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なぜ道路脇に「ツツジ」多い? 一般道や高速道脇に植物が存在する理由とは

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なぜ道路脇に「ツツジ」多い? 一般道や高速道脇に植物が存在する理由とは

■道路脇の植物の役割

 全国の一般道から高速道路の脇には、植物が植えられています。低木(ていぼく)から高木(こうぼく)までさまざまな植物があり、国土交通省では「街路樹」という名称で呼んでいます。

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 なぜ、道路脇にはさまざまな種類の街路樹が存在するのでしょうか。

 街路樹を植える目的で想像しやすいのは「二酸化炭素の吸収」などの環境保全としての役割ですが、そのほかにも「景観の向上」「生活環境の保全」「交通安全」などさまざまな目的があるようです。

 一般道の脇に植えられた植物としては、景観などの問題も含め落葉広葉樹(冬場や乾季に葉を落とす広葉樹)が好まれています。樹種は、高木(高さが5m程度を超える樹木)で「イチョウ」や「サクラ」「ケヤキ」など、中低木で「ツツジ」などが有名です。

 とくにツツジは、シックハウス症候群でも悪名高い「ホルムアルデヒド」を吸収し、空気を浄化してくれる働きがあることでも知られています。

 また、「街路樹」の選定には、地域的な特色があり、その土地ごとに自生の種をそのまま使おうという動きが盛んです。

 北海道では、「ナナカマド」や「エゾマツ」「カエデ」などが高木樹種の上位を占め、東北から関東や北陸では、「イチョウ」、「サクラ」、「ケヤキ」の定番樹種が植えられています。

 近畿や中国、四国地方では「クスノキ」や「モミジバフウ」など、暖かい地域の高木が増加。さらに沖縄を見てみると、トップ3が「フクギ」「リュウキュウコクタン」「リュウキュウマツ」と他県との違いが顕著です。

 また、中低木に関しては、どの地方も圧倒的に「ツツジ」が多くなります。とくに九州地方では、過半数がツツジのようです。過酷な環境に耐えられ、やせている地でも虫がつかず美しい景観を保ち、さらに空気清浄効果もあることから、積極的に取り入れられているものと考えられます。

 では、一般道同様に全国に張り巡らされている高速道路に植物を植える理由はなんなのでしょうか。

 高速道路脇に植物を植える理由について、NEXCO東日本の広報課は次のように説明しています。

「高速道路の緑化は、地球温暖化防止や生物多様性などの『環境保全機能』や、季節感豊かな走行環境を創出し周辺環境との調和を図る『景観保全機能』を持っています。

 さらに、視線誘導や遮光により走行環境の改善や地吹雪防止などの『交通安全向上機能』のほか、高速道路では、上記の機能に資することを目的として、新規路線の建設に合わせて緑化に取り組んでいます」

※ ※ ※

 街路樹として植えられる樹木は「自動車の排気ガスを浴び続ける」「植えられる土が狭く固くなる」「枝をある程度取り払われる」などの過酷な環境に耐えられるものを選ばなくてはなりません。

 場所によっては、夜間に電飾をかけられることもあり、これも木にとっては大きな負担となります。NEXCOでは点検から、草刈り、間引きなど管理作業を定期的におこなって管理しているそうです。

■一般道と高速道路で植えられている植物に違いはある?

 では、一般道と高速道路での植えられている植物に違いはあるのでしょうか。前述のNEXCO東日本は次のように話します。

「高速道路では、背の高い種類として『アカマツ・クロマツ類』『スギ類』などの常緑針葉樹(年間を通して葉をつける樹木)、『コナラ』『サクラ』などの落葉広葉樹が多いです。

 中低木では、『ツツジ類』『ハギ類』、地被植物(地表を覆うタイプの樹木)では『ヘデラ類』が多いなど、一般道とは植えられている樹種にやや違いがあることが挙げられます。

 ヘデラとは、別名『アイビー』『セイヨウキヅタ』などと呼ばれるツル植物で、とくに高速道路の車道に接する箇所や壁面の緑化に利用されています。

 これらの違いは、高速道路が土の造成箇所では法面を有すること、視点の移動速度が一般道と比べて大きいといったことが要因と考えられますが、一般道との正確な違いがどこまであるかは把握しておりません」

※ ※ ※

 また、高速道路では「環境保全機能」の一環として、緑化を積極的におこなっています。緑化状況について、NEXCO東日本は次のように話します。

「道路の法面(のりめん・盛土などで作られた人工的な斜面)は基本的に緑化をおこなうこととしており、高速道路上では高木で約2500万本、中低木で約1700万本が生育しています。

 植栽に当たっては、前述した環境保全、景観保全、交通安全向上機能に適した樹種を路線別、IC区間別に選定しています」

 また、高速道路の壁面緑化には「ナツヅタ」という植物が使われています。これは、甲子園球場の外壁を覆うツタから種子の提供を受けて、滋賀県湖南市の旧日本道路公団の育苗施設で育てたものを全国の高速道路に出荷しているそうです。

 さらに、旧日本道路公団の創立30周年記念行事では、大規模なサクラの植樹をおこない、高速道路上で桜前線を楽しむ計画が実施されるなど、ただ環境や利便を目的としただけではなく利用者が「楽しいドライブ」になるような取り組みをおこなっていました。

 一般道でも高速道路でも、ドライバーの目を楽しませてくれる街路樹は、さまざまな役割を持っています。道路脇の植物を目にした際は、その地域の特色などが活かされていることを覚えておいてもいいかもしれません。

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