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第2回:日下部保雄と3~7代目シビック

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第2回:日下部保雄と3~7代目シビック

【初代、2代目シビックのエピソードはこちら】

1983年に登場した3代目、通称“ワンダーシビック”は、キープコンセプトだった2代目の“スーパーシビック”がそれほどヒットしなかった反省をもとに、すべてを一新し、3ドアハッチバック、4ドアセダン、5ドアハッチバック(車名はシャトル)の3モデル態勢で登場した。なかでも、ハッチバックはリアエンドをスパッと切り落としたデザインで、新しい時代の息吹を感じた。

第1回:日下部保雄と初代シビック、2代目シビック

TV CFは今でもはっきり覚えている。ルイ・アームストロングの『What a Wonderful World』をバックミュージックに、雄大なアメリカの大自然のなか、ズームアップされるワンダーシビックはハッとするほど美しく、鮮烈だった。

ワンダーシビックのジャーナリスト向け試乗会では、クルマの挙動について開発エンジニアと長いあいだ、意見交換をしたあと、エンジニアに同乗してもらい、筆者が伝えたかった内容を確認してもらった。エンジニアには今以上に活気や熱気があり、互いに盛り上がっていたのが懐かしい。

エンジンも本来のホンダらしさを取り戻し、元気一杯だった。サスペンションは、フロント/ストラット、リア/トーションビームで、ホンダらしくクイクイと曲がっていくがあまりストロークはなく、路面が悪い箇所ではバタバタしていた。それでも、楽しいクルマに仕上がっていたのは間違いない。

筆者がレース活動を再開するにあたって、激戦区だったシビックワンメークレースを選択したのも思い出深い。後期型にくわわったツインカムZC型エンジンを搭載したモデルで、スプリントレースの駆け引きや耐久レースの面白さを学んだ。ロングストロークのZC型エンジンは中速トルクがありながら、ホンダらしく良くまわり、軽い車重もあって、自在に走ってくれた。

ホンダワークスの「無限チーム」が、グループAによる全日本ツーリングカー選手権に参戦し、猛威を振るったのもワンダーシビックからだ。

ちなみにこの頃の個人所有車は、ワンダーシビックから派生したバラードスポーツCR-Xだった。1.5リッター直列4気筒SOHCエンジンを搭載したショートホイールベースの小さなクーペは、独創的な「ルーフベンチレーション」付きで、これを上げると猛烈にフレッシュエアが流れ込み、まるでオープンカーのようになったのが強烈だった。画期的だった「ルーフベンチレーション」も、メンテナンスの不便さから、すぐに消えてしまったのは残念である。

ワンダーシビックのハッチバックは、日本でこそ大ヒットしたものの、北米では思うように販売台数が伸びなかった。リアを切り落としたデザインが、追突被害を恐れたユーザーから敬遠されたからだ。

VTECエンジンを搭載したグランドシビック

4代目の通称“グランドシビック”の登場は1987年。ボディサイズの拡大とともに、室内も広くなった。当時のクルマはどれもウィンドウが大きかったがグランドシビックも例に漏れず、光りに満ちた明るいキャビンだった。ハンドリングもカート感覚から一転し、安定したものになった。

グランドシビックで衝撃的だったのは、途中から投入されたVTECエンジン搭載グレード「SiR」の登場だ。リッターあたり100psを誇るB16A型1.6リッター直列4気筒エンジンは、低中速トルクと高回転域でのパワーを両立した素晴らしい柔軟性を持つパワフルなエンジンだった。

パワーもさることながら4輪ダブルウイッシュボーンのサスペンションとの組み合わが絶妙で、とくにレースシーンでは同クラスの他車を凌駕する戦闘力を誇った。

しかも、サスペンションの調整は容易だったし、FFでありながらコーナーウェイトも抜群。そんな「SiR」でシビックワンメークレースに参戦し、鈴鹿サーキットや富士スピードウェイ、筑波サーキットを転戦したのが懐かしい。

また、普段の乗り心地も改善され、ロングドライブでも疲れにくくなった。ハンドリングも素直なもので「シビックもずいぶん大人になったなぁ」と、感心したが、ちょっぴりヤンチャだったワンダーシビックが懐かしくなったりしたものだ。

懐かしの「のりピーレーシング」

シビックによるレース活動は次の5代目、通称“スポーツシビック”まで続く。1991年にデビューしたEG6型は、パワーアップしたVTECエンジンを搭載し、先代同様4輪ダブルウィッシュボーンのサスペンションを組み合わせた。

さまざまなユーザーの声に応えるべくボディサイズはさらに拡大。とくにリアの居住性を改善する目的でホイールベースが伸ばされた結果、後席レッグルームは拡大した。

シート素材やカラーにこだわり、アクティブなイメージを演出した。ハッチバックモデルは、リアハッチのウィンドウのみを開閉出来たため、“スポーツグッズを簡単に放り込める”と言われ、フットワークの良さと軽快さアピールしていたのも懐かしい。

おとなしいデザインだったグランドシビックから一転し、躍動感あふれる若若しいデザインで“元気なシビック”を印象付けた5代目はヒット。クルマとしてのまとまりも、これまで以上に高いレベルだった。

レースでは当初、ロングホイールベース化によるアンダーステアに悩まされた。これまでのセッティングが、まるで通用しなかったのだ。この頃はスーパー耐久の前身、N1耐久レースに的を絞って活動していた。酒井 法子さんをチーム監督とする「のりピーレーシング」で戦ったのも懐かしい。酒井さんは忙しいなか、サーキットにも来てくれ、熱心に応援してくれた。残念ながら優勝カップはもらえなかったが、今でも細かい気遣いに感謝している。

このころからライバルの性能も向上し、N1耐久レースでも1.6リッターのシビックで優勝するのは年々難しくなったが、限られた予算で戦闘力のあるマシンを選ぶとシビックが最良だった。

街中からサーキットまで多くのユーザーから支持されていたのがスポーツシビックだ。そんなスポーツシビックのコンセプトは、1995年にモデルチェンジした6代目、通称“ミラクルシビック”にも受け継がれる。

ミラクルシビックはホンダらしさが色濃い元気なモデルだった。とくに精密なチューニングを受け、1.6リッター直列4気筒NAエンジンから185psの出力を絞り出したマニアックな「B16B型」を搭載する「タイプR」の投入は、ホンダに流れるレーシング魂を、身近に感じさせた。

ミラクルシビックのタイプRは現在も根強い人気があり、時折見かける赤いホンダバッジを付けたタイプRに、オーナーの深い愛情を感じる。

次の7代目、通称“スマートシビック”はこれまでのスポーツ路線から一転し、オーソドックスな内容に。ボディバリエーションも日本仕様は4ドアセダンと5ドアハッチバックのみになってしまった。ハイブリッドモデルが設定されたものの独創性や個性は薄れ、さらにSUVやミニバン、軽乗用車の台頭によって日本市場の販売は低迷。21世紀に入ったのと同時に、シビックが多くの人に愛された時代も一区切りついたのであった。

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