現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 【メルセデス“小史”02】1934年に登場した「130」は革命的な小型メルセデスだった

ここから本文です

【メルセデス“小史”02】1934年に登場した「130」は革命的な小型メルセデスだった

掲載 更新
【メルセデス“小史”02】1934年に登場した「130」は革命的な小型メルセデスだった

かつて、メルセデス・ベンツといえば大きな高級車、というイメージが強かったが、現在ではAクラスやBクラスをはじめ、小型車のバリエーションも増えた。そんなメルセデス・ベンツの小型車の歴史を何回かに分けて振り返ってみたい。(タイトル写真は、手前が130、奥が170H)

1.3Lエンジンをリアに搭載した「130」
19世紀末、ベンツ社は小型車のヴェロをつくり、量産メーカーとして世界のトップランナーの存在になっていた。しかしその後20世紀に入ると、メルセデスをつくるライバルのダイムラー社とともに、比較的大型で高価格のクルマをつくるメーカーとして発展した。

【スクープ】どうなる日本のセダン? 消滅が秒読みのビッグネームたち!

やがて1926年に両社は合併し、ダイムラー・ベンツ社となり、彼らの生み出す車両はメルセデス・ベンツとなる。このころ、巨大なアメリカのメーカーがヨーロッパに進出してきており、生き残りのために小規模だったドイツのメーカーも近代的な量産メーカーに転換する必要があった。

そんな状況で、ドイツの各メーカーは価格の安い小型車の開発にはげんだ。新生ダイムラー・ベンツが送り出すメルセデス車も、1931年にそれまでよりも小型のモデル「170」を投入した。ところがメルセデスはそれでは終わらず、さらに小さい革命的な「130」を1934年に発表した。

130は、1.3Lのエンジンをリアに搭載していた。近代的なRR(リアエンジン・リア駆動車)としては、タトラ 77と並んで世界初といってよい。ただし、タトラ 77は少量生産の大型車だった。当時、RRは小型軽量の次世代車に適した設計として注目されていた。それをダイムラー・ベンツはいち早く正規の量産車として、世に送り出したのだった。

ところが、この130には難点があった。リアが重いRR特有のオーバーステア傾向の操縦性に問題があったのだった。そのため、1936年で生産終了となってしまう。ただし、それにかわって同年にひとまわり大きな改良版の170Hを投入。リアヘビーの問題に対策を施し、やや高級化した車種として発売したのだった。

しかし、170Hも1939年で生産終了となる。価格が高いため、販売が不調に終わったのだった。そこでメルセデスは同じ1.7Lエンジンをフロントに積む170Vを同時に市場に投入し、これが記録的な成功を収めた。これによって、メルセデスのRR車の系譜は絶たれることになった。

メルセデスが野心的な小型車をあきらめた背景には、実はフォルクスワーゲンの存在があった。フォルクスワーゲンは、フェルディナント・ポルシェ博士が設計して、1934年から39年頃にかけて、国家が全面的に支援する計画として開発された。

このフォルクスワーゲンと130/170Hは非常によく似た設計である。ポルシェ博士は、元はダイムラー・ベンツの技術部長で、独立後の1930年に立ち上げたポルシェ事務所でフォルクスワーゲンを開発した。その設計はダイムラー・ベンツ時代に構想して、開発していたものを発展させたといわれている。もともとはベンツ社でリアエンジンが研究されており、ダイムラー社にいたポルシェ博士は、1926年にベンツ社と合併したことで、リアエンジンを間近に知り、魅了されたのだった。

しかもフォルクスワーゲン開発当初は、ポルシェにはまだ量産設備がなく、その試作車の製造にダイムラー・ベンツが協力していた。ポルシェ博士は、メルセデスRR車の失敗を横目で見ながら、RRの弱点を抑えたフォルクスワーゲンの開発に成功する。130/170Hとフォルクスワーゲンは異母兄弟のような関係で、フォルクスワーゲンのほうが弟にあたるのである。(文:武田 隆/写真:メルセデス・ベンツ)

[ アルバム : ベンツ小型車の歴史 2 はオリジナルサイトでご覧ください ]

こんな記事も読まれています

「洗車機で洗車」なぜ洗い残しが発生する? 機械洗車じゃキレイにならない!? 汚れを完全に落とす簡単な方法とは?
「洗車機で洗車」なぜ洗い残しが発生する? 機械洗車じゃキレイにならない!? 汚れを完全に落とす簡単な方法とは?
くるまのニュース
EVは「車酔い」しやすい?しにくい? ネット上の意見は真っ二つ、いったいなぜなのか
EVは「車酔い」しやすい?しにくい? ネット上の意見は真っ二つ、いったいなぜなのか
Merkmal
受注期間わずか3カ月も爆売れ!! レトロデザイン採用の[パオ] 中古車は200万円超って本当!?
受注期間わずか3カ月も爆売れ!! レトロデザイン採用の[パオ] 中古車は200万円超って本当!?
ベストカーWeb
EVはまだちょっと……ならやっぱりハイブリッド! HV慣れした人でも新鮮味が味わえる新世代ハイブリッド車3台
EVはまだちょっと……ならやっぱりハイブリッド! HV慣れした人でも新鮮味が味わえる新世代ハイブリッド車3台
WEB CARTOP
ハスクバーナ、最新・最大排気量の『スヴァルトピレン801』発売へ 138.9万円
ハスクバーナ、最新・最大排気量の『スヴァルトピレン801』発売へ 138.9万円
レスポンス
レクサス LMに6座仕様車を追加設定。多人数乗車でのパーソナル感を追求したラグジュアリー ミニバン
レクサス LMに6座仕様車を追加設定。多人数乗車でのパーソナル感を追求したラグジュアリー ミニバン
Webモーターマガジン
新型レクサスLMに、6座仕様追加へ──GQ新着カー
新型レクサスLMに、6座仕様追加へ──GQ新着カー
GQ JAPAN
“GTの原点”に立ち返る新たな挑戦。市販車モノコック製Z GT300をデビューさせたゲイナーが奮闘の先に見据えるものとは
“GTの原点”に立ち返る新たな挑戦。市販車モノコック製Z GT300をデビューさせたゲイナーが奮闘の先に見据えるものとは
motorsport.com 日本版
ホンダ、6月発売の新型フリードを先行公開 エアーとクロスターを設定
ホンダ、6月発売の新型フリードを先行公開 エアーとクロスターを設定
日刊自動車新聞
クルマ好きカスタムの定番「シャコタン」! じつは車高を下げるには4つの手段があった!!
クルマ好きカスタムの定番「シャコタン」! じつは車高を下げるには4つの手段があった!!
WEB CARTOP
伝説の「和製スーパーSUV」まさかの市販化!? 斬新“未来すぎ”「2ドアモデル」! まさかのいすゞ“オシャマシン”「ビークロス」とは
伝説の「和製スーパーSUV」まさかの市販化!? 斬新“未来すぎ”「2ドアモデル」! まさかのいすゞ“オシャマシン”「ビークロス」とは
くるまのニュース
【YM未来予想】ヤマハ新ニヒャクの大本命?! 水冷&最新装備で“セロー200”復活熱望ッ!!
【YM未来予想】ヤマハ新ニヒャクの大本命?! 水冷&最新装備で“セロー200”復活熱望ッ!!
WEBヤングマシン
日産のホットハッチが100万円切り!? ニスモが作った116馬力の[マーチNISMO S]が最高だった!!!
日産のホットハッチが100万円切り!? ニスモが作った116馬力の[マーチNISMO S]が最高だった!!!
ベストカーWeb
東京都心の高速道路が「歩行者天国」に!? 激レア体験のぶっ飛びイベント「銀座スカイウォーク」がすごかった! 高架道路が「緑道化」数年後に実現するかも!?
東京都心の高速道路が「歩行者天国」に!? 激レア体験のぶっ飛びイベント「銀座スカイウォーク」がすごかった! 高架道路が「緑道化」数年後に実現するかも!?
くるまのニュース
バレンティーノ・ロッシ、来季もWEC&GTワールドチャレンジを主軸に4輪レース参戦へ。しかし“働きすぎない”スケジュールに?
バレンティーノ・ロッシ、来季もWEC&GTワールドチャレンジを主軸に4輪レース参戦へ。しかし“働きすぎない”スケジュールに?
motorsport.com 日本版
勝利掴んだマクラーレン、新パッケージ投入の目的は“ピュアな”ダウンフォース量向上にアリ。次戦イモラで真価が問われる?
勝利掴んだマクラーレン、新パッケージ投入の目的は“ピュアな”ダウンフォース量向上にアリ。次戦イモラで真価が問われる?
motorsport.com 日本版
トヨタ新型「コンパクトSUV」発表! 斬新「レクサス顔!?」が超カッコイイ! “小さな高級車”な555万円仕様もある「カローラクロス」越で登場
トヨタ新型「コンパクトSUV」発表! 斬新「レクサス顔!?」が超カッコイイ! “小さな高級車”な555万円仕様もある「カローラクロス」越で登場
くるまのニュース
新型フリードの純正アクセサリーがホンダアクセスから登場!テールゲートタープ、ルーフラックなどをラインナップ
新型フリードの純正アクセサリーがホンダアクセスから登場!テールゲートタープ、ルーフラックなどをラインナップ
月刊自家用車WEB

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

498.0558.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

9.7570.0万円

中古車を検索
Aクラスの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

498.0558.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

9.7570.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村