マンガやアニメの世界から出てきたような三輪モーターサイクル
この春、BRPジャパンが発売した三輪モーターサイクル、「Can-Am Ryker(カンナム・ライカー)」。製造元である「BRP」は、水上バイク、スノーモービル、ATVなどを手がけるカナダのメーカーだ。
「カンナム・ライカ―」について更に詳しくはこちら(BRPジャパン公式ページに遷移します)
カンナム・ブランドは2007年に発売された「スパイダー」からスタート。スノーモービルと同じ前二輪、後一輪いうユニークなレイアウトと未来的なデザインが相まって、世の車好き、バイク好きから大きな注目を集めた。
カンナム・スパイダーの大きな特徴は、四輪と二輪の“ハイブリッド”と言うべき走行性能と操作性を備えていることだ。
ハンドルはオートバイと同じバータイプで、アクセル操作は右手のグリップを捻って行う。一方ブレーキはフットレバーを踏み込むことで三輪を制動する。つまり四輪車的なのである。
走らせた感覚も同様だ。前二輪がシッカリと路面を捉えるから、乗り手は「転倒」の不安なく、まさに車を運転するようにカーブに飛び込んでいくことができる。
そしてコーナリング中の俊敏な身のこなし、出口から素早く飛び出していく加速感は、まさにオートバイのそれなのだ。
その唯一無二のコンセプトと走りの楽しさで年々ファンを増やしてきたカンナム・スパイダーだが、モデル構成は至ってシンプル。
1300cc並列3気筒エンジンのみで、スポーツ、ツーリング、クルーズといった目的に向けた異なる3モデルがラインナップされていた。
新シリーズ「ライカー」のラインナップ
そして今回、カンナムの新シリーズとして登場したのがこの「ライカー」だ。エンジンは600cc並列2気筒と900cc並列3気筒の2種類で、トランスミッションはともにCVTを採用。
シート位置を下げた低重心構造と軽量化した車体により、素早い加速と高いコーナリング性能を実現したという。
つまり従来のスパイダーに対するライトウェイトモデルであると同時に、価格を抑えたカンナム・シリーズのエントリーモデルという位置付けでもある。
ちなみに価格はスパイダーが230万円台~330万円台なのに対し、ライカーは「600」が135万9000円、「900」が159万9000円、「ラリーエディション」が176万4000円とかなりリーズナブル。ユーザーにとってのハードルはだいぶ下がったと言えるだろう。
とはいえ決して“廉価版”という印象ではない。重厚な印象を与えるスパイダーに対して、ライカーよりスポーティかつフューチャリスティック。
アニメ『AKIRA』に出てくる金田のバイクのような……というのは少々手垢のついた表現にすぎるとしても、例えば10代、20代の若者の目に「カッコいい」と映るのは、間違いなくライカーの方だろう。
嬉しいのは、スタリビティコントロール、トラクションコントロール、ABSといった「安全」に関わるデバイスは一切省かれず、ライカー全モデルに標準装備されること。
工具なしでハンドルバーやフットペグの位置を調整できる、独自の「U Fitシステム」もしっかりスパイダーから受け継いでいる。
グレードは前述したとおり、600ccの「600」、900ccの「900」、オフロード走行を考慮した「ラリーエディション」の3種類。 ライカーのスタイリッシュなデザインと引き換えに、「積載性など実用性に乏しいのでは?」と思う向きもあるだろう。
確かに“素”での積載性ほぼゼロだが、じつはリアに装着するトップケースやサドルバッグといったアクセサリーが豊富に用意されている。
さらに外装パネルやホイールアクセントといった装飾パーツを合わせれば、7万5000通り以上のカスタマイズが可能ということだ。
ちなみにカンナム・シリーズ、運転するのに「二輪免許」は必要ない。
普通自動車免許(CVTなのでAT限定免許でも)で乗ることができるから、二輪未経験者が“バイク的”な運転感覚を体感するのには最適だ。
また登録にあたって車庫証明は不要、高速道路などの通行区分は二輪車扱いになるという、あらゆる意味で“ハイブリッド”な存在と言える、とてもユニークな乗り物なのだ。
文/河西啓介、写真/篠原晃一
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