■「世界のトヨタ」、きっかけはランクルだった?
並み居る強豪自動車メーカーを相手に、世界中の市場で高いシェアを確立しているトヨタ。いまや日本経済を支えているといっていいトヨタのクルマですが、同社にも厳しい時代がありました。
トヨタ「ランクル70」復活? ファン待望のディーゼル仕様で2020年に登場か
自動車産業においても後進国だった日本は戦後、海外メーカーからの輸入や、ノックダウンによってほとんどの需要をまかなっていました。国内メーカーは、内需向けの製造を細々とおこなっていましたが、日本の市場規模を考えれば、モータリゼーションが進んでいる北米こそが活路だと考えていたのです。
とくにトヨタは、当時のフラッグシップモデルだった「トヨペット クラウン」と「トヨペット クラウンデラックス」を、なによりも北米に売り込みたいと考えた結果、トヨタは1957年に3名の先遣チームを北米に派遣し、販売会社の設立を開始します。
しかし、いまでこそ「メイド・イン・ジャパン」のクオリティは高い信頼性を得ていますが、当時のトヨタ車は高速化が進むアメリカで売れるだけの品質を担保できていませんでした。
実際、1958年からアメリカで本格販売され始めた両モデルには、さまざまななトラブルが発生。とても北米で売れる商品ではありませんでしたが、思ってもいなかったモデルがアメリカで高評価を得たのです。それは1955年に誕生したばかりの「ランドクルーザー」でした。
ランドクルーザーはもともと、日本の警察予備隊(自衛隊の前身)への納入を目指して誕生しました。日本の警察関連車には、米軍から提供されたウイリスMB/フォードGPWといったジープが使われていましたが、警察予備隊車両として安定的な供給を希望する国は、国内メーカー各社に開発・入札に参加するよう協力を求めたのです。
そこでトヨタは、SB型という小型トラックのシャシを使って、B型3.4リッター直列6気筒エンジンを搭載した「トヨタジープBJ型」という小型四輪駆動車を造りました。
ちなみにBJというのは、B型エンジンを搭載したジープを表す型式記号です。結局、このモデルは制式採用されることはなかったのですが、1953年から本格的な生産を開始。民生用モデルとして再出発します。
翌1954年、ジープというモデル名がウイリス・オーバーランドの商標登録に抵触することがわかり、新たに「ランドクルーザー」という名前が付けられました。
この名前は、ライバルであったイギリスの「ランドローバー」を意識して付けたもので、「ROVER」に「海賊」という語意があることから、それを駆逐する陸の巡洋艦ということで、ランドクルーザーという名前になったという説が現在では一般的となっています。
ランドクルーザーは1955年にモデルチェンジをおこない、「20系」にスイッチ。いくつかのボディバリエーションが造られましたが、「FJ35V」というロングボディ車が、クラウン/クラウンデラックスと共に、北米に輸出されたのです。
当時のアメリカは自動車先進国だったとはいえ、地方では未舗装路も多く、小型四輪駆動車の需要が高くなっていました。とくにウイリス・オーバランド製のジープシリーズは人気のモデルでした。
しかし、ジープはハイパワーなエンジンを搭載していましたが、パワートレインが脆弱で度々メカニズムのトラブルを発生していたのです。
一方、ランドクルーザーは相変わらず初期と同じB型エンジンを搭載してしましたが、シャシやパワートレインは小型トラックのものを使用していたため、高い耐久性と信頼性を確保していたのです。また、デザインもいかにも軍用車というものではなく、ランドクルーザーのどこか愛嬌のある顔・形が受けたようです。
■ランクルの登場がトヨタを世界的企業に発展させる?
20系で北米市場の足がかりを確立したトヨタは、1960年にさらなる商品力アップを狙って「40系」を発表します。このモデルには北米向け専用がありました。
例えば、3速コラムシフトやワイドレシオのギア比、ソフトなサスペンションなど、現地のニーズにさまざまな面で応えていました。
また急速に進む高速化に対応するために、トランスファーに副変速機を採用したのも、このランドクルーザー40系が初でした。
現在では、ジープのようなヘビーデューティな雰囲気のモデルが好まれていますが、当時は乗用車ライクな雰囲気がユーザーの嗜好であり、このランドクルーザーがその後の小型四輪駆動車の設計思想の一端を確立したといっても過言ではありません。
この車種はアメリカで「フォーティ」と呼ばれる大ヒット車となり、その後、「50型」や「60系」、「70系」、そして後継モデルへとDNAが受け継がれていきます。
トヨタは、ランドクルーザーとクラウンのセットで世界中の市場で足がかりを作り、やがて世界のトヨタとしての地位を確立していきます。
もし、ランドクルーザーというモデルが誕生しなければ、トヨタがここまで世界の市場で成功することはなかったかもしれません。
ランドクルーザーは現在、世界約150の国と地域に輸出されているモデルで、同社の他車種と比べても圧倒的に広い地域で売られています。
それは「地球上で最後に残るクルマ」という思想で造られ、厳しいテストを繰り返して実現した品質に裏打ちされているためで、世界の人々から絶対的な信頼性を得ている証拠なのではないでしょうか。ランドクルーザーは日本が誇るべきクルマなのです。
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