「ドライバー・ファースト」を設計思想とするボルボ・トラックは、運転者の疲労を低減させることで事故を未然に防ぐというコンセプトのもとで、画期的なステアリングシステムを採用している。
世界でも有数の貨物車メーカーであるボルボ・トラックは現在、日本でも大型のトラクターヘッドに属するモデル「FH」を販売中だ。このモデルは油圧アシストと電気モーターを組み合わせ操舵力を大幅に低減するだけではなく、路面からの振動を抑えるボルボ・ダイナミック・ステアリングを全車標準装備としている。
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これは、油圧によるステアリングアシスト部分と、ステアリングロッド下部との間に電気モーターを追加し、さらにその間にトーションバーを設置。このトーションバーがねじれることで一種の緩衝帯となり、その動きをモーターが逆方向に動かす力を発生させて路面からの衝撃をキャンセルするという仕組みだ。毎秒2000回という細かいスパンでセンシングを行ない、自然な操舵感を生み出している。
テストコース内で路面にゴム状の突起物を置いた状態で運転する機会が設けられたが、ステアリングにはほとんど衝撃が伝わることなく、思いのほか自然に通過してしまった。また、油圧+電動というふたつのアシストを持つことで操舵に必要な力を最適にコントロール、駐車場内などでも切り返しは片手で軽々とステアリングを動かせるのも魅力。また高速走行時の横風の影響も自動的に制御され、移動時の疲労を抑えることができる。
さらに、トラクターヘッドの後方に連結ピンで接続されるトレーラ−では後退時に直進するのが難しいが、ボルボ・ダイナミック・ステアリングならステアリングをまっすぐに保持していれば、自動で補正制御してくれるのだ。
このようなドライバーにやさしい装備を備えるボルボ・トラック。国産車と比べれば価格は高いのだが人手不足で人員確保を重視する運送業界では好調で、2018年の国内販売実績は対前年比を大きく上回っているという。
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