21世紀の始まりに大きく舵を切った伝統車も
5月1日から新しい元号「令和」がスタートし、31年の長きに渡って続いた平成の元号が終わった。31年間続いた平成という時代はバブル景気の絶頂期と崩壊、阪神大震災や東日本大震災といった大規模災害、長かった不景気など、激動の時代であった。
貴重じゃないけど中古で今乗るべき! 令和には生まれない「隠れ国産名車」4選
激動だったのは日本車の大躍進や次々と変わったユーザーの志向の変化など、時代を映す鏡とも言われるクルマも同じだった。そこで平成の終わりを期に、平成を駆け抜けたインパクトあるクルマを良かったほう、悪かったほう含めて振り返ってみたいと思う。平成元年からスタートした本企画だが、今回は平成13年(2001年編)誕生のクルマをお届けしよう。
■平成13年ってどんな年?
21世紀の幕開けとなったこの年、4月に小泉純一郎氏が総理大臣に就任。2006年9月まで続く長期政権を率いた。
9月11日にはアメリカニューヨークのワールドトレードセンターにハイジャックされた旅客機が二機、自爆突撃するなどのアメリカ同時多発テロが発生し、世界中が恐怖に包まれた。
1)トヨタ・エスティマハイブリッド(初代)
初代プリウスに続くトヨタのハイブリッドカー第二弾となったエスティマハイブリッドは、前輪はTHS-Cと呼ばれる2.4リッターガソリンエンジンと1つのモーターを介し駆動し、後輪はプロペラシャフトを持たずデファレンシャルに組み込まれたモーターで駆動するという初代プリウスに代表される2モーターと呼ばれるものとは異なるシステムで登場。
またハイブリッドカーや電気自動車といった電動車はエンジン駆動車よりも四輪の制御がきめ細かくできることもあり、VSCを備えていた初代エスティマハイブリッドは雪道のような滑りやすい路面でも見事な走行安定性を見せ、当時他社を大きくリードしていたトヨタのハイブリッド技術をアピールする題材にもなった。
2)日産スカイライン(11代目)
1998年登場の10代目スカイラインから僅か3年後にフルモデルチェンジされた11代目スカイラインは、1999年の東京モーターショーに出展されたXVLの市販バージョンとなるモデルだった。
11代目スカイラインは10代目までのスカイラインの伝統だった長い直6エンジン、丸いテールランプなどを捨て、短いV6エンジンをフロントミッドに積みFRならではの質の高い走行性能と広い室内を両立するというコンセプトで開発された。また、高い空力性能やメーターも一緒に上下するチルトステアリングといったルマン24時間レースを走ったレーシングカーからフィードバックされたものなど、多くの新技術が盛り込まれていたことも大きな特徴だった。
スカイラインはフルモデルチェンジの度に大きな注目を集めるクルマだけに、10代目までとはまったく違うクルマになった11代目スカイラインに対しては否定的な意見も多かった。しかし11代目スカイラインはインフィニティGの車名で販売された北米でも成功したおかげで現在でもスカイラインが存続しているのも事実であり、今になるとこのフルモデルチェンジは正しいものだったと断言できる。
プロパイロットに繋がる技術がこの年にデビュー
3)日産シーマ(4代目)
セドリック&グロリアベースの上級車であるシーマの4代目モデルは、パワフルな4.5リッターV8エンジンを搭載するなどし、ビッグセダンでありながらドライバーズカーに振ったキャラクターを持っていた。
さらにそれ以上にインパクトが強かったのは今では当たり前になった先行車追従型のアダプティブクルーズコントロールに、高速道路などで限定的な作動ながらカメラで車線を読みドライバーのハンドル操作をサポートするレーンキープサポートシステムが採用されたことだ。4代目シーマのレーンキープサポートは夢の自動運転への大きな第一歩であり、この点だけで4代目シーマは歴史に残るクルマと言える。
4)ホンダ・フィット(初代)
当時ホンダがラインアップしていたコンパクトカーであるロゴの後継車として登場したフィットは、燃料タンクを中央に置くという画期的なアイデアを核にした広いスペースを持つ「これ1台で何でもできるコンパクトカー」というコンセプトで開発された。
初代フィットは広さだけでなく燃費の良さ、内外装の明るい雰囲気に加え低価格という武器も備えた「そりゃ売れるだろう」というコンパクトカーに仕上がっており、大ヒットを飛ばした。このコンセプトはさすがに登場から18年が経つ2019年になると飽きのような部分を感じつつもあるが、現行型となる3代目モデルまで継続され堅調に売れ続けているという正しいもので、フィットはシビック、アコード、CR-Vに続くホンダの柱となる1台にまで成長した。
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