■「あおり運転」における心理状態とは
ニュースなどで取り上げられるなど、社会問題までに発展した「あおり運転」。国や警察、自動車メーカー、地方自治体などさまざまな団体が対策や注意を呼びかけています。
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危険運転と怒りに関するアンケート調査結果では、約9割の人が運転中にイライラを経験したことがあるといいます。運転時の心理状態や「あおり」を受けた際の対策とは、どのようなものなのでしょうか。
あおり運転が社会問題まで発展したきっかけは、2017年6月に神奈川県内の東名高速で発生した『あおり運転』などによる悪質な行為を原因とする交通死亡事故(2人死亡)の社会的な反響をうけてのことです。
その後、警察庁は2018年1月に全国の警察に取締り強化を通達するなど「あおり運転」問題の抑止を図り、ヘリコプターによる上空からの取り締まりなどもおこなわれています。
また、ユーザー自身も『高速道路上であおられたらSA/PAに避難して通報する』という認識や万が一を録画しておくために、ドライブレコーダーを装着するなど問題に対する意識が高まっているのです。
そんななか、岡山トヨペットは「あおり運転」が引き起こされるまでの加害者と被害者の心理的な描写を、紙人形を使ったアニメーションで表現したWEB動画『STOP ROAD RAGE』を公開し、話題となっています。
タイトルの「ロードレイジ」とは、自動車走行中の追い越しなどに対して、あおり運転や、進路妨害するといったドライバーの報復行動のことを指し、アメリカでは30年以上も前から社会問題になっているのです。
このような動画を制作した背景について、岡山トヨペットは次のように話します。
「昨今話題となっている『あおり運転』。自動車販売を生業とする企業として、この悲しい状況をなんとかしたいと、強く感じていました。『あおり運転』に関する調査結果を受け、交通事故ゼロ・プロジェクトとして本動画を制作し、『イライラ・あおり運転をやめよう!』という啓発をおこなうこととしました。
『あおり運転』の危険性について企画を開発する上で調べていくと、その根幹はハンドルを握った時の“怒り”にあると思いました。欧米ではSTOP ROAD RAGEの掛け声のもと運転中の“怒り”がどれだけ危ないものかを啓発していて、まずはそのことを伝えたいと考えています」
※ ※ ※
今回、動画公開に合わせて公表された「危険運転と怒りに関するアンケート」では、9割以上の人が運転中のイライラを経験し、8割の人が危険運転の被害を経験したと回答しています。
また、運転中イライラしてしまう人の心理状態についてのアンケート調査では、最多が「前の車の速度が遅いとき」(74.7%)、次いで「渋滞にはまったとき」(59.1%)でした。
さらに、「蛇行運転など、後ろの車からあおられたとき」が 52.0%、「クラクションを鳴らされたとき」 が 34.8%と高い数字となり、前を走る車の速度に加え、蛇行運転やクラクションなど、ほかのクルマからあおられたときに“怒り”を感じやすいことが判明しました。
■自動車メーカーも『あおり運転』対策を?
自動車メーカー各社は、社会問題までに発展した「あおり運転」への対策をどのようにおこなっているのでしょうか。
日産は、2019年3月28日に発売した新型軽自動車「デイズ」のオプション機能として、「SOSコール」を設定しました。SOSコールとは、ボタンひとつでコールセンターと通話できるほか、事故の際にドクターヘリやドクターカーの要請が可能な救急自動通報システムです。
これまで、救急自動通報システムの使い方は、事故時にコールセンターとやり取りをすることで、事故対応や怪我人対応などを速やかにおこなうものでした。しかし、最近では「あおり運転」などの被害を受けている際にも有効な手段とされています。
日産「デイズ」の担当者は、SOSコールの使い方について、次のように説明します。
「緊急通報システムには使い方が2つあります。ひとつは事故が起こった場合に、エアバッグが開く衝撃があるとコールセンターに自動的に車種や車速データ、所有者などの情報が通報されます。
もうひとつの使い方は、高速道路などであおられた際に手動で『SOSコール』を使って通報すると、コールセンター側で警察に通報するなどの対応や次のサービスエリアへの誘導を促してくれるなどです。今回の『デイズ』は、常識を変えるべく開発に取り組んだクルマなのです」
※ ※ ※
以前から、トヨタやホンダも同様のサービスを展開していましたが、想定されていた使い方は事故時などのものでした。しかし、日産がアナウンスした手動での「SOSコール」の使い方は、社会問題となった「あおり運転」に対しても有効策のひとつになるかもしれません。
緊急通報システムについて、トヨタやホンダは次のように説明しています。
「従来は、事故や怪我などの際に使われるような想定をしていました。しかし、最近はさまざまなトラブルが多くなっており、『あおり運転』も話題です。自力で警察に通報出来ない場合などに活用頂ければと思います」(トヨタ)
「基本的には、事故・急病時の救急連絡ですが、あおり運転対策としても有効と考えております。そのため、事故・急病時の救急連絡のみならず、あおり運転の被害にあったときに使えることを覚えておくとよいと思います」(ホンダ)
※ ※ ※
今後は、クルマに備わる通報システムによって、「あおり運転」の新たな対応策や抑止力に繋がるか期待されます。
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