今回は、なぜクルマのフロントグリルが大きくなるのか、について考えてみたい。
ボクは少し前から、トヨタやフォルクスワーゲンのグリルに装着される「エンブレム」が大きくなってきていることについて気になっていた。
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だが、最近のクルマ、たとえばレクサスやBMW、マツダにおいてはグリルそのものが巨大化している。
そしてその大きさたるや、ハンパではない。
グリルが最も大きくなっているのはBMWだ
なんと言っても「最も速いペースで」グリルが成長しているのはBMWだ。
BMWは「7シリーズ」を本国でフェイスリフトさせたが、これはいわゆる「マイナーチェンジ」に相当する。
そして「マイナー」にもかかわらず、BMWはそのキドニーグリル巨大化のために相当なコストを投じてきた。
たとえば、新型7シリーズでは、キドニーグリルの上下を拡大するため、ボンネットの高さを5センチ高くしたという(その結果、グリル面積は40%も増加した)。
通常、マイナーチェンジだとここまでの変更は行わない。
定石だと、前後ランプの変更そしてやはり前後バンパーのデザインを変更する程度だ。
機能が向上するのであればまだしも、グリルを巨大化するというためにボンネットの形状までを変更してくるというのは、ボクが知る限りだと非常に稀だ。
では、なぜBMWはフルモデルチェンジでもないのに、そこまでコストを投じたのだろうか。
これについてはいくつか理由があるようだが、もっとも大きなものは「プレゼンスの強化」だと考える。
今や世界の自動車メーカーにとって中国は非常に重要な市場であるが、それはBMWにとっても同じことだ。
そして中国には多くのライバルが存在し、その中で「目立つ(存在感を示す)」のは並大抵ではない。
そこでBMWはそのデザイン的な特徴の一つ「キドニーグリル」を強調し、中国市場における存在感を高めているのではないかと考えている。
なお、ほかにグリルの形状が特徴的なブランドととしてはレクサス(スピンドルグリル)、アウディ(シングルフレームグリル)、マツダ(5ポイントグリル)、アルファロメオ(盾形グリル)などがあるが、アウディはフロントグリルを強調する理由について「中国市場での視認性を高めるため」と答えているようだ。
フロントグリルの巨大化は機能的な意味もある
そして、BMWによると、フロントグリルのサイズアップは「デザイン性が理由」というだけではないようだ。
BMWが動画サイトに投稿した内容によると、キドニーグリルの面積を拡大することで効率的にそこからエアを取り入れることができ(あれだけ大きければ当然だ)、それまでフロントバンパーサイドにあったエアインテークを廃止したり小型化することができるようになった。
これによってフロントバンパー自体の設計自由度が増し、エアフローの改善や、ダウンフォース向上を期待できるそうだ。
たしかに新型7シリーズの画像を見てもフロントバンパー左右下部にあったインテークは姿を消しているし、それは最近のマツダ車(CX-8やマツダ3)においても同じように見える。
時代とともに姿を変えているフロントグリルではあるが、そこには様々な理由があるのは面白い、と思う。
[ライター・撮影/JUN MASUDA]
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