ファッションや時計、自動車にも波及した世界的なヘリテージブームは、もはやとどまることを知らない。2輪界においても国産、輸入車メーカー問わず、各社からヘリテイジをオマージュした最新機が続々とリリースされている。誤解を恐れずにいえば、昨今のムーブメントが起こる前から地道にヘリテイジをつくり続けるブランドがあった。現存する世界最古の2輪メーカーとして知られる、そう、英トライアンフだ。
第1号車の誕生は1902年。第1次大戦期には世界最大の二輪メーカーとして成長したトライアンフは、しかし、第2次大戦後に軽量高性能モーターサイクルの開発を進め。アメリカ市場で黄金期を築いたものの、その華々しい活躍は50~60年代を境に影を潜めていった。より安価で高性能な日本製モーターサイクルの台頭と入れ替わるように。トラインフはその後、幾たびかの倒産と再生という憂き目をみる。そうして1990年、英ヒンクレーで新たなスポーツバイクを提げて復活を遂げたのが、こんにちに続く新生トライアンフである。
あの娘とトライアンフ:第2回「新型ストリートツインで富士へ」
そんなトライアンフが突如としてヘリテイジの名を冠したリバイバルモデルを発表したのは2001年のこと。レトロでクラシカルな外見に、快適性を備えた現代車のスペックを有し、それまで途絶えていた空冷並列ツインエンジンを復活。伝統的な英国車の流れを汲む「モダンクラシック」として、ボンネビルシリーズをラインナップに据えると、その人気は瞬く間に世界に広がった。
そして今回、ボンネビルシリーズの最新モデル「スピードツイン」をお目当てに、パリで行われたローンチナイトに参加した。
マゼンタのネオンが輝く会場では、新型モデルを肴に、アルコールあり、ムーディなライヴ演奏から激しくビートを刻むDJミュージックありと、クラブイベントさながらの演出と盛り上がりよう。ドレスコードはなかったものの、さすがモーターサイクルの本場欧州。革ジャン着用率がとても高く、会場に愛馬で駆けつけ、ヘルメット片手に参加するツワモノの姿もあった。冬真っ只中なのに……、である。
オリジナルのスピードツインは1938年に登場。世界で初めて大ヒットを飛ばしたパラレルツインエンジンを革命的なシャシーに搭載し、画期的なハンドリング性能を有したスポーツライドバイクの先駆けといえる。当時はまだ「移動するだけ」のモーターサイクルだったが、このスピードツインの登場により「走りを楽しむ」本格スポーツマシンというものが誕生した。モーターサイクルの様相を一変させた伝説的名車である。
そんなビッグネームの登場を前に、会場の参加者も大興奮だった。カウントダウンが始まると会場のボルテージは最高潮に。そんな熱狂を切り裂いたのは、パラレルツインの歪みがかった、乾いたエグゾーストサウンドだった。ランウェイにスピードツインのオリジナルモデルが空吹かしをしながら登壇すると、80年を経て蘇った新型スピードツインがその後に続いた。
新型スピードツインは、シンプルながら美しくも力強いスタイリングだった。排気量は1200ccと大きいのだが2気筒らしいスリムなエンジン&車体に、バーエンドミラー、ツインアップスポーツサイレンサー、アナログにデジタル表示を組み合わせた2連メーターの意匠など、現代的カスタム化を随所に取り入れたマッシブな造形は見どころ満載。それでいて全体像は決してポップに振りすぎず、ガツガツしていない。
燃料タンクのストライプラインやアップライトなハンドル位置は、オリジナルのアイデンティを意識した現代的なものに仕上がっている。また、ブラシ仕上げのアルミニウム製マッドガードや鋳造アルミ製ヘッドライトブラケットなど、精緻につくり込まれたパーツ各部のフィニッシュと、ディテールの数々が目を見張る。所有欲を掻き立てる部分である。
エグゾーストサウンドは、歯切れの良い鼓動感と迫力、深みのあるブリテッシュツインの響きがなんとも心地良いものだった。ツインアップスウェプトサイレンサーを通して、サウンド自体もチューニングされているという。心臓部には専用チューニングが施された1200ccのボンネビルツインエンジンを搭載。最新素材への変更や改良などにより、カフェレーサーの「スラクストン」よりも2.5 kg軽く、一方で兄弟車の「ストリートツイン」からは49%もの出力を強化。最高出力97ps/6750 rpm、最大トルク112 Nm/4950 rpmという大幅な動力性能の向上も見逃せない。
最大の特徴はなんと言っても“クラス最高峰のハンドリング”を標榜するシャシー性能だろう。「スラクストンR」をベースに開発された新フレームに、高性能カートリッジ式フロントフォークとプリロード調整可能なツインリアサスペンションの組み合わせ。さらにフロントブレーキにBrembo製キャリパーをダブルで、リアブレーキにも同じくBrembo製キャリパー&シングルディスクで強化。前後17インチのアルミホイールにはピレリ製ロッソコルサ3を履く、まぎれもないスポーツ仕立てだ。
これらスポーティな車体構成にもかかわらず、ライディングポジションはとても快適。ちなみに身長180cmの担当者が新型スピードツインに跨ってみたが、肩肘の張らない、ゆったりとしたアップライトな乗車姿勢であったことを覚えている。これなら背を気にする男性陣も問題なく取り回せる雰囲気だった。
電子制御系にはABSとトラクションコントロールを標準装備するほか、ライディングモードは3種類から選択でき、各モードに専用マッピングとトラクションコントロールの設定が可能だ。といっても、残念ながら今回のローンチイベントに試乗の機会はなく、クラス最高峰と言われる走り味は宿題。車名とその伝説に恥じない自信の「走り」が今から楽しみで仕方ない。
いよいよ今春、国内での発売を予定している新型スピードツイン。直接的なライバルとなるのはBMW R nine Tを筆頭に、カワサキZ900RS、CB11000あたりのフラッグシップモデルか。国内外のメーカーが凌ぎを削るリバイバルモデルのなかでも、トライアンフの新型スピードツインのスタイリングと高級感は、所有欲をくすぐる大人の色気を感じるモーターサイクルだった。今のところ価格は未定だが、ライバルたちへの強烈パンチとなるか、トライアンフジャパンのサプライズに期待したい。
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