万円高い代わりに、税金が安く燃費もいい。税金の計算は2019年10月1日に消費増税が行われて変わるが、目安としてそれ以前の金額も挙げておこう。
2.5Lノーマルエンジンを搭載したS(7人乗り)の場合、購入時に納める自動車取得税と同重量税の合計額は約16万円だ。ハイブリッドはエコカー減税が免税(100%の減税)だから、両タイプの実質差額は44万円に縮まる。
アルファードの価格帯は、標準ボディが337万6080~735万2640円、エアロボディが371万4120~750万2760円と上下の価格差は大きい
そこでレギュラーガソリン価格を1L当たり140円、実用燃費をJC08モードの85%として計算すると、1km当たりの走行コストは2.5Lノーマルエンジンが13.7円、ハイブリッドは9円だ。ハイブリッドは1L当たり4.7円の節約が可能で、44万円の実質差額を取り戻せるのは、9~10万kmを走った頃になる。
4WDのニーズがあり、なおかつ1年間に1万5000km以上を走るユーザーなら、ハイブリッドを選ぶ価値も生じる。
ただしハイブリッドの価格は400万円を大幅に超えるため、最も販売比率の高いエンジンは2.5Lノーマルタイプだ。
シートにも大きな価格差がある!!
2列目シートの価格も算出した。最も安いのは、8人乗りのベンチタイプだ。リラックスキャプテンシートと呼ばれる7人乗りのセパレートタイプは、価格が約4万円上昇する。さらにパワーリクライニングやパワーオットマンを備えたエグゼクティブパワーシートは、装備の違いを補正すると17万円の上乗せだ。
2列目シートの快適性を最大限に追求したエグゼクティブラウンジの2列目シートは高価だが、飛行機のファーストクラスのシートを凌駕する快適性を誇る
そしてエグゼクティブラウンジシートは、さらに豪華になってシートのベンチレーション機能や読書灯なども備わり、70万円前後の上乗せになる。車両本体の価格も、カーナビなどが標準装着されることもあり、一気に700万円を超えてしまう。
エグゼクティブラウンジシートを備えたエグゼクティブラウンジというグレードは割高だ。
7人乗りで上級タイプのエグゼクティブパワーシート。エグゼクティブラウンジには劣るが、最上級の快適性が得られること間違いなし
さてベストグレードだが、機能と価格のバランスだけで選ぶと、価格が最も安い2.5LノーマルエンジンのX(337万6080円)になる。ただしこのグレードは2列目シートがベンチタイプのみになり、実用指向が強すぎて情緒に欠ける。
そこで最も推奨されるのは、エアロパーツなどを備えた2.5LノーマルエンジンのS(375万7320円/7人乗り)だ。7人乗りなら2列目がセパレートタイプのリラックスキャプテンシートになり、手動式ではあるがオットマンなども備わる。
ハイブリッドもS(463万2120円)を推奨するが、4WDになって装備も充実するから、価格は87万4800円高い。先に述べたように4WDを使う機会があり、走行距離も伸びるユーザーに適する。
7人乗りシートでは安いタイプに分類されているが、超ロングスライドが可能で使い勝手抜群。最大830mmの超ロングスライドは圧巻!!
在庫車は値引き拡大に期待
そしてV型6気筒3.5Lは、2.5Lに比べると税金が高まって燃料消費量も増えるが、運転感覚は良好だ。実際に試乗して、判断するといい。
3.5Lエンジン搭載車の推奨グレードは、SC(496万9080円)かGF(522万7200円)だ。SCにはエアロパーツが装着され、GFにはオプション価格が33万1560円の本革シートが標準装着される。価格はGFが約26万円高いから、エアロパーツを備えて価格の安いSCを推奨したい。
2017年12月のマイチェンで第2世代に突入した安全装備のトヨタセーフティセンスを全車に標準装備されたのは安心感が高まる要素
タイヤサイズもSCは18インチ、GFは17インチだ。V型6気筒3.5Lは動力性能が高いので、Cに備わる18インチのバランスがいい。
以上のようにベストグレードは2.5LノーマルエンジンのS、4WDのニーズがあって走行距離が伸びるユーザーにはハイブリッドS、走りのよさも楽しみたいなら3.5L、 V6のSCになる。
販売店によると「納期は3~4か月」だという。
基本的に消費増税に間に合わないが、販売店によると、「少数の店舗では在庫車を持っている」。グレードは選べないが、「9月の中間決算フェアの期間中でもあるから、在庫車を買っていただけるなら値引きを増やす」とのこと。
購入希望なら販売店に問い合わせるといいだろう。姉妹車のヴェルファイアも併せて検討したいところだ。
2017年のマイチェンではそれまで設定がなかったブラインドスポットモニターが新設定された。大きなボディだけに死角を減らしてくれる安全装備は大歓迎
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