寒冷地仕様車は何が違う?
クルマのカタログを見ていると「寒冷地仕様車」という項目を見つけることがあります。寒い地域用のクルマがあるのだ、ということはわかりますが、一体なにがどう違うのでしょうか? 今回は寒冷地仕様車がどのような仕様になっているかを解説します。
南北に長い日本はひとつの国とは思えない気温差
アメリカのように広大な国は別として、日本のような狭い国土でこのように気温差が大きい国は珍しいとも言えます。極端な例となりますが、那覇の1年間の平均気温は23.1℃、対して旭川は6.9℃です。これを最高気温と最低気温で比べるとさらにその差は大きくなります。その気温差を1つの仕様でカバーするのは難しいと言えます。そこで日本車には昔から寒冷地仕様というものが存在しています。
寒冷地仕様で大切にされているのが電気関係のグレードアップです。気温が低いとバッテリーが弱まるため、バッテリー容量を大きくしていることが通常です。そして大きなバッテリーを十分充電できるように、オルタネーター(充電器)も大きくなっていることが多いのです。このセットが寒冷地仕様の基本セットだと思っていいでしょう。
そうした仕様になっていても低温時はバッテリーが弱まってしまうことがあり、普通のセルモーターではエンジンが始動できないこともあります。低温時はエンジンオイルの粘度も高くなるので、ますますエンジンの始動には力が必要になります。そこで寒冷地仕様車のセルモーターにはリダクションタイプと言われるものが使われます。現在はエンジン始動時の抵抗が大きいAT車が多いため、寒冷地仕様車でなくても高トルクタイプのセルモーターが使われることが多くなっています。
快適性を向上する寒冷地装備
寒冷地ではヒーターの効きも弱くなるため、ヒーターの容量をアップしている場合もあります。また、シートヒーターなども装備されることもあります。余談とはなりますが、東南アジアのように暑い地域ではエアコンではなくクーラーが装備されているクルマがあります。エアコンはクーラーとヒーターを組み合わせて、吹き出す風の温度を調整していますが、クーラーから出る風の温度は一定(低温)で風量のみが調整できるようになっています。
そのほかにも細かい設定が行われている寒冷地仕様
水関連は寒冷地仕様では忘れてはならない部分です。冷却水の濃度も濃く設定されより凍結しにくいものなっているほか、ウインドウウォッシャー液の濃度も凍結しにくいように工場出荷時から濃く設定されている場合もあります。さらに重い雪も払拭できるようにワイパーのモーターが強化されている場合もあります。
車種によってはゴム類を気温が下がっても硬化しにくいものを採用したり、下回りのコーティングの強化(凍結防止剤の塩化カリウム対策)などを行っている場合もあります。また、バックフォグランプについては、寒冷地仕様車でないと選べないというような設定をしている車種もあります。
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