なぜSUVは世界中でモテモテなのか
先日、ロールスロイスのSUVカリナンが発表されました。SUV製造に早くから取り組んだポルシェはもちろん、今やランボルギーニもマセラティもベントレーもSUVを製造。電気自動車しか製造していないテスラですらモデルXというSUVを市場に送り込んでいます。SUVを作っていない自動車メーカーはフェラーリ、ロータス、モーガンなど少数派となってしまっています。この大人気の秘密は何なのか? をひもといていきましょう。
世界は日本のように整備された道ばかりではない
日本でクルマが走れる道路はほとんどが舗装されています。日本の舗装はじつは本舗装ではなく簡易舗装も多いのですが、それでもほとんどの場合は土や砂の上を走ることはありません。しかし世界に目を向けると、まだまだ舗装されていない道がたくさんあります。それは発展途上国だけにとどまりません。たとえば、アメリカでもメインの道路は舗装されているものの、ちょっと脇に入ると舗装されていない道がたくさんあったりします。
クルマがたくさん売れている中国も未舗装路が多いですし、高級車がたくさん売れる中東も未舗装路が走れるクルマが求められています。このようにたくさん売れる地域での需要がSUVに傾いていることで、SUVに対して開発費が大量に流れ込み、SUVの性能やデザインが向上していることも高人気の要因となっています。
セダン離れでSUVに人気が集まる
クルマの基本的なパッケージングはセダンだと言われます。一般的なセダンのパッケージングを真横から見ると、中心部に客室、前方に機関部、後方に荷室と3ボックスパッケージングが行われています。クルマの歴史のなかでは前方に荷室、後方に機関部という配置もありましたが、エンジンを冷却することや衝突時に安全性確保の観点から機関部は前方配置が主流となりました。長い間、クルマの基本とされてきたセダンは、フォーマルな場はもちろん、ビジネスシーンのTPOにもマッチする形として発展してきました。
かつては、そうしたことができるクルマこそがいいクルマ、無難なクルマとして選ばれたのですが、時代の変化に伴ってそうした仕事の匂いのするクルマを普段使いで乗ることを嫌がる人が増えてきたのです。昔はそうした人たちはスポーツカーやスペシャリティカーと呼ばれるクルマに乗ったものですが、今はSUVに乗る人が増えています。ではそれはなぜなのでしょうか?
すべてを満足させてくれるSUVの高性能ぶり
SUVという言葉が使われはじめたのがいつからなのか?ははっきりとしませんが、かつてSUVはクロスカントリー4WDとかRV(レクレーショナルビークル)と呼ばれていました。この時代は乗り心地が悪かったり、コーナーでロールが大きく、ハンドリングが悪かったり、高速道路を100km/hで走り続けるのが辛かったり、といろいろと不便さがありました。
しかし、技術の進化によりSUVはそうしたネガティブな部分を克服し、かつてのスポーツカー程度の性能を持つまでになりました。それでいて、車種によってはセダンよりも高い積載性能を持ち合わせるなどしています。インフラも更新され、機械式駐車場でも駐車できる場所も増えるなどしています。こうしたことが重なり合って今のSUV人気があると言えるでしょう。
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