■自転車同士の追い越しは違反になる?
自転車の走行環境の整備が進められているなか、車道の左側に設けられる「自転車レーン」の設置例も増加しています。設置されている道路では、多くの自転車がレーン上を走行しています。
道路のわきの「自転車専用」の意味とは バイクで走った場合どうなる?
しかしレーン上で自転車同士の追い越しが行われるとき、自転車がクルマ側に膨らんでいる事例を目にします。この行為に問題はないのでしょうか。
クルマを運転する立場では、自転車レーンがある道を走っている場合であっても、自転車に対して深く注意する必要があることは変わりません。
とくに、速い自転車が遅い自転車を追い越しているときにクルマで後ろから接近するときは、自転車がクルマ側に膨らんでヒヤッとした経験のある方も多いと思います。
自転車同士が追い越すことについて、警視庁の担当者は次のようにいいます。
「自転車同士の追い越しは、それ自体は違反にはなりません。自転車が他の自転車と並んで走る場合は『並進通行』という違反行為にあたりますが、これはある程度の距離を並んで走らなければ該当しません。
遅い自転車を速い自転車が追い越すときは、並んでいる時間がわずかなので、とくに問題ありません。これは自転車レーンのある道でも同様です。
ただし追い越しの際に周囲の確認が不十分で、後方のクルマの通行を妨害してしまった場合は、妨害した行為が違反にあたります」
※ ※ ※
一般的に「自転車レーン」と呼ばれているものには、大きく分けてふたつの種類があります。
ひとつ目は「自転車専用通行帯」というレーンで、道路交通法第20条第2項に基づいて設置されているものです。レーンは青く塗装されて「自転車専用」と書かれています。
ふたつ目は「自転車ナビマーク」や「自転車ナビライン」と呼ばれる表示で、こちらは法令によって定められているものではありません。
「自転車専用通行帯」と異なり表示自体には法的強制力のない「自転車ナビマーク」と「自転車ナビライン」ですが、市民の間ではすでに広く認知されています。
東京都が自転車利用者を対象におこなった「自転車ナビマーク」「自転車ナビライン」に関する調査では、「ナビマークなどがあれば車道を走る」と回答した割合は58.3%にのぼりました。
「ナビマークがあってもなくても車道を走る」と回答した人が20.7%となり、多くの人がナビマークに従って走行していることがわかります。
■8割強が自転車に「ヒヤッとした」と回答
クルマの運転中に、自転車の急な動きにヒヤッとした人は少なくありません。クルマを運転する人を対象とした「自転車レーン」に関するアンケートでは、「ヒヤッとしたことがある」と回答した人の割合は83%に達しています。
回答したユーザーは、次のようにコメントします。
「自転車レーンを走る自転車が、先行する自転車を追い越す際に、後ろを見ることもせず大きくはみ出していたのを見たことがあります。車道を走る場合は車道の規則を、歩道を走る場合は歩道の規則を守るよう指導を徹底する必要があると思います」
クルマと自転車では、自転車の方が「弱者」ともいえますが、多くのドライバーが怖い思いをしたことがあることがわかります。
一方、道路が狭いなか「後付け」というかたちで自転車レーンを設けている事例が多いことから、専用のレーンがあったとしても自転車にとっても安全といえないのでは、という声も挙がっています。
「自転車レーン自体は悪くない方策です。ただ、道幅が狭いにも関わらず、無理矢理レーンを設けているため、自転車がちょっとでも外側に膨らんだら危険な道が多数あることが問題だと思います」
また、自転車をよく運転する人は「サイクリストの立場でいえば、国道や幹線道路を走るのは恐怖です」と、交通量の多い場所で自転車の安全が十分ではないことを指摘しています。
既存の道路環境が突如激変することは考えにくいことから、当面の間は細心の注意を払って運転することが一番の対策となります。道路標識の指示を含め、クルマと自転車が互いに交通ルールを遵守することが必要です。
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