高速道路の路側帯などでよく見かける非常電話。これだけ携帯電話が普及した今、はたして必要なのかと思ったことはありませんか?
また、意外に知られていないのが、携帯電話からも無料で通報できる全国共通の道路緊急ダイヤル#9910。
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もうすぐ10連休のゴールデンウィークが始まりますが、もしも高速道路で何かあったら、どう対処すべきなのか?
非常電話の使い方から、もしも事故が起きてしまった場合の対処法などをモータージャーナリストの岩尾信哉氏が解説します。
文/岩尾信哉
写真/NEXCO中日本 NEXCO東日本 Adobe Stock
■高速道路の非常電話はもはや必要ない?
高速道路では1kmおきに設置されている非常電話。携帯電話が普及した今、非常電話は必要なのだろうか?
高速道路の路側帯やトンネル、サービスエリアなどでも見かける「非常電話」だが、実際には利用したことがない人がほとんどではないだろうか。
高速道路や自動車専用道に設置されている非常電話は、当然ながら走行中に何らかのトラブルが発生した場合に使用する機器だが、携帯端末が普及した現在では、漠然とではあるが、緊急時にどれほどの意味があるのかと思えることがある。
使った経験がないことに超したことはないのだが、改めて非常電話の構造や機能を知っておけば、GW前に“備えあれば憂いなし”ということで、非常時の心構えを含めて、ドライブする際に気にとめておくべきことをいくつか挙げながら少々深掘りして、「非常電話」の緊急時の存在意義を改めて考えてみたい。
■非常電話はどこにあるのか?
高速道路や自動車専用道路の本線上では「1kmおき」、トンネル内では「200mおき」、インターチェンジ、サービスエリア/パーキングエリア、バス停留所、非常駐車帯などに設置されている。
■非常電話の使い方
非常電話の主な機能として、通話のほかに4つのボタンが設置されていることが特徴だ。扉を開けるとボタンが4つ設置されており、「故障」「事故」「救急」「火災」を選択して押すとランプが点灯、すぐに各道路の管制センターの担当部署に繋がり、状況を知らせることができ、担当者が然るべき対応をしてくれる
事故・故障などの非常事態発生時に使用可能な非常電話は、まず非常電話BOXの蓋を開け、受話器を取るだけで各道路の管制センターにつながり、事故や故障の状況・負傷者の有無などを伝えることができる。
非常電話に備わる「故障」「事故」「救急」「火災」の4つの状況を表示したボタンが設置されている非常電話では、あてはまるボタンを押せば横にあるランプが点灯して、電話が各道路の管制センターに接続する。
ボタンがないタイプでも受話器を上げただけでおよその車両位置を把握できる。会話などが困難な場合は、受話器を叩くなどの合図で緊急事態の発生を知らせるようにいてほしい。
事故に遭うとどうしてもパニック状態になりがちで、電話口の担当者に自分の状況を上手く説明できない場合が多い。
このボタンを押すだけで大まかな状況が伝わるので、担当者にも状況の内容を話しやすいようになっている。
以下、非常電話をかける際のポイントを順番に並べてみたので読んでいただきたい。
1/事故や故障などが発生したら、非常電話の受話器を上げ、道路管制センターに連絡
2/故障、事故、救急、火災の表示がある非常電話の場合、あてはまるボタンを押すと横にあるランプが点灯。ボタンがない非常電話は受話器を上げただけでおおまかな位置が特定できる
3/道路管制センターの係員が応対。わかる範囲の情報(何が起こったのか、けが人の有無、クルマが車線上にあって危険かどうかなど)を話す
4/緊急対応が必要と判断された場合は、道路管制センターの指示により、高速道路のパトロールを行っている交通管理隊が現地に急行。道路情報板の点灯により後続車に注意喚起を促すなど適切に対応する
■事故に遭遇した時の注意点
もし、クルマにトラブルが起きたらハザードランプを点灯させ、路肩に寄せたり、可能な限り広い場所まで自走する。同乗者を避難させ、三角表示板などをクルマから50m以上後方に置く。停止しているクルマ付近で待機していた乗員が跳ねられる事故が多発しているので、ガードレールの外側に避難し、非常電話か携帯電話で救援依頼する
高速道路や自動車専用道路では、一般道とは違って接近する車両は停止している自車の付近を100km/h近辺の速度で走行していることを忘れてはいけない。
路側帯などに停車した車両や付近に立っていた乗員に接触してしまうような二重事故の可能性を減らなければならないからだ。
もし、事故や故障にあっても、まずは慌てず騒がず落ち着いて、ハザードランプを点灯して後続車に非常停止していることを知らせたうえで、路肩などにも状況によるが可能な限り広い場所まで自走する。
車両を路肩など安全な場所に停め、周囲の状況に注意を払いながら同乗者を避難させて、発煙筒や三角表示板など停止車両から進行方向の50m以上後方に設置する。
そのうえで自身も含めて乗員とともにガードレールの外側に避難して、非常電話を使うか、携帯端末で110番あるいは道路緊急ダイヤル「#9910」に電話をかけて事故対応や救急などを依頼する。
■全国共通・通話料無料の道路緊急ダイヤル「#9910」
イラスト/国交省
携帯電話から通報できる道路緊急ダイヤル#9910の通話方法を記しておくと、高速道路、国土交通省が管理する国道、都市高速道路すべての道路で共通の4桁番号「#9910」で連絡を取ることができる。
24時間受け付けており、#9910をダイヤル後、自動音声ガイダンスに従い、道路の管理者を選択すると、選択した道路の管理者につながる。固定電話や携帯端末(PHS)、公衆電話からの通報が可能だ。通話料は無料だ。
#9910の道路緊急ダイヤルを利用する際に留意しておきたいのは、パンクや故障でレッカー会社などに連絡された場合や自分で対処できる場合でも、自車を安全な場所へ避難したうえで通報することだ。
連絡後には、道路管理者が道路上の掲示板に故障車が停車していることやトラブルの内容を表示して後続車に注意を促すとともに、状況に応じて高速隊や交通管理隊が現地に赴いて車線規制が実施されることになる。
事故などに遭遇した場合にはNEXCO東日本のページにあるような動画などで事故の対応の説明を確認できる場合もあるので見てほしい。
■NEXCO東日本の動画「高速道路でもしもの時は」
https://www.youtube.com/watch?time_continue=4&v=0HAW7CFYJlg
■非常電話と道路緊急ダイヤル#9910の〇と×、使い分けは?
さて、肝心の非常電話と道路緊急ダイヤル#9910、どちらが非常時に使い勝手に優れるか、それぞれの〇と×を比べてみよう。
【非常電話からの通報の○と×】
○受話器をとったらすぐに管制センターにつながる
○受話器をとった時点で発信地点が管制室などに通知されるので場所が特定
○言葉で説明する場合が難しい場合は、「故障」「事故」「救急」「火災」のいずれかのボタンを押すことでおおまかな状況を管制室に伝えることができる
〇90dB以上の騒音が激しいトンネル内でも通話が可能な骨伝導式非常電話が設置されているところもある
×非常電話の設置は1km毎なので、故障してクルマが動かなくなった場合は歩いて探す必要がある
【道路緊急ダイヤル#9910の○と×】
○場所を選ばず携帯電話の電波が通じる場所であればすぐに連絡ができる
×運転中の携帯電話での通話は原則禁止
×トンネル内や山間部など電波が届かない場所では使えない
×基本的には通報者が場所を説明する必要があり、事故や故障の場所が特定しづらい
言うまでもなく、携帯端末の緊急・非常時の利点は、場所を選ばず電波が通じる場所であればすぐに連絡ができることだ。
それでは、そのほかに携帯端末に緊急連絡での明確なメリットがあるかというと、意外に頭に浮かばないことに気づかされる。
たとえば、同乗者がいればよいが運転中の電話は原則禁止で、携帯端末のバッテリーの電力が残り少なければ、故障車あるいは事故車から充電するというのは無理が生じる場合もありえる。
トンネル内や山間部など電波が届かない場所では使えないし、基本的には通報者が場所を説明する必要があり、事故や故障の場所が特定しづらい。
さらに言えば、大きな災害時に携帯端末を使える可能性はかなり低いことは、東日本大震災で経験した方も多いだろう。
いわゆる膨大な通信量のために“回線渋滞”が確実に引き起こされるから、速やかに管制センターなどに連絡が取れることはまずあり得ないはずだ。
いっぽうで非常電話の機能として重要なのは、受話器を上げた時点で発信地点が各道路の管制センターなどに通知されるので、周囲に特徴のない山間部のような位置を特定しにくい場所でも、説明不要で確実に位置情報が伝えられることの意味は想像以上に大きい。
非常電話が1kmごとに設置されているというのは、探すのに苦労するとも思えるが、車両がわずかでも動くのなら1kmの移動距離は分単位で移動ができるということだ。
繰り返すが、「現在地を説明する必要がないこと」がどれだけ負担が軽減されるかを想像してほしい。
高速道路などでの故障・事故に遭うことは、誰もがほぼ未経験という“非常事態”に巻き込まれているということだ。
安全を確保するために冷静に状況を捉えて対処するのはほぼ不可能に近い。緊急の連絡を取るために細かい操作を必要としない「非常電話」を利用することを真っ先に考えて行動してほしい。
90dB以上の騒音で聞きとりづらいトンネル内には骨伝導式の非常電話も設置されている
■非常電話、道路緊急ダイヤルの年間通報件数は?
高速道路各社に聞いた平成30年度の非常電話と道路緊急ダイヤル#9910の年間通報件数の最新のデータを見ると、非常電話よりも道路緊急ダイヤル#9910のほうが約3倍~約6倍も通報件数が多いのは、やはり携帯電話からのほうが非常電話よりもかけやすいということなのだろう。
●平成30年度・高速道路各社の年間通報件数
■NEXCO東日本
非常電話:約1万1000件/道路緊急ダイヤル:約5万3000件
■NEXCO中日本
非常電話:約1万2000件/道路緊急ダイヤル:約5万1000件
■NEXCO西日本
非常電話:約1万3000件/道路緊急ダイヤル:約3万9000件
■首都高速道路
非常電話:約4000件/道路緊急ダイヤル:約2万6000件
●JAFを呼ぶ場合はこちら!
JAFのロードサービス/ロードサービス救援コール(ナビダイヤル:0570-00-8139)、短縮ダイヤル(#8139)いずれも通話料は有料
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